「DC加入者はなぜ元本確保型に投資するのか?」についての余談

水瀬ケンイチ

前回の記事、「DC加入者はなぜ元本確保型に投資するのか?」では、ニッセイ基礎研究所の調査による意外な結果をご紹介しました。

結論から言うと、DC加入者の資産配分で株式投信が少ないのは、(1)株式の期待リターンを低く見積っている、あるいは、(2)株式運用のリスクを高く見積っている、という2つの理由が考えられるが、調査の結果、(2)株式のリスクを高く見積もっているからではなく、(1)株式の超過リターンが低いと考えているからだとわかった、というもの。
僕がなんとなく、株式比率が低い人はリスクが怖いからだと思っていたので、リターンが低いからだというのは意外だったというお話でした。

データを見ると確かにそうなっており、面白いなと思うと同時に、実は、なんか腑に落ちないなとも思っています。
そこで、余談スタート。



今まで当ブログにいただいたコメントで、401k教育の現場がいかに適当で不十分かを表す事例をたくさんいただいていたことが引っかかっています。前回の記事にも同様のコメントをいただきました。それが正しい現場感覚のような気もします。
それに加え、質問が難しい。

「今から非常に長期(今後30年程度)の資産運用をする場合、株式投資は銀行預金と比較してどの程度有利だと思われるか」に対して「○○%」と選ばせるんですよ。曲がりなりにも株式投資をしている自分ですら、「えーと…株式のリスクプレミアムは○%程度と言われているし…日本株式クラスの過去リターンは大体○○%で、銀行預金利率が大体○○%だから…でも今後はリスクプレミアムは縮小するという見通しもあるし…金利は急上昇する可能性も言われているし…」などと知識を総動員しなければ答えられないような内容です。
「100万円で優良企業数十社に投資する株式投資を始めた場合、1年後、日本経済が予想以上に悪化した場合、最大でどの程度の損失を被るか」にしたって同様です。
それを、株式投信非保有者に聞いてるんですよ。う~む。

そこまで考えて、ある統計を思い出しました。

日本PTA全国協議会がやっている「子どもに見せたくない番組」調査で2004~2009年まで『ロンドンハーツ』が6年連続で1位。これだけ見るとどの親もぶっちぎりでロンハーを見せたくないと考えているように思ってしまうが、実は回答で一番多いのは「特になし」で実に6~7割を占めているという話。
「子どもに見せたくない番組」調査の真偽のほどは定かではありませんが、一般のアンケートで「特になし」や「わからない」が切り捨てられることはよくありそうな話ではあります。

翻って、今回のニッセイ基礎研究所の調査。
もしかしたら、リスクも期待超過リターンも「よくわからない」(だからこそ元本確保型にしてるんじゃ!)という株式投信非保有者のスナオな回答が、相当数切り捨てられているのではあるまいか。
もしかしたら、株式投信非保有者のうち、相当のツウの意見がデータとしてあがってきているのではあるまいか。
そんな疑惑がふつふつとわいてきました。

まぁ、詳しい調査結果が公開されているわけではないので確かめる術はありません。
データは、それはそれでひとつの事実です。
どう理解するかは受け取り側次第ということですかね。
以上、長々とした余談でした。
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Posted by水瀬ケンイチ