アクティブ型ファンドのみを提供することが401k加入者にとって良いこと?

水瀬ケンイチ

読者のかたから、勤務先の401kプランの運用商品にアクティブ投信しか提供されておらず(除く日本株式)、理由を聞いても理解に苦しむが、どう思うかというメールをいただきました。

【以下、メールより引用】
私の勤務先は401kを導入しております。が、委託先の東京海上日動は、日本株式を除き、アクティブ投信しか提供しておりません。
理由を伺ったところ、大変理解に苦しむ(401k加入者の利益は無視し、自社の利益だけを追求するか)と思われる回答を得ました。
水瀬さんはいかが思われますか伺いたくメールする次第です。

1.日本株式クラスのパッシブ型ファンドの信託報酬が、年金401k用商品にもかかわらず、市販の他社パッシブ型ファンドより高い
―>見直しの予定はない。
2.日本株式クラス以外は、アクティブ型ファンドしか提供しない理由。
―>継続して市場に勝てるとは言えないが、アクティブ型ファンドのみを提供することが加入者にとって良いことだと考えている。

ちなみに、全ての商品が継続して市場平均に負けており、当然ながら高い信託報酬を徴収しています。
私には、会社担当者が運用のど素人であること、401k制度を利用して”カモっている”としか思えません。
【引用おわり】

個人的な感想ですが、率直に申しあげてあまりうれしくない制度設計だと思います。

具体的商品名などが分からないので、東京海上日動のWEBサイトで401kプランを調べてみたところ、以下のラインナップが掲載されていました。

【元本保証型】
・利率保証型積立傷害保険「ねんきん博士」(保証期間5年)
・利率保証型積立傷害保険「ねんきん博士」(保証期間10年)

【リスク運用型】
・ダイワMMF
・東京海上セレクション・日本債券(アクティブファンド・信託報酬0.567%)
・東京海上セレクション・外国債券(アクティブファンド・信託報酬1.092%)
・東京海上セレクション・日本株TOPIX(インデックスファンド・信託報酬0.63%)
・東京海上セレクション・日本株式(アクティブファンド・信託報酬1.575%)
・東京海上セレクション・外国株式(アクティブファンド・信託報酬1.659%)
・東京海上セレクション・バランス30(各マザーファンドはアクティブファンド・信託報酬0.9975%)
・東京海上セレクション・バランス50(各マザーファンドはアクティブファンド・信託報酬1.197%)
・東京海上セレクション・バランス70(各マザーファンドはアクティブファンド・信託報酬1.3755%)
(カッコ内は水瀬追記)

これが読者さんの会社に当てはまるのか分かりませんが、当てはまるという前提で話を進めさせていただきます。


まず、1の「日本株式クラスのパッシブ型ファンドの信託報酬が、年金401k用商品にもかかわらず、市販の他社パッシブ型ファンドより高い」について。
「東京海上セレクション・日本株TOPIX」の信託報酬0.63%というのは、同じTOPIX連動型インデックスファンドで僕が投資している「インデックスファンドTSP」で信託報酬が0.546%ですから、あまり安いとは言えないと思います。

企業規模などにより違うので上を見ればきりがありませんが、例えば同じDC用TOPIX連動ファンドでは、「DIAM DC国内株式インデックスファンド」(信託報酬0.17%)とか「野村 DC国内株式インデックスF・TOPIX」(信託報酬0.19%)などが存在することを考えると、見直してほしいという読者さんのお考えも十分に正当なものだと思います。
(ファンドのデータはモーニングスターより)

担当者が見直すつもりはないという点については、何とも言えません。
見直したくても見直せない理由が他にあるのかもしれません。
ただ、社員として見直してほしいという要求は正当なものだと思われますので、もし自分だったら、機を見てリクエストを出し続けていくと思います。
(ただし、社内のお立場等いろいろあると思いますので、行動については自己責任でお願いします)

次に、 2の「日本株式クラス以外は、アクティブ型ファンドしか提供しない理由」について。
担当者の回答の、「継続して市場に勝てるとは言えないが、アクティブ型ファンドのみを提供することが加入者にとって良いことだと考えている」については、正直、理解不能です。

インデックス型・アクティブ型の両方があり社員が選べる状態が好ましいと個人的には思います。
インデックス型で固める人(僕ならそうしますが…笑)、アクティブ型に突っ込む人、コアをインデックス型で固めてアクティブ型をサテライトとしてアップショットを狙う人など、社員の考えによりいろいろな形が取れるのが理想的でしょう。

ただ、ファンドを自分で選べる社員はいいが、知識がなく選べない社員のためにラインナップを絞ったということはあるかもしれません。
それでも、絞るならコストが高いアクティブ型ではなく、コストが安いインデックス型に絞ったほうが親切だと思うのは僕だけでしょうか。

余談ですが、公的年金も「年金積立金の管理及び運用に関し遵守すべき事項」として、「運用手法については、パッシブ運用を中心とする」と明言しています。
http://www.mhlw.go.jp/topics/nenkin/zaisei/tsumitate/keikaku/index.html

気になるのは、例えば「東京海上セレクション・外国株式」の場合、信託報酬1.659%のうち、委託会社に0.735%、受託会社に0.084%、販売会社に0.84%が分配される点です。
この場合、販売会社は読者さんの会社になると思われますので、委託会社よりも多い年間0.84%もの収入が会社に入るわけです。
会社が社員の年金から儲けようとしているのではないか?と思われてしまうことを邪推と言い切れるかどうか。
もしそうならひどい話です。そうではないことをお祈りいたします。
(追記)2009/04/29 19:20
読者のかたから、この場合の販売会社は勤務先ではないのではないかというご意見をいただきました。だとすれば、これは杞憂ですね(^^ゞ


以上、読者さんのご質問に、個人的感想を書かせていただきました。
日本でも401kが浸透してきていますが、その商品ラインナップには会社によってバラツキが大きいようです。
自分の勤務先はまだ確定給付年金ですが、もし401kに移行するようなことがあれば、商品ラインナップについては厳しくチェックしていきたいと思います。


※本記事はあくまでいち個人投資家の個人的見解です。情報不足による誤解釈や見当違い等があるかもしれません。投資判断・本記事を読んでの行動については自己責任でお願いいたします。
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Posted by水瀬ケンイチ