新興国株式比率についての考察記事

水瀬ケンイチ

新興国株式比率についての興味深いデータが出ている記事がありましたので取り上げます。

日経電子版
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2010/12/06 あなたの新興国株投資、本当に有利?

詳しくは上記日経記事をご覧いただきたいのですが(よいグラフがいくつもあるのでぜひ!)、無理やりまとめると以下のような感じだと思います。

・新興国株式について、「高成長の持続=長期的な株高」は本当に正しいのだろうか
・1995年から2009年までの国民1人当たり実質GDP成長率は、新興国が3.5%で米国(1.9%)を上回るが、国民1人当たり実質企業収益の伸びは、新興国は1.6%で米国(1.7%)を下回っている
・米国企業の収益に占める海外の割合はこの30年の間にほぼ2倍に拡大、新興国の成長の果実の一部は、先進国(米国)企業が享受した

・新興国への投資比率に関する代表的な考え方として、(1)世界に占める時価総額の比率(約15%)、(2)GDPの比率(約30%)、(3)将来の時価総額やGDPの比率、(4)効率的フロンティアなどがある
・「新興国の経済が成長しても、そこで利益をあげているのが先進国の企業であれば、新興国でなく先進国の時価総額が大きくなる。そう考えると、投資比率はGDPベースでなく、時価総額比率であるべきだ」
・ここ10年の新興国株投資が先進国株より有利だったのは、PERが割安に放置されていたものが見直されたという点である程度説明がついてしまう
・日本でも、成長株(グロース株)の長期的なリターンが、割安株(バリュー株)を下回る時期が多かった

元記事がとても長いので、まとめも長くて申し訳ありません。
要するに、新興国株式について「高成長の持続=長期的な株高」ではないのではないかというのが主旨だと思います。



これは、「株式投資の未来」でジェレミー・シーゲルが指摘していた、いわゆる「成長の罠」(成長企業は過大評価されることが多いので投資家にとってのリターンが低くなることがある)だと思います。
新興国株式に過大な期待を寄せるのはやめましょうという警鐘とも取れます。
リターンの面から語られることが多いですが、リスクの面にも着目すべきだと思います。新興国株式クラスは明らかに先進国株式クラスよりもリスク(標準偏差)が高いです。将来のリターンが低いのでは割に合いません。
また、グローバル化により新興国の成長の果実の一部を先進国が享受しているというのも面白い視点だと思います。これだと、少子高齢化で低成長が続く日本にも少しは期待が持てるかもしれませんね。

新興国株式比率の結論として、記事の中では、世界の株式時価総額比率(15%程度)にすることがよいという意見が強く出ています。
新興国株式比率に悩んでいるかたには、ひとつの目安として参考にはなると思います。

ところで、この日経電子版の記事は、日経新聞2010年11月22日朝刊19面の「新興国株 最適な投資比率探る」の記事を元に発展させたものだと思われます。
その時の結論は、「自分のリスク許容度を考慮し堅実に新興国株式比率を決めるべき」という主旨のものだったように記憶しております。
個人的には、リターンよりもリスクに着目したこちらの考え方の方が好みです。

ちなみに、マイポートフォリオにおける新興国株式比率は17%です。
ただし、半年前のデータなので現在は変わっているかもしれません。
年が明けたら、また計算しなおしてみようと思います。
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Posted by水瀬ケンイチ