購買力平価で見た円の適正水準ってどれ?

最近、ニュースも新聞も円高、円高と騒いでいます。

直近のレートで1ドル85.61円(2010年8月20日)となっています。
でも、本当に今の水準が円高なのでしょうか。
ひとつの尺度として購買力平価で見た為替レートがあります。
調べてみたところ……

■国際通貨研究所のPPPデータ(2010年5月)
・消費者物価PPP 1ドル 136.71円
・企業物価PPP 1ドル 105.33円
・輸出物価PPP 1ドル 72.16円
(出典:国際通貨研究所 主要通貨購買力平価(PPP)

■経済協力開発機構(OECD)のPPPデータ(2009年)
・1ドル 115円
(出典:OECD Purchasing Power Parities

■ビッグマック指数(2010年)
・1ドル 85.7円
(出典:投信で手堅くlay-up! ビッグマックの価格から見た購買力平価水準


多少時期が違うのはありますが、1年で購買力平価がそう大きく変わることも考えにくいのでここでは横においておきます。
それでも、結構なばらつきがあります。

田村正之氏は、著書「しぶとい分散投資術」のなかで、国際通貨研究所のPPPデータの企業物価PPPを上限、輸出物価PPPを下限にした範囲で推移してきたと指摘しています。
これでいけば現在の1ドル85.61円はちょうど真ん中あたりで適正水準のようにも見えます。
ビッグマック指数で見ても、ほぼ同一で適正水準のように見えます。

でも、経済協力開発機構(OECD)のPPPデータは、115円とずいぶん離れています。
これでいけば現在のレートはかなりの円高水準のようにも見えます。
これは国際通貨研究所の3種類のPPPでいったら、どれにあたるのだろうか?

データがたくさんあるのはうれしいことですが、迷います…(^^;
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コメント

ご紹介ありがとうございます。
ちょうどいいタイミングに、今朝の日経新聞でもビッグマック指数の話(経済面)や、ドル円相場は企業物価PPPを上限、輸出物価PPPを下限にした範囲で推移してきたと説明する特集記事が書かれていますね(田村さん)。

様々な数字がありますね

自分もビッグマック指数以外の購買力平価について調べていたのですが、OECDのデータがかなり想像と違っていたのでビックリしました。

そもそも購買力平価にもいくつか数字があったりと、どのデータに着目すればいいのかよくわからないです...

竹中正治氏のブログでも、日経新聞の購買力平価の記事が取り上げられていました。
http://blogs.yahoo.co.jp/takenaka1221/7208761.html
以下、ブログより抜粋
>> チャート好きの方は、企業物価PPPを「ドル相場の抵抗線」、輸出物価PPPを「ドル相場の支持線」のようにイメージするかもしれないが、そうした論理的な根拠はない。(もっともチャート分析に論理的な根拠はないと私は考えている。)

購買力平価にも欠点がある

購買力平価は長期的な為替水準を考えるときに有効ですが、欠点もあります。
例えばビックマック指数を考えます。
ここで米国のビックマックと日本のビックマックを貿易を通じてビックマック指数に均衡させればビックマック指数が最も有効であると言えます。
仮に現在のレートが85.61円、ビックマック指数が85.7円であれば米国のビックマックの方が割安なので米国のビックマックを日本に輸出します。
ただし、輸送コストを抑える目的でタンカーを使えばビックマックが腐ってしまいますし、チャーター便を使うと輸送コストが高くついてしまいます。
ですから、ビックマックを使った裁定取引が事実上できません。
つまり、ビックマック指数は現実的にはあまり有効ではありません。
その他に、消費者物価を使う場合はセレブ路線と言われる北総鉄道のサービスを英国へ、ロンドンの地下鉄サービスをタンカーやチャーター便などで日本へ輸出する事もできません。

現実的には日本で言う自動車など、お互いに貿易できる物でなければ購買力平価は成り立ちませんし、そうであっても関税などのコストもあるので、長期でなければその効果が出てこない事はよく知られています。

その他にも購買力平価の欠点として挙げられる典型例はフィリピンの女の子は何故、日本まできてホステスをやるのか?という事も1つです。
これは数十年前から存在して、今でも存在しています。
これは明らかに絶対的購買力平価が成り立っていない事が確実に言えます。
つまり、1つの物価ではなくてフィリピン全体の物価が日本よりも大きく低くなるような為替レートが実現されています。
10年前の時点では日本円をフィリピンへ持っていくと価値が10倍になると言われていました。
普通に考えればホステスが日本で得られた賃金をフィリピンペソに替える事で円とペソの間で購買力平価へ均衡した為替レートを実現すると考えたくなります(事実上貿易と同じ効果があるにも関わらず)。
それが実現しないので(何らかの理由でフィリピンペソが円に対して下落している)、相対的購買力平価を使うのが良いと言われている国です。
これと対照的なのはEUです。
東欧諸国では相対的に賃金の高い英国やドイツへの出稼ぎ労働で賃金格差が減少しているそうです。
この場合はほとんどの国が意図的にユーロへペッグ(あるいは自国通貨がユーロ)していたりするので、フィリピンとはケースが違います。

そういう訳で、購買力平価は参考にはなりますが、欠点もあるので僕の場合は金利平価を使う場合があります。

補足です

購買力平価でみる方法としてはビックマック指数、消費者物価、企業物価、卸売物価、GDPデフレーターの他に、実質実効為替レートもあります。
こちらは、あくまでも複数の国と比較して輸出競争力をみる物なので、購買力平価の考えと貿易の両方を考慮した為替レートです。

こちらの数字は1国ではなくて貿易対象国全てを考えるので、全般的な通貨の強さをみます。
この指数は2005=100としてある為、分かりにくいので1973/01~2010/07の平均値からの乖離でみると、豪ドル+13.83%、NZドル+11.60%、スイスフラン+12.43%、日本円+8.94%、ユーロ+3.10%、米国-6.74%、英国-12.83%となっており、明らかに強いのは豪ドル、NZドル、スイスフランです。
日本円も若干強めと言えそうです。
逆に米ドルは若干弱め、英国ポンドは弱い通貨と言えそうです。

購買力平価と一言で言っても色んな指数があり、一般的にはあまりにも妥当位置から離れて強くなると輸出競争力を失うので通貨下落圧力がかかり易く、逆に妥当位置から大きく離れて弱くなると輸出競争力が強まって通貨上昇圧力がかかり易いと言えます。
実際に、円安バブルの時の日本円の実質実効為替レートは2007/07時点では-20.91%と大きく円が安くなりまして経常収支の黒字が過去最大級(≒外国通貨を売って円を買う)になりました。
なお、これらの数値は1973/01~2010/07までの平均値を使用して算出しています。

コメントありがとうございます。
ちょっと記事で言葉足らずだったのですが、
もちろんPPPの絶対水準は、
基準年しだいで変わりますよね。

輸出物価と企業物価の間で動いているのは
今回の記事や「しぶとい」で使った
1973年基準の場合というふうに。

なので、絶対水準というより、
使っているそれぞれのデータ(例えば1973年基準)に関して
過去との相対的な
位置の変化を参考にすればいいのかな、と
個人的には思っているのですが……

>じゅん@さん

いろいろ調べて書いた記事だったのですが、翌日の日経新聞にその情報がほぼ出ていて(OECDのPPP以外)脱力しました…(^^;
まぁ世の中の注目テーマということで。


>PETさん

購買力平価も様々ですね。
いろいろあってわからなくなります。


>hinoさん

竹中氏は元国際通貨研究所のかたで、あのデータを自力で作ったかたなんですってね。びっくりです。

たしかに、抵抗線とか支持線とかって、チャートといえばチャートの話ですよね。
インデックス投資家があまり信じていないチャート分析、購買力平価の時だけ信じるのか?とか悶々としたり。


>タカちゃんさん

購買力平価にも弱点があるんですね。
ありがとうございます。
欧州でもスイスは購買力平価に沿っていないらしいですね。


>田村さん

竹村さんのブログによれば、起点の取り方でチャートの形は変わるとのこと。
チャート作成元からのこの一発はかなりキツいですね。

田村さんが仰っている「使っているそれぞれのデータ(例えば1973年基準)に関して過去との相対的な位置の変化を参考にすればいい」ということは、「一定条件の下での経験則でいいじゃないか、但し参考値扱いで」ということと理解したのですが、それで合っておりますでしょうか?

そうですね。
あくまで個人的意見ですが
僕の理解ではそんなイメージです。
ただし、
同一基準年の中での相対的な比較には意味があると考えています。

相対的購買力平価は国際通貨研究所以外でも
様々な金融機関などで作成されていて
(ただし普通の人がサイトで見られるものはあまりなく、
通貨研のデータは貴重です)
基準年も幾つかのパターンがあります。

例えばユーロは通貨研のデータより基準年を昔にして
1985年基準でみると(ユーロ実現前は複製データ)
やはり購買力平価を軸に上下にうねっていて、
現在はほぼ購買力平価のラインに来ています。

つまり購買力平価により適正レートは幾ら、
と絶対水準を
推し量るより
同じ基準年のなかでの過去との相対的な位置の変化が
参考になるのではないでしょうか。

そのうえで、
基準年が違っても
おおまかなトレンドは(当然ながら)
変わらずに示されていると思います。

例えばユーロの1985年基準で見ても
数年前の時点では割高な警戒ゾーン。
逆に現在は必ずしも割安とは言えず、
さらに突っ込む可能性もあることが
同じように読み取れるという感じで。

>田村さん

ご回答ありがとうございます。
とてもスッキリしました。

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