先進国株式と海外REITのアクティブファンドのインデックスファンドに対する10年間の勝率はわずか8%
先進国株式クラスと海外REITクラス。これらのアクティブファンドのインデックスファンドに対する10年間の勝率は、わずか8%にすぎないというデータが、モーニングスターに掲載されています。
(モーニングスター [ アナリストの視点(ファンド) 先進国株式と海外REITの10年アクティブ運用における最終的な勝率はわずか8% 2019-03-14]より)
上記のモーニングスターの記事で分析されている「アクティブ・サクセス・レート」がスゴいのは、よくある、アクティブファンドの「インデックス(指数自体)に対する勝率」ではなく、「インデックスファンドに対する勝率」であるところです。
「アクティブ・サクセス・レート」とは、期中に償還となったファンドを除き、期末時点で同一のカテゴリー内に属するパッシブファンドを上回ったアクティブファンドの比率(本数ベース)のことで、期初に投資が可能であったファンドの最終的な勝率とも言え、パッシブファンドのトータルリターンの単純平均と、個々のアクティブファンドのトータルリターンを比較して算出している。
(モーニングスター [ アナリストの視点(ファンド) 先進国株式と海外REITの10年アクティブ運用における最終的な勝率はわずか8% 2019-03-14]より)
インデックスはただの計算上の指数なので、実際には運用コストはかかりません。
そこで、勝率でインデックスに負けたアクティブ派は、「インデックスは運用コストゼロだからフェアではない」というのが言い訳になります。しかし、運用コストがかかっているインデックスファンドの平均に対する勝率であれば、その言い訳はできません。
上記のモーニングスターの記事では、先進国株式クラスと海外REITクラスのアクティブファンドの勝率がわずか8%しなかいとする一方で、アクティブファンドの勝率が「唯一4割を超えたのが『国内REIT』だ」と言って、「アクティブファンドとしての優位性を発揮したファンドが多かった点は評価される」と健闘を讃えています。
しかし、40%が勝ったということは、裏を返せば60%が負けているということでもあり、国内REITクラスとしては、「ベンチマーク(インデックス)を上回ることを目指す」という主要なアクティブファンドの運用目的を達成できているとはとても言えないお粗末な成績だと個人的には見えます。
有能なファンドマネージャーが運用しているはずのアクティブファンドの大半が、インデックスに負けてしまう大きな要因は、アクティブファンドの運用コスト(信託報酬)が高すぎることだと言われています。
「運用コストが高くても、それ以上のパフォーマンスを出せば問題ない!」と思われるかもしれませんが、長期であればあるほど、運用コストの違いはボディブローのように確実に効いてきます。たかだか年1~2%の運用コストでも、それを実績ではね返すのは容易ではないようです。
とはいえ、当ブログ記事は、「インデックスファンドを上回るアクティブファンドは絶対に存在しない」と主張しているわけではありません。
たとえ8%であっても、インデックスファンドに勝つアクティブファンドは確実に存在していることもまた事実です。(私にはできませんが)自分がこれを事前に選び出せるとお考えであるならば、アクティブファンドも選択対象に入ってくるでしょう。
このモーニングスターの「アクティブ・サクセス・レート」は、高コストなアクティブファンドで儲けている投信業界にとっては不都合なものかもしれませんが、個人投資家にとって有用なものですので、今後もぜひ継続してほしいと思います。
<関連が深い過去記事>
インデックスファンドの10割すべてがインデックスを上回れない?(その3)
前回の記事「インデックスファンドの10割すべてがインデックスを上回れない?(その2)」の続きです。前回までの記事で見てきましたが、インデックス(指数)そのものではなく、信託報酬がかかるインデックスファンドとアクティブファンドとの比較でどうなのか?という疑問に対するデータがなかなかありません。ずっとモヤモヤしていたのですが、見つけました。...
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