ETFは株式の配当等を内部留保して再投資できないのか、金融機関に聞いてみました

先日の記事「シティグループ世界国債インデックス連動の国内ETFが登場!」に、ベムさんから「ETFですから債券から受け取った利金を内部留保して再投資することはできません。早めに投資家に分配して問題ない」という主旨のトラックバックをいただきました。

ETFが内部留保したり再投資したりできないとは知らなかったので、なるほど~と思いました。
でも、自分で確認しないと気がすまない性分のため、証券会社・運用会社・証券取引所などの関係機関に、ETFの運用における配当・利息相当額の扱いについて質問をしました。
いくつかの金融機関から回答があったので、記事にとりあげます。

<質問>
ETFに含まれる株式の配当や債券の利息は、分配されるまでどのように運用されているのか?

<回答> 楽天証券・SBI証券・マネックス証券の場合
・運用会社に問い合わせてほしい (水瀬注:ごもっとも!)

<回答> 野村アセットマネジメントの場合
・キャッシュで保管している

<回答> 日興アセットマネジメントの場合
・基本的にキャッシュで保管している
・指数との連動性を保つため、一部先物で運用することがある

<回答> 大和証券投資信託委託の場合
・基本的にキャッシュで保管している
・指数との連動性を保つため、現物・先物で運用することがある


なるほど。各社とも、基本的にはキャッシュで保管しているようです。
しかし、日興AMと大和投信は、ETFに含まれる株式の配当や債券の利息について、「運用することがある」と明確な回答がありました。
特に、大和投信は現物で運用することがあると言っているので、これは「再投資」と考えても差し支えないような気がします。

運用各社の回答を聞く限り、「ETFですから債券から受け取った利金を内部留保して再投資することはできません」というのは、必ずしも正確ではないのかもしれません。
まあ、各社とも「基本的にはキャッシュ」と言っているので、運用するとしてもレアケースなのでしょうね。

伝聞情報も大切ですが、自分で直接調べてみると、また違った景色が見えてくることがあります。
本件はいい勉強になりました。


<ご注意>
・水瀬の質問がヘルプデスク・コールセンターの担当者に正しく伝わっていない、あるいは、担当者が誤った回答している可能性もゼロではありません。
・ETFとETNの違いを明確に使い分けた上で、ETFについて回答されているかどうかは分かりません。
・正確を期するためには、ご自身で確認されることをおすすめします。

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コメント

素晴らしい行動力です!!さすがは水瀬さんです!!


(発行市場と流通市場を分離した)ETFのコンセプトを守っての運用はできないということですかね。
極めて妥当な結果だと思います。
普通に現物や先物で運用するとなると、その為に運用体制を用意したり、売買手数料がかさんだりして、総資産から見るとわずかな部分に多大な手間がかかってしまう→せっかくの低コスト化を阻害するなんて理由があるんでしょうかね。

また、現物や先物で取引されているなら、税金の問題もありますが、とっとと投資家に還元→投資信託へという流れでもよさそうです。

楽天証券の「海外ETF入門講座」はおすすめ

https://www.rakuten-sec.co.jp/web/foreign/etf/guide/basic9.html

国による法律の違いなどでめんどくさいですが、ETFは大きく分けて「ユニット・インベストメント・トラスト(UIT)」と「オープンエンド型投資信託」の2種類です。

UITはADRなどと同じ「ある証券と同じ価値であることが保証された代替証券」のような性格を持ってるので、一口あたりの保有株式(など)の数は固定されていて配当を再投資できません。(再投資したら一口あたりの保有量が変わってしまう)

オープンエンド型投資信託は、名前から想像できるように一般的な投資信託をそのまま証券市場に上場したような形で、配当の再投資やWisdom Treeのようにアクティブファンドっぽい運用も可能です。

で、日本のETFはというと、全部を見たわけではないですが主なETFの目論見書を読むと「追加型証券投資信託」、つまりオープンエンド型のようです。
つまり運用会社の方針しだいでは分配せず再投資可能。

>特に、大和投信は現物で運用することがあると言っているので、
>これは「再投資」と考えても差し支えないような気がします。

その大和投信はこんな文書も出しているんですよ。
「当社が運用する指数連動型上場投資信託(ETF)の収益分配の仕組みについて」
http://etf.daiwa-am.co.jp/dividend/20081027.pdf
注目は「2. 収益分配方針」の項で、
>収益の分配は、(略)収益の額の合計額から(略)
>費用の額の合計額を控除した額の全額について行ないます。
「全額を分配」と公言しているということは、「再投資」と言えるような継続的な現物保有ではななく、現物に投資することはあっても一時的なものなのかもしれません。

ETFは毎日のように取引が行われて流動性を確保することが重要ですし、そのためには指数と連動していて「わかりやすい」価格がつくことがマーケティング的にも重視されるのかもしれません。
その一方で分配せずに再投資は長期保有でこそ有利になるわけで、そういう意味では日々の取引量の増加にはあまり貢献しません。
だから運用会社としては指数との連動性のほうが優先されるのではないでしょうか。

参考になります

運用報告書からみて内部留保?は
1306はキャッシュ保有
1308は先物保有だと思っていましたが
問い合わせ感謝いたします。

日興AMさんは日々の先物ポジションをエクセルファイルで開示しています
http://www.nikkoam.com/products/etf-topix/data.html
これを見ると、株式の決算日(権利日)の3月末に先物が増えます。
配当が入金するまでの間、未収金を含めた純資産が指数に連動する為に先物のポジションが増えるのだと理解していました。
そのあと、ファンドの決算日に先物が減るといった形になっています。
キャッシュで「保管する」といった表現は微妙な感じがしますね
株式ファンドだと入金までのタイムラグがあるのでやむなく先物ってことですかね
債券ファンドだとタイムラグはもっとすくないのでほぼキャッシュ保有になるのかどうか・・・

さて、利息、配当をキャッシュで持っていた場合は
純資産に対してファンドの信託報酬がかかりますので
1677は、低金利下ではキャッシュ=短期資産は
短期金利<信託報酬になってしまいますね
毎月キャッシュを吐き出した方が得なような気もします
ただし、決算書の郵送や分配の振込みなどコストはかかります
ファンドに一番やさしいのは、
「電子交付&証券口座配当受取」なんでしょうかね
結果的に受益者の利益になるかと思いますので・・

また、毎月分配については、グロソブ世代の人たちも投資してくれると
取引所での流動性がある程度確保できて結果的にスプレッドが小さくなるといいなと勝手に思っています。

長文失礼です
正しく理解できていない部分があるかもしれないのでご参考までに

では,REIT-ETFは?

ETFの構造上,
基本的にキャッシュで保有することになり,
毎月分配することは思ったほど悪くないとなると,
債券だけでなく
株式やREITにも同じ事がいえるのでしょうか?
無知ですみません。

インデックスファンドも
解約に備えてキャッシュポジションをとっているわけですから,
あまり変わりがないのでしょうが…。

>吊られた男さん

恐縮です。
自分で聞いてみると意外な答えが返ってきたりして面白いですよ。


>アルビレオ師匠

運用会社3社に聞いた限りでは、運用と言っても、分配するまでの間、かつ指数に連動させるための運用に過ぎないようです。
アルビレオ師匠の仰るように、再投資といっても一時的なものなのかもしれません。


>しらねさん

長文のご考察、参考になります。
ありがとうございます。
本記事が、しらねさんの何かのご参考になったのであれば幸いです。


>stern18さん

運用しないでキャッシュで保有しているだけなら、早く分配してもらった方がよいという考え方もあると思います。

でも、上記しらねさんもご指摘されているように、分配のためのコストが発生します。分配金はコスト控除後に分配されますので、毎月分配が一番よいかどうかは微妙だと思います。
ただ、少ないインカムゲインを分配するのも多いインカムゲインを分配するのも同じコストだと仮定すると、REITなどインカムゲインが多いアセットクラスの方が毎月分配に向いていると言えるかもしれません。

僕もよく分からなくなってきました(^^;

REITの分配

しらねさん
深く考えずに「未収配当金の分まで指数に連動させる必要はないのでは?」と思ってましたが、キャッシュの分にまで信託報酬がかかって目減りしてしまうのを見落としていました。
おっしゃるように株式の受け取り配当は権利確定の時点で資産計上されるけどキャッシュとして受け取るまでのタイムラグが大きいですが、さらにその配当額も「見込み」にすぎないのもやっかいです。
正式に配当額が確定するのは株主総会なので。
おそらく見込み額と実際の額にずれがあればさかのぼって信託報酬などの計算もやり直さないといけないと思うので、「ETFは機械的に保有しているだけ」といってもけっこう面倒ですね。

水瀬さん
>REITなどインカムゲインが多いアセットクラスの方が毎月分配に向いていると言えるかもしれません。

REIT-ETFは不動産に直接投資しているわけではなく、不動産投資法人のREIT証券を保有しているだけです。
そして日本のREIT証券は大半が年二回分配(次に多いのは年四回)なので、理屈としてはREIT-ETFの毎月分配は無理です。
外国REITの分配頻度はどうなのかわかりませんが。

債券も年二回または四回の利払いとなってる銘柄が多いのはいっしょですが、毎月新規発行されるので発行月の違う債券を保有することで毎月クーポンを受け取り、毎月分配することが可能になります。
逆に分配が年二回のファンドなら、保有債券の発行月を決算直前の時期に集中させることでキャッシュ保有期間を短くすることもできますね。

ありがとうございます。

皆様

不躾な質問にもかかわらず、
丁寧にお答えいただきありがとうございます。
私には頭を整理する時間が必要なようです。
またいろいろとお教え下さい。
ありがとうございました。

アルビレオさん(師匠とお呼びすべきか・・・)

>そして日本のREIT証券は大半が年二回分配(次に多いのは年四回)なので、理屈としてはREIT-ETFの毎月分配は無理です。

REITも銘柄によって決算期がバラバラなので、やろうと思えば毎月分配も可能ですよ。

http://www.japan-reit.com/page/data-top.html


水瀬さん

今回は拙ブログの記事をきっかけにいろいろ確認いただきましてありがとうございます。

どこも原則はキャッシュで保管ということで、書いたことが基本的に間違いでないことが判明し。ひと安心しております。

>ベムさん

ベムさんには申し訳ないのですが、僕の考えはそうではなく、一部とはいえキャッシュで保管されない事例があるのだから、「ETFですから債券から受け取った利金を内部留保して再投資することはできません」というのは、言い過ぎではないかという疑惑を持ったという意味の記事です。

国内運用3社に引き続き、バンガード社から回答がありましたので、新たな記事を書き起こしました。
そこでは、ベムさんのコメントは誤りであるとの結論に至っております。

http://randomwalker.blog19.fc2.com/blog-entry-1182.html

P.S
記事本文にも書きましたが、コメント内容の真偽のみを論じたものであり、ベムさんご本人には含むところはございません。
もし気分を悪くされたらお詫び申しあげます。

>ベムさん

おお、見事に決算期がバラバラですね。
たまたま見たところが3月/9月決算となっていたので、株式会社のようにこの時期に集中しているかと勘違いしていました。(しかも年四回なんてないじゃん…どこで間違えたんだか)
こんな一覧を見やすいサイトがあったんですね。

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