第3回インデックス投資ナイト体験記 その3

昨日の記事、
第3回インデックス投資ナイト体験記 その1
第3回インデックス投資ナイト体験記 その2
の続きです。

なお、繰り返しになりますが、本記事は水瀬の個人的解釈でまとめていますので、誤解・曲解があるかもしれないことを予めご了承ください。


内藤氏
「投資期間とリスクという話になると、やはり山崎さんにひと言お聞きしたい。投資期間が長くなるとリスクは大きくなるのか、小さくなるのかという哲学問題が…」

竹川氏
「あと、あまりキャッシュは持っていなくてもいいっていう…」

山崎氏
「哲学問題ではなく、数学の問題だと思う。投資期間が長くなれば、資産額の振れ幅という意味でリスクの絶対量は大きくなる。ただ、期待リターンも高くなるという関係。日本の年金業界で“年金の成熟度”などと言って若い年金はリスクを取れるという勘違いが10年くらい前にあったが、あれは見事に勘違いだった。投資期間と取れるリスクの量は関係はニュートラル。ただし、投資期間が長ければイニシャルコストを平準化できるので、コストの上ではメリットがある。インデックス投資家の聖典ともいうべきバートン・マルキールの「ウォール街のランダム・ウォーカー」の中には、投資期間が長くなるとリスクが小さくなるとあるが、期間を年率化して標準偏差にしてリスクが縮んで見えるというものの見方として間違えているグラフがある。原書の10版が出たらしいので、その辺りがさりげなく直っているといいなと思う」

(水瀬注:ここは山崎氏と少し考えが違うところなのですが、個人的には「長期投資でリスクが縮小する」という中の「リスク」という言葉の捉え方の問題だと思っています。マルキール氏はここでのリスクを「年率の標準偏差」という意味で使っていて、それはそれで別に間違っていない。山崎氏はここでのリスクを「資産額の標準偏差」という意味で使っていて、それも別に間違っていない。つまり同じ事象を違う言葉の定義で説明しているだけで、どちらも間違っていないのだと思います。ただし、山崎氏の捉え方の根底にはおそらく「投資家から見て大事なのは資産額が増えるか減るかだ」という投資家サイドの視点があるように思え、それには大いに賛成します)

イーノ氏
「ありがとうござ…」

山崎氏
「ただ、投資期間が長く取れる人は財務的に余裕がある人だろうから、長く投資できるお金なんだという世間知的な意味では、朝倉さんの意見に異を唱えるものではない」

イーノ氏
「そのまま山崎さんに、三番目の話題として、“こういうところに落とし穴がある”、“やってはいけない投資”を教えていただきたい」

山崎氏
「落とし穴という意味では、二つある。一つ目は自分の買値にこだわること。株式投資でもインデックス投資でも、買値に対して過剰な思い入れを持つことが多い。「マイナスなのでもう少し上がってくれないと売れない」と言って短期ローンを借りてしまったりすると、ローン金利の方がインデックスの期待リターンよりもかなり高くなるのでバカバカしい。しかし、プロスペクト理論がノーベル賞の対象になるくらいだから、買値へのこだわりを払拭するのは難しいが、上級の投資家になるためには買値へのこだわりを意図的に克服する方がいい。二つ目は、投資の落とし穴は人間が掘っているということ(会場笑い)。今日お集まりのインデックスに投資する皆さんは大丈夫だろうが、世の中には怪しい商品がいっぱいある。われわれ生活者にとってリスクは市場よりも人間にある。怖いおじさんや悪いおばさんの言うことは聞かないようにしましょう」(会場から拍手!)

(水瀬注:プロスペクト理論の詳しい説明はこちら

イーノ氏
「同じ質問を竹川さんお願いします」

竹川氏
「一つ目は、リターン限定リスク無限大という、いわゆる「元本確保型」商品。二つ目は、販売会社は相談員ではなく販売員。相談相手と買う場所は分けたほうがいいということ。ネットで買う前に相談するなら、適正な価格を払ってファイナンシャル・プランナーに相談した方がいい。三つ目が、手数料があまりにもバカ高い商品。例えば、今年1月に新規設定された投信で信託報酬が4%超というものがある。ちなみに内訳は、販売会社と運用会社が2%ずつ取って、信託銀行がちょっとだけ取っている」

(水瀬注:2010年10月時点では、「元本確保型」等、元本や利回りの保証や基準価額の変動リスクが低いかの誤解を与えるおそれのある名称を用いないよう自主規制することを検討しているようです。出典はこちら

山崎氏
「信託銀行かわいそう…」

竹川氏
「そういうのを見ると、買う人がいるだろうとまだまだ舐められているんだなと思う。投資家が賢くなっていくことで、こういう商品を出しても売れないんだぞという方向に向かっていくべき」

山崎氏
「内藤さん、内藤さん、信託銀行ってかわいそうですよね。わずかな報酬で悪事の片棒を担がされて」

内藤氏
「山崎さんも信託銀行におられたので大変だったと思う」

イーノ氏
「そのまま内藤さんお願いします」

内藤氏
「今日はインデックス投資家が集まっているが、一方で、アクティブ運用で巨額の富を築いている人がいっぱいいる。インデックスかアクティブかは人生観の問題であって、どっちが正しいとかはないが、平均的に見るとインデックスの方が点数が高いというだけ。アクティブはやってはいけないとか美味しい話に乗ってはいけないというのも一理あるが、それでうまくいって売り抜けて終わっちゃってる人もいる。理屈じゃなくて人生そのものというか…まぁ結論はないんですけど(会場笑い)。インデックス投資家が集まっているのであえて言うが、アクティブやってる人は馬鹿だとかインデックスやってる人はロジカルだとかではない。正しいとか正しくないではなく、投資は結果が全てということを知ってほしい」

山崎氏
「儲けた人の真似をするのがいけないとか、そういう話ではないの?」

内藤氏
「それで失敗しちゃったら失敗。銀行で仕事してた時に言われたのが、「理路整然と間違える」という人がたくさんいる。理論的には正しいが、結果が間違ってる。つまり、正しいことをやっていれば、正しい結果が出るというのが人生ではないということを知っていてほしい。インデックスに偏りすぎてはいけないということを言いたかった」

(水瀬注:「理路整然と間違える」、けだし名言!心に留めておきます)

山崎氏
「投資家がコントロールできることは極々少なく、不確実な要素がすごく大きい。「運を用いる」と書いて運用ということ」

内藤氏
「そう。ロジカルに偏りすぎてもいけないし感情に偏りすぎてもいけないというバランスが運用の難しいところ。その落とし穴に落ちないでほしい」

イーノ氏
「ではカンさんお願いします」

カン氏
「あえて反論すると、私は投資でやってはいけないのは、何かを選ぶ、勝ちに行くことだと思う。山崎さんが人的資本と金融資産の話をされていたが、私は「人生はアクティブに、投資はパッシブに」がいいと思う。ybさんという人のブログタイトルだが(笑)。運用は舞台の縁の下を支えている小道具に過ぎない。できるだけコストや時間をかけずにやる。そして人生を勝ちに行く。最高にアクティブに、ロマンティックに、エキサイティングに。投資は退屈でいいと強く思う」

(水瀬注:「人生はアクティブに、投資はパッシブに」、カンさんも良いこと言うなぁ^^)

イーノ氏
「最後、朝倉さんにもお願いします」

朝倉氏
「金融機関の営業マンは、取扱商品をどうしても売らなければいけないという理由がある。例えばブラジルレアルの商品があったら、それをどうしても売らなければいけない。でもそれは会社の理由。その人の本心ではないかもしれない。今日の登壇者もそれぞれ考え方が違うし、意見も違うし、そして皆さん方の腹に落ちる考えもそれぞれ違う。信用できると思う人を信奉するもよし、それぞれの意見をつまみ食いしてもいい。理解できて納得できるものを取り入れればいい。もう一点は、失われた20年という閉塞感の中で金融危機も受けて、皆さんはダウンサイドのリスクヘッジはある程度できたと思うが、将来的に大きく上がる可能性も十分ある。上がったときにどう対処するのかも考えておいた方がいい。例えば、日本株が大きく上がった時にポートフォリオを崩して全部日本株に行ってしまう人が出るかもしれない。私がいつも言っているのは、運用の知識と知恵がそれほどなかったとしても、タフな精神力と忍耐力があれば勝てる。ダウンサイドだけでなく上がった時にも今までどおりインデックスファンドを積み立てて運用し、今までどおりのポートフォリオを保てるかがすごく重要」

(水瀬注:確かに、当ブログの人気カテゴリー「売らずに我慢するテクニック」)もダウンサイドに備えるものが多いです。アップサイドに備えるものも必要そうですね)

イーノ氏
「ありがとうございました」


ここで一旦休憩。次は会場からの質疑応答です。

(次回に続く)


<追記>シリーズ記事リンク
第3回インデックス投資ナイト体験記 その1
第3回インデックス投資ナイト体験記 その2
第3回インデックス投資ナイト体験記 その3
第3回インデックス投資ナイト体験記 その4
第3回インデックス投資ナイト体験記 その5
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コメント

怖いのは人間?

怖いのは年齢を重ねて自分の判断力が落ちた時に「われわれ生活者にとってリスクは市場よりも人間にある。怖いおじさんや悪いおばさんの言うことは聞かないようにしましょう」って言う事に注意したいなっと思っています。
信託報酬年4%の商品には流石に呆れていますが、今の自分と30年後の自分は違う事を頭に入れておきたいです。

>タカちゃんさん

落とし穴を掘っているのは人間。私も心しておきます。

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