相関係数の誤解

水瀬ケンイチ

世の投資本や投資ブログを見ていると、相関係数について誤解があるのではないかと思うことがあります。

ひとつめは、「株式と債券は逆の動きをする」と言い切るかたがおられること。
ファイナンシャル・プランナーでもこう仰るかたがおられます。
結論から先に書くと、株式と債券の相関係数は、その時々でプラスにもなることもあるし、マイナスになることもある(正の相関にも負の相関にもなる)ので、必ずしも逆の動きをする(負の相関になる)わけではないと思います。

おそらく誤解の根源には、なんとなく相関係数は一定だという思い込み(例えば、よく引用される公的年金の相関係数がずっと続くという思い込み)があるのではないかと推測します。
でも、おそらくそれは間違いです。実は、相関係数は常に動き回っているのです。

では、どれくらい動き回るのか?データで見てみます。
これは、1979年から2006までの米国債と株式の相関係数の推移です。
米国債と株式の相関係数の推移
(「ウォール街のランダム・ウォーカー」(バートン・マルキール著) P.266より)

27年間で、プラス圏では+0.9近くにもなりますし、マイナス圏では-0.4近くになっています。
相関係数にけっこうな幅があることに気づくと思います。

余談ですが、だからといって株式と債券の分散投資が意味がないと結論付けるのは早計です。相関係数が常に+1でない限り、分散効果はあると思います。



ふたつめとして、今回の金融危機時によく聞かれた、「金融危機時は各アセットクラスの相関が強まる」という主張があります。(これに続けて「だから分散投資は意味がない」と続くことが多いようですが)
これは、半分正しくて、半分間違っていると思います。

たしかに、今回の金融危機時には、相関係数は+1に近づいたものと思われます(手元にデータがありませんが)。
しかし、正確には、金融危機時であろうとなかろうと、普段から相関係数は強まったり弱まったりしているに過ぎないということです。
あたかも、金融危機時だけ相関係数が高まるかのような主張は片手落ちのような気がします。
ちなみに、2001年頃、当時史上最大のバブル崩壊と言われていたインターネット・バブル崩壊時の米国債と株式の相関係数は、-0.3くらい(負の相関)でした。

まとめ。
相関係数は常に動き回っており一定ではないという基本認識を忘れないようにしよう。


P.S
ゆえに、効率的フロンティアを厳密に追い求めてもあまり意味がないと考えています。ポートフォリオの期待リターンとリスクも目安だと思っています(それでもとても重要だと思いますが)。


(ご注意)
本記事はあくまでいち個人投資家の個人的見解です。情報不足による誤解釈や見当違い等があるかもしれません。言わずもがなですが、投資判断については自己責任でお願いいたします。
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Posted by水瀬ケンイチ