「イェール大学CFOに学ぶ投資哲学」(デイビッド・スウェンセン著)はミューチュアルファンドに徹底的ダメ出し

水瀬ケンイチ

ゴールデンウィークに、「イェール大学CFOに学ぶ投資哲学」(デイビッド・スウェンセン著)を読みました。

イェール大学CFOに学ぶ投資哲学
日経BP社
発売日:2006-08-18
おすすめ度:4.0


昨今の世界金融危機で投資スタンスが揺らいでしまうかたが散見されるなか、本書の「投資哲学」という言葉にかなり期待して読み進めました。

ところが、予想に反して、本書の内容は大半が米国のアクティブ運用をするミューチュアルファンドに対する批判でした。
コスト、制度、パフォーマンスなどについて、もうこれでもかと言わんばかりに繰り返しのダメ出しです。
特に、「みかじめ料」、「プライシングゲーム」、「ソフトダラー」など、米国ミューチュアルファンドの目に見えないコスト面の闇に迫っているところが興味深いです。これらの悪しき慣習は、日本の投資信託にもあるのでしょうか?
とにもかくにも、これを読んだら米国のアクティブファンドには投資したくなくなってしまうでしょうね。

ただし、インデックスファンドなら何でも良いかといえばそうでもなく、高コストなインデックスファンドや流動性の低いETFなど、ダメなインデックス商品も存在することもきちんと説明しています。
インデックスファンドもちゃんと選ばなければだめだということでしょう。



では、肝心の「投資哲学」についてはどういうことが書かれていたかと言えば、少数派の逆張り投資をすべきであり、それはインデックス投資を中心としたコア資産(米国株・米国を除く先進国の株式・新興国の株式・米国債・物価連動債・不動産)へ投資&リバランスということのようです。
(逆に、流行のテーマへのアクティブ投資というのが多数派の投資)
インデックス投資自体が逆張り投資だと言えるほど、インデックス投資がマイナーな存在であるのは、米国も日本も同じようです。

ところで、イェール大学やハーバード大学などの基金は、ヘッジファンドやベンチャーキャピタルファンドなどのオルタナティブ投資(本書の中では投資家に不利な非コア資産と書かれている…)を積極的に採用して、一時は高パフォーマンスをあげて賞賛されていましたが、その後、世界金融危機で空前の損失を出してしまったようです。

もしかしたら、本書をいちばん熟読すべきなのは、イェール大学さんご本人なのかもしれません。


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