債券投信はいいけど通貨選択型には気をつけて

水瀬ケンイチ

投信市場で「株から債券へ」の流れが鮮明だそうです。

【日経新聞2010年8月13日朝刊4面より引用】
投信も「株から債券へ」 リスク避け分配金求める
安全志向を強める投資マネーの債券買いで、先進国の長期金利低下が続く中、日本の投資信託市場でも「株から債券へ」という資金の流れが鮮明になっている。欧州不安後の回復が鈍い株式投信が敬遠される一方、相対的に価格変動リスクが小さく、分配金も見込める商品が多い債券投信が資金を集めている。債券投信の人気を背景に、7月の公募投信は16カ月連続で新規購入が解約・償還を上回る資金流入を記録した。
(中略)
中でも人気なのは、高利回り債と高金利通貨での運用を組み合わせて、分配金の高さを売り物にする投信だ。1年間の分配金総額を残高平均で割った「分配金利回り」は右肩上がり。野村総合研究所によると、7月は6.5%と約2年半ぶりの水準まで上昇した。
【引用おわり】

債券クラスへ投資すること自体はおかしなことではありません。
しかし、その投資商品が日経新聞の中で人気と書かれている「通貨選択型投信」だと話は別です。
通貨選択型投信は、投資対象資産のリターン、為替ヘッジプレミアムによるリターン、選択通貨の値上がりによるリターンの3つの収益獲得を目指した投信ですが、この仕組みとバランスが理解できるでしょうか。

たまたま昨今の経済情勢だと高い分配金で儲かっているかもしれませんが、どの変数がどれだけ変わると最終的な損益にどれだけ影響を与えるかが分かっていないと、車の運転方法がよく分からないまま真っ直ぐな高速道路を突っ走っているのと変わりません。カーブが来たらあっという間にドカンです。



YOMIURI ONLINEのコラム「ランキングで読み解く投信」(2010年3月11日)によると、米国ハイ・イールド債券をブラジルレアルでヘッジした場合のリスクを算定したところ、リスクは原資産の18.4%から40.6%まで上昇しました。
これは新興国株式クラス並みのリスクです。

最近読んだ「投資信託にだまされるな![新版]」(竹川美奈子著)によれば、通貨選択型投信は買ってはいけない投信だそうです。
その本に「通貨選択型投信が抱える5つの問題」が載っていたのでご紹介しておきます。

1.投資対象がハイリスク商品である(ハイ・イールド債、新興国の債券など)
2.選択できる高金利通貨は為替の変動が激しい
3.高い分配金がずっともらえるとは限らない
4.手数料が高めに設定されている
5.通貨切り替え時にスイッチングコストがかかる

「自分は仕組みやリスクも理解しているしコストにも納得しているのでいいんだ」というかたは止めるつもりはありませんが、そのあたりがよく分からないかたは、よく言われる「自分が理解できないものには投資しない」という原則に従っておいた方がいいかもしれません。


※言わずもがなですが、投資判断は自己責任でお願いいたします。
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Posted by水瀬ケンイチ