バートン・マルキールセミナーレポート(その3)

水瀬ケンイチ

バートン・マルキールセミナーレポート(その1)
バートン・マルキールセミナーレポート(その2)
の続きです。

あらかじめ募集していた質問で多かった4つを取りあげ、マルキール氏が答えるという質疑応答です。
それではどうぞ。

【Q1】
今株式を買うべきか?株式比率が下がっている今リバランスして追加投資すべきだと思うが、リスクが上がっているので勇気が出ない。

【A1】
先ほどお話したように、株式は今安売り状態。服はセールの時に買うのが魅力的だが、それと同じで株式にも投資するべき。設定した目標比率に従ってリバランスもするべき。
深刻な景気後退でリスクが高まっているが、株式のリスクプレミアムに反映されている。
長期的には今投資しておくと将来のリターンは高くなるのではないか。2~3年後にはインフレ懸念も出てくるだろう。今株式に投資するのをやめておくというのは間違いだ。


【Q2】
世界同時不況下でも分散は有効か?また地域の分散と商品の分散のどちらが大切か?

【A2】
両方重要。
たしかに相関性は上昇した。金融危機時は係数1に近づく。
しかし、世界全体に分散することは必要。急速に伸びている中国・ブラジルのような国々や、オーストラリアのような資源国は、今後再びインフレが台頭してきた時の資産防衛策として必要。




【Q3】
今回のような金融危機の発生頻度は今後増えると思うか?

【A3】
私は今回のような金融危機がすぐに再燃するとは考えていない。
たしかに金融の規制に失敗はあった。グリーンスパンもそれを認めている。今後は、金融機関の自己資本比率は高いものが求められるようになるだろう。
しかし、将来にわたってバブルが発生しないかと言われれば、過去、常にバブルは起きてきたので今後も起こるだろう。
ただし、今回のような皆が借り入れを増やしてしまうような形での金融危機はもう起きないのではないか。


【Q4】
今の日本市場には魅力があると思うか?

【A4】
今の日本市場は稀に見るほど魅力的だと思う。
過去の日本株式への投資がいかに辛かったか語る必要はないと思うが、バリュエーションで見ると世界でももっとも割安な水準の国のひとつ。
デフレ論調は変わらないだろうが、過去と現在を同じに見てはいけない。いずれインフレは起きるだろうし、日本市場は魅力的だと思う。


お客さんの質問で多かった4つを取りあげたとのことでしたが、自分でも聞いてみたかったことが多く、みんな思っていることは似ているんだなあと思いました。
マルキール氏の答えを信じるのも信じないのも自己責任です。

個人的には、A1~A3は同感なのですが、A4はちょっとどうかなと思いました。
なぜなら、世界のPERを見ると、NYダウ30種 23.88倍、英国FT100指数 12.07倍、ドイツDAX指数 13.45倍、フランスCAC40指数 10.64倍、香港ハンセン指数 15.31倍、ブラジルボヘスパ指数 12.31倍、インドムンバイSENSEX30種 14.58倍等々に対して、日経225は43.83倍と割高だからです。(2009年5月17日現在)
まあバリュエーションはPERだけではないので、また違った見方もできるのだとは思いますが。(例えばPBRで見たり)


さて、バートン・マルキールセミナー全体を通しての感想です。
やはり、何度も何度も読んだ本の著者の生の声を聞けることは、何とも言えない感慨深いものがありました。
また、セミナーに落選してしまったかたもおられる中で贅沢な話ですが、もし話が「ウォール街のランダム・ウォーカー」に書いてあることばかりだと物足りないかも…とひそかに心配していました。
しかし、話の大半は現在の金融危機の分析と今後の見通しにさかれており、まさに今しか聞けない内容だったと思います。
もちろん、インデックスファンドの優位性等いつもの主張も直接生の声で聞けて、自分のなかでインデックス投資を続ける励みになりました。

このセミナーに参加できて、本当によかったと思いました。
このレポートが、読んでくださった皆さまの何かのご参考になれば幸いです。


P.S
この後、第二部として、マネックス内藤氏・バンガード加藤氏・セゾン投信中野氏によるパネルディスカッションがあったのですが、ここまでのレポートで力尽きてしまいました。
もうだめ…バタッ (o_ _)o
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Posted by水瀬ケンイチ