地下鉄ハイヒール事件簿
水瀬ケンイチ
朝、地下鉄が駅に到着してドアが開くと、後ろから物凄い力で押し出されます。それはもう、まるで親の仇みたいな勢いであります。
今朝もいつものように、自分の会社がある駅で、ドアの中からはじき出さ、ホームに出てふと足元を見ると……黒いハイヒールがひとつ転がっています。
なんでこんなところにハイヒールが?
一瞬、嫌な予感がしましたが、地下鉄は何事もなく発車し、ホームでもいつものようにサラリーマンの大群が早足に歩いているだけです。
飛び込みでもないとすると、なんですかコレは?
ホームの駅員さんがすぐに気づいて駆けつけてきましたが、首をかしげるばかりです。
そこで、ある思い出が頭をよぎりました。
なるほど、そうに違いない。
このハイヒールは、ある女性が満員電車から押し出される際、誰かにハイヒールを踏まれて、片方が脱げてしまったのでしょう。履きなおしに戻りたい。しかし、迫りくる人並みに抗うことは出来ず、女性は泣く泣く片足で降りていったに違いありません。
うんうん。分かるぞ、その悲しみ。
ああ、片方裸足の女性に幸あれ……!!
*****
ていうか、東京メトロは小洒落た駅ナカショップなんて作る前に、あの殺人的な通勤ラッシュをなんとかしろ!!助けてください!!
今朝もいつものように、自分の会社がある駅で、ドアの中からはじき出さ、ホームに出てふと足元を見ると……黒いハイヒールがひとつ転がっています。
なんでこんなところにハイヒールが?
一瞬、嫌な予感がしましたが、地下鉄は何事もなく発車し、ホームでもいつものようにサラリーマンの大群が早足に歩いているだけです。
飛び込みでもないとすると、なんですかコレは?
ホームの駅員さんがすぐに気づいて駆けつけてきましたが、首をかしげるばかりです。
そこで、ある思い出が頭をよぎりました。
【回想シーンはじめ】
数年前のある雨の朝、僕は満員電車に乗って会社に向かっていました。
四方のオヤジから密着され、身動きが取れない状態で耐えること数分、自分が降りる駅に到着しようかという時になって、持っていた傘が満員の乗客たちにはさまったまま、押しても引いてもピクリとも動かないことに気づきました。このままじゃヤバイ…。しかし、地下鉄は駅に到着し、例によって人波に物凄い力で押されはじめても、傘はいくら引っ張っても抜けません。僕は泣く泣く傘を握り締めていた手を放し、人波にもみくちゃにされながら電車を後にしました。
僕は、いざ地下鉄の混雑が緩和される頃、カタンと倒れたまま誰にも拾われない傘に思いを馳せ、呆然とホームに佇んでいました……。
【回想シーンおわり】
なるほど、そうに違いない。
このハイヒールは、ある女性が満員電車から押し出される際、誰かにハイヒールを踏まれて、片方が脱げてしまったのでしょう。履きなおしに戻りたい。しかし、迫りくる人並みに抗うことは出来ず、女性は泣く泣く片足で降りていったに違いありません。
うんうん。分かるぞ、その悲しみ。
ああ、片方裸足の女性に幸あれ……!!
ていうか、東京メトロは小洒落た駅ナカショップなんて作る前に、あの殺人的な通勤ラッシュをなんとかしろ!!助けてください!!
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