マイアセットアロケーションを肴に語る(その2) 高い株式比率について

水瀬ケンイチ

前回の記事の続きです。

(1)本質的に上がるもの
「上がるもの」の代表選手が株式だと思います。株式会社は、土地や金などその他の投資対象と違い、自ら変化するものです。そして、内部的には、経営者や従業員はその企業を良くしていこうという方向性を持ち、外部的にも、顧客・取引先・株主等がその企業を良くしていこうという方向性で圧力をかけます。結果的に、株式会社という仕組みは、資本主義経済をここまで発展させてきました。
株式投資の未来」(ジェレミー・シーゲル著)によると、

「1957年2月28日、米国S&P500のインデックスファンドを1000ドル買って、配当を全て再投資に回したなら、2003年12月31日、当初の1000ドルは、約125,000ドルになっている。」

とのことです。途中、バブル&崩壊をいくつか経験しながらも、48年で実に125倍です。こんなにも「上がるもの」は他にはなかなかありません。

債券は、国や自治体等の借金の借用書であり、安定的に利子を払ってもらえるものだと思います。途中で売却しないで償還期間まで持ちきれば、「上がるもの」だと思います。ただし、その上がり具合は、株式に対して控えめです。
ウォール街のランダム・ウォーカー」(バートン・マルキール著)によると、時代区分で見た米国の株(S&P500)と債券(高格付け、長期社債)のリターンを比較すると、
1946年~1968年(安寧の時代) 株式14.0% 債券1.8% 物価上昇率2.3%
1969年~1981年(受難の時代) 株式5.6% 債券3.8% 物価上昇率7.8%
1982年~2000年(豊穣の時代) 株式18.3% 債券13.5% 物価上昇率3.3%
となっています。
※これはあくまで米国の例で、現在の日本の債券は冗談みたいな利率しか付いておらず(本日の10年国債1.595%)同列の債券として並べるのはちょっとなという現状です。

それでは、不動産はどうでしょう。これは難しい。
日本では長い間不動産は投資の王様でした。しかし、バブル崩壊以降、不動産神話も崩壊、10年以上資産価値は下がり続けています。
本質的に、「土地」は、地球上の陸地が限られている限り、価値は「上がっていくもの」だとは思います。しかし、土地の上に乗っかっている「建物」は、時とともに劣化します。
劣化するものとしないものがセットである複雑なものであるのに加えて、不動産が稼ぎ出す地代や賃料の妥当性は、地域経済等の需給の影響を強く受けています。不動産全体としては、「うまくやれば上がるもの」という感じでしょうか。

(2)本質的に「中立的なもの」
金・銀・大豆等の商品先物は、上がるか下がるかは、本質的に5分5分、つまり中立的だと思います。持っているだけでは何も儲からない。価格の上下を引き起こしているのは、需要と供給のバランスで、本質的にどちらか一方向に動き続ける方向性は持っていないと思います。市場全体のリターンの合計は「ゼロ」であり、いわゆるゼロサムゲームであります。誰かの儲けは誰かの損失というわけです。

それでは、外国為替はどうなんだろうと悩みました。
外国為替は持っているだけで金利が付くので、「上がるものの」と言えない事もありません。
現に、「内藤忍の資産設計塾 実践編」(内藤忍著)の中では、外国為替証拠金取引を「債券クラス」として扱っています。一方、「お金がふえるシンプルな考え方」(山崎元著)では、「為替リスクは、基本的にゼロサムの「投機のリスク」である」としています。
僕の経験上、外国為替は、為替変動の影響が大きく、多少の金利収入などほんの一瞬で吹っ飛んでしまいます。主として為替変動に賭けるという意味では、「中立的なもの」だと考えています。

(3)本質的に「下がるもの」
本質的に下がる資産をわざわざ買う人はいませんし、あまりありません。強いて言うなら、手に入れた瞬間から中古として価値が下がり続けるという意味で、自家用車は「下がるもの」でしょう。
余談ですが、某巨大掲示板で、手に入れた瞬間から間違いなく価値が劣化する資産として、「妻」をあげていた猛者がいて思わず膝を叩きましたが、「ウチだけは断じて違う!」という反論を表明しておきます。 ※最近、妻が当ブログを見ております…(笑)


横道の話が長くなりましたが、早期リタイアのための大きな投資資金を作り上げるために、最も「上がるもの」と考えられる「株式クラス」に、多くの資金を投資しているというわけです。

債券を少し加えているのは、「リターンをそんなに減らさずにリスクを減らす」という分散効果を狙っています。この分散効果の詳しいところは、各種文献をご参照ください。とても一言では言えません。しかし、どのくらい債券を加えたらいいのかについては、前出の「ウォール街のランダム・ウォーカー」(バートン・マルキール著)に分かりやすい方法が出ていましたのでご紹介します。

「簡使法として、ポートフォリオに占める債券の組み入れ比率を、自分の年齢と同程度にするのがよい」

とのこと。僕は3●歳ですから、債券30%、株式70%前後になるでしょうか。そこに、投資の目的を勘案して少し攻撃的にしたのが、現在のアセットアロケーションです。

(次回に続く)

<ご参考1>ライフサイクルに合わせた投資の手引き ~お勧めアセットミックス~
 【20台半ばの投資家】
  現金:5% 債券20% 株式65% 不動産10%
 【30代後半から40台初めの投資家】
  現金:5% 債券30% 株式55% 不動産10%
 【50台半ばの投資家】
  現金:5% 債券37.5% 株式45% 不動産12.5%
ウォール街のランダム・ウォーカーより)

<ご参考2>参考文献(書名をクリックすると詳細画面へとリンクしています)
・「株式投資の未来」(ジェレミー・シーゲル著)
・「ウォール街のランダム・ウォーカー」(バートン・マルキール著)
・「内藤忍の資産設計塾 実践編」(内藤忍著)
・「お金がふえるシンプルな考え方」(山崎元著)
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Posted by水瀬ケンイチ