山崎元氏の推薦図書第一候補が「ウォール街のランダム・ウォーカー」!?

水瀬ケンイチ

週刊ダイヤモンド2009/02/28号のコラム「山崎元のマネー経済の歩き方 291」で、ちょっと意外なことが書いてありました。

【週刊ダイヤモンド2009/02/28号より引用】
 株式投資に本格的に取り組みたいという人に推薦図書を問われたら、第一候補はバートン・マルキール著『ウォール街のランダム・ウォーカー』(井出正介訳、日本経済新聞社)だ。原書の第四版を読んだ20年以上前からそう思う。
俗説から理論まで含めた投資の考え方をていねいに追った好著で、ついでに、米国の株式市場の歴史もわかる。翻訳が何度か出ているが、最新版は原書の第九版を訳したものだ(2007年5月刊)。投資に関する考えを深める素材としてはベストの一冊だ。
【引用おわり】

ウォール街のランダム・ウォーカーといえば、インデックス投資のバイブルで僕の愛読書でもあります。(ついでにブログタイトルもあやからせていただきました)
本書では、効率的市場仮説を前提にした現代ポートフォリオ理論により、最も効率的な投資はインデックスファンドに投資することとしています。
テクニカル分析はオカルト、ファンダメンタル分析も概ねダメという主張でかつて一世を風靡しました。
(もっとも、正確にはウォール街のランダム・ウォーカーは効率的市場仮説についてはガチガチの原理主義ではないのですが、これについてはまた別の機会に書きたいと思います)

そんな本書ですから、普段から効率的市場仮説は誤りだとハッキリ言い切る山崎氏にしては意外な選択だと思いました。
しかも、「20年以上前からそう思う」って。

と思ったら、やっぱり注文が付いていました。



【再び引用】
 以下は筆者の仮説にすぎないが、市場はマルキール氏のような古い教師が信じているほど「効率的」ではない。現実に、バブル(市場価格の正しい価格からの大規模な乖離)は、短期間に何度も、しかもほうぼうで起きている。
 有望な投資戦略の可能性は、ほぼ常に複数存在し、ある程度パターン化できる。しかし、個々の市場参加者は、個人も機関投資家も常に有望な戦略を選択して実行できるほど、賢くない。実質的にはドングリの背比べ的状況だ。株式市場は非効率的だが、それをコンスタントに利用できる特権的な参加者が存在しないだけなのだ。
【引用おわり】

筆者の仮説にすぎないがと前置きをしつつ、やっぱり、効率的市場仮説には否定的ですね。
それでは、何故、ウォール街のランダム・ウォーカーが推薦図書第一候補なのでしょう?
答えは、最後に書いてあったような気がします。

【再び引用】
低コストなインデックス・ファンドは、いくつもある無難なポートフォリオの一つにすぎないが、市場が非効率的であっても相対的に優れた投資対象だ。
「偉くない市場」「情けない人間」を等身大に説明する、新しいテキストがそろそろ欲しい。
【引用おわり】

山崎氏の言っていることを語弊を覚悟でまとめると、個人もプロもたいして賢くないので市場平均に勝つことは難しい。単にそれだけ。
まあ、インデックスファンドの有用性の落としどころは、そんなところなのかもしれません。
それにしても、“「偉くない市場」「情けない人間」を等身大に説明する新しいテキスト”、ぜひ山崎氏に書いて欲しい!と願うのは僕だけでしょうか。


(追記)2009/03/04 23:50
該当記事がDiamond Onlineにも掲載されていました。ちぇ、せっかく図書館でコピーしてきてたのに~(^^;
http://diamond.jp/series/yamazaki_econo/10071/
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Posted by水瀬ケンイチ