第2回インデックス投資ナイト実況レポート(その2)

水瀬ケンイチ

第2回インデックス投資ナイト実況レポート(その1)」の続きです。
本レポートについては、私が現場で見聞きした内容に基づいた解釈・まとめなので、曲解・誤解などがあるかもしれません。あらかじめご了承ください。

イーノ氏
「で、ここからアジェンダに入ります。30代夫婦に対してどんなアセットアロケーションをおすすめするか、登壇者の方々に紹介してもらいます。まずは山崎さんからお願いします」

<山崎氏のアセットアロケーション>
日本株式 50%
先進国株式 35%
新興国株 15%

山崎氏
「だいたいこんな感じです。株ばかり100%ですか?ということになるが、リスクをとってもいいと思う金額をこういう形にしたらどうかということです。普通に生活しているとすると、借金をしないようにして、普通預金に生活費が何か月分か入っていれば、残ったお金については、30代の健康な夫婦であればすべて投資してしまっても構わないと思う。
しかし、どういうアロケーションを持つべきなのかについてはここの投資家によってかなり条件が違うと思う。そういう意味では、30代夫婦という条件はいささか曖昧であると言わざるを得ない。
将来お金を稼いでくる価値を、株式のように評価すると人的資本と呼ぶ。人的資本が大企業のサラリーマンだと30歳の時点で1億5千万円とか2億円とかいう価値があると思う。例えば1千万円を持っていたとしても、人的資本の1億5千万円とかにごく一部を付け加える部分の1千万円をアロケーションするというわけだから、人的資本がかなりのバッファになる。資本の反対に負債、将来の支出があると思うが、JALの年金みたいにいくら払わなければいけないとはっきり決まってるわけではない。そう意味では、伸縮性がある。だから、リスク資産は効率よく運用すればいいということになる。
国内債券と外国債券は基本的に同じ期待リターンだと考えている。為替のヘッジができないという条件でアロケーションを考えているので、外国株式をこれだけ買うことを考えると、更に外国債券のアロケーションを増やすと、為替リスクがかなり大きくなる。だから、外国債券は入ってこない。
新興国の株式が15%入っているが、リスクの推計を過去10年の数字を見ると、日本株式がリスク(標準偏差)で18%、先進国株式が19%、新興国が27%というくらいのイメージ。
日本株式 50%、先進国株式 35%、新興国株 15%というアロケーションだと、多少は分散効果が働き、全体のリスクは計算すると17%くらいになる。日本株式だけに投資するよりも若干低いくらいのリスクで外国株式に投資できるというアロケーション。
日本株式と外国株式の相関関係が大きくなってきて分散効果が働かないと言われているが、過去10年で相関係数を計算すると0.6くらい、過去30年で計算すると0.25くらいになる。ある程度分散効果はあるので外国株式も買ってみたらいいのではないか、そんな風に思う」

(水瀬注:怒涛の説明ラッシュ。人的資本を考えると株式100%でいいというお考えのようです。基本的には各アセットクラスの相関係数を加味しつつリスク(標準偏差)を計算してアロケーションが決定されています。また、やっぱり出てきた、外国債券と日本債券の期待リターンが同じというお話(笑)。期待どおりのご主張です。あとで誰かが突っ込んでほしいところです)

イーノ氏
「ありがとうございます。質問は最後にまとめてお願いします」

内藤氏
「あのー、twitterにお話が難しいというコメントが入っておりますが(笑)」

イーノ氏
「壇上の方々は空気を読みつつお願いします」

内藤氏
「かなり会場の空気が凍ってますよね。なんかよく分からないところに来ちゃったなーみたいな(笑)」

イーノ氏
「きっと竹川さんは優しく教えてくれますよ。それじゃお願いします」

田村氏
(ぼそっと)「すいません、ウィスキーをストレートでお願いします」(会場爆笑)



<竹川氏のアセットアロケーション>
日本株式 30%
先進国株式 30%
新興国株式 10%
日本債券 15%
外国債券 15%

竹川氏
「かなりアバウトな条件設定だが、将来働き続けるつもりで、ある程度の蓄えもあり住宅をすぐに買う予定もないので、ある程度投資資金に向けられるとして考えてみた。
考え方としては、株式と債券を7:3くらい、株のうち4割を日本株式、6割が海外株式。そのうち2割が新興国株式。債券に関しては、日本と海外が半々。
積立投資で、期待リターンが6%くらい、月3万円積み立てで3千万円ぐらい貯めるイメージ。期待リターンは、2009年度国内信託銀行の平均値を使っていて、リスクは10年と30年で取ってみたがそんなに差はなく、12~13%くらい。
あくまでも30年後とか35年後を見据えて積み立てていくのであれば、このくらいであれば怖がらずに続けていけるのではないかというアロケーション。ただ…」

イーノ氏
「ただ?」

竹川氏
「おすすめをしろと言われたので出したが、私はおすすめをするのは好きではない。なぜかというと、企業年金研究所で企業のライフプランセミナーをずっとやっている。50歳代のかたにバランスシートや損益計算書を作っていただいて、70歳までのキャッシュフロー表、長期家計プランを作ってもらっているが、同じ会社に勤めていて同じような給料を30年以上もらってきたはずなのに、あまりに差があるんですよ」

イーノ氏
「何に差がある?」

竹川氏
「キャッシュフローが。ご家庭ごとに違う。アセットアロケーションを組む前に、最初にやるべきは、ちゃんとその時点のバランスシート、損益計算書、キャッシュフロー表を作らないと、最大どれくらい損をして大丈夫かという金額がまったく分からないので、それが大前提だと思う。
さらにもうひとつ、60歳で必要な金額をアバウトでいいので把握すること。年金定期便が届くようになったので、将来の収入がどれくらいで支出がどれくらい必要なのかを想定する」

(水瀬注:竹川氏はバランスシート、損益計算書、キャッシュフロー表を作ることをとても重視されています。投資の前に、自分の財務状況を把握しなければ、リスク許容度もわからないだろうというのは納得)

イーノ氏
「ありがとうございました。次はカンさんお願いします」

<カン氏のアセットアロケーション>
日本株式 5%
先進国株式 20%
新興国株式 25%
円建てMMF 30%
海外債券 20%

カン氏
「具体的にイメージをしてみた。田中一郎さん35歳(会場爆笑)、東京都練馬区在住、共働き。初めて投資をするので投資に対して半信半疑です。ですから、生活防衛資金を確保した上で、まぁこの金額くらいだったら出せるというのが保守的に毎月フローで3万円、ストックで500万円。
円建てMMFを確保しているのはポートフォリオの損失幅を軽減するため。生活防衛資金を確保していても、ポートフォリオに安全資産を持つというのは重要なこと。
ポイントは株式で、先進国:新興国を5:5にする。
ポートフォリオを作る前提となるリスクと期待リターンは過去のデータに基づいて作られている。皆さん未来のことは分かりますか?未来の事は分かりません。ということは、最低限のルールは守りながらも、アセットアロケーションは皆さんの未来感を反映するものであるという考え方でいいと思う。
このポートフォリオは、ちょっと大げさに言うと世界経済の主役が今後20年程度をかけて、先進国から新興国へ変わっていくという未来の変化をある程度先取りしているアロケーションである。
毎月ベースの投資はインデックスファンド、500万円のストックはETFを考えている。
さっき山崎さんからお話のあった外国債券、私は入れるべきだと考える。為替リスクはあるが、田中一郎さんが65歳まで運用を続けてセカンドライフに入り引き出しをしていく時は、例えば年に1回数パーセント引き出し、一気に引き出さない。外国債券も20年から30年かけて取り崩すので、為替リスクも相当程度軽減できるのではないかと考える」

(水瀬注:カン氏の特徴は、なんといっても新興国株式比率の高さでしょう。かなり思い切ったアロケーションだと個人的には感じますが、期待リターンやリスクは過去データなので未来の変化を先取するというのはひとつの見識だと思います)

イーノ氏
「貯金を含めてこのアロケーションですか?」

カン氏
「いいえ、生活防衛資金は別に確保するべき。このポートフォリオは10年以上引き出さなくてよい資金という前提」

(水瀬注:やはり、アグレッシブなアロケーションには生活防衛資金が欠かせないようですね^^)

イーノ氏
「ありがとうございました」

山崎氏の怒涛の解説から、内藤氏・田村氏がいい感じで和ませてくれ、だんだんとくだけた感じになってきて、お客さんもリラックスしてきたような感じでした。
それにしても、ここまでお三方ともおすすめアセットアロケーションが違います。
そこには、単なるアセットアロケーションの違いではなく、人生設計の考え方そのものの違いがあるという感じです。
どれが正しいということではなく、何に着目して考えるかというところだと思います。

ここまでで3人分。まだ3人分あります。
実況レポート大変…(^^;;

(次回に続く)


<追記>シリーズ記事一覧
第2回インデックス投資ナイト実況レポート(その1)
第2回インデックス投資ナイト実況レポート(その2)
第2回インデックス投資ナイト実況レポート(その3)
第2回インデックス投資ナイト実況レポート(その4)
第2回インデックス投資ナイト実況レポート(その5)
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Posted by水瀬ケンイチ