続・知っておくべき日本の投資信託の黒歴史

先週書いたブログ記事「知っておくべき日本の投資信託の黒歴史」には大きな反響がありました。

そこでは主に、日本の投資信託の生い立ち(誕生の経緯)について書きました。
すると、ブログやはてなブックマークに、
「日本はこんなところでも『上からの改革』だったのか」
「最初から投資家の方なんか向いてなかったわけか」
など、たくさんのコメントをいただきました。

しかし、日本の投資信託を「個人投資家目線」で語る上で、それだけでは不十分だと考えています。
日本の投資信託が誕生した後の、金融業界での「使われ方」も知っておいた方がいいと思い、この記事を書きます。

結論から申しあげると、残念ながら日本の投信は「個人投資家のお金を巻き上げる器として駆使されてきた」歴史があります。
いつくかの書籍から、その歴史をひも解いてみたいと思います。
この3年が投資信託の勝負どき―長期保有型投信こそ財産づくりの本命だ」(澤上篤人著)より
・最初の一年くらいが勝負。そこまでである程度の成績が出せれば良い運用者としてまた次の投信設定が期待できる
・もし最初の一年で相場に乗れなかったら、後の運用は流してしまう。どっちみち解約売りでまともな運用などできやしないから成績挽回のチャンスなどない
・どうして大量設定・大量解約になるのか?日本の投信が相変わらず販売主体のビジネスだから
・投信販売をビジネスと考えれば、販売手数料を最大にするには、相場のピークでに近い時点で新規の投信を大量設定するに限る
・車の新車販売と同じことで、消費者にいつまでも古い車に乗っていられたのでは商売にならない。やはり、次々と新しい車に乗り換えてくれなければ販売手数料は稼げない
(上記は、同書のなかで投信の悪い例として言及)

ファンドマネジメント―マーケットの本質と運用の実際」(山崎元著)より
・投資信託委託会社も多くは証券会社が親会社であり、他業態から参入したケースでも、役職員の人事から見ても、ファンドを獲得するプロセスから見ても、親会社が実質的な支配力を持っているケースがほとんど
・こうした運用組織とその母体組織の関係は、顧客から預かった資産の運用それ自体の合理性との間にかなり深刻なコンフリクト(利害の対立)をもっている

アセット・マネジメント・ビジネス近未来」(ニッセイ基礎研究所著)より
・もともとわが国では、証券会社だけが投信を販売できる立場にあり、証券会社が系列投信会社の投信を販売する基本的な図式が続いてきた
・その過程で、証券会社が大量推奨販売した後の、いわゆる「シコリ玉」をはめ込んだファンドが多かったことは周知の事実
・もっとも問題視されるべき点は、「過剰な乗り換え推奨」による手数料稼ぎのための「回転売買」
・証券会社が、新規のファンド販売によって手数料収入を増やす目的のために「長期投資」という投信本来の意義とは程遠い、短期売買を勧めてきた


なんだか暗い気持ちになってきますが、要するに、日本の投信は、証券会社主体の販売体制のせいで販売手数料稼ぎの道具として「回転売買」させられ、多くの投信は設定直後に資金を集めた後はどんどん残高を減らしやがて流される、という歴史を辿ってきたということだと思います。

もちろん、現在は上記のような状況から若干ですが事態はよくなっています。
具体的には、投信の販売チャネルとして顧客に回転売買を迫らないネット証券が台頭してきたことや、販売と運用を一手に行なう直販投信会社の芽が出てきたことなどがあげられます。
それ以外にも、志の高い投信や運用会社もあることはあると思います。

しかし、日本の投信全体としてはまだまだ過去の悪しき習慣を引きずっていると言わざるをえません。
毎年、旬なテーマの大型投信設定が相次ぎ(毎月分配型外国債券投信→毎月分配型高配当株式投信→通貨選択型ハイイールド債券投信など)、大量の資金を集めています。その一方でどんどん純資産を減らしている過去の投信が振り返られることはあまりありません。

最近投資を始めたかたで、投資本やWEBサイトで勉強し、投資信託は素晴らしい仕組み(分散効果・小額から投資可能など)だと信じているかたもいらっしゃると思います。
たしかに、投信そのものの仕組みが素晴らしいのは事実ですが、日本において投信を立ち上げた国の意図、そしてそれを個人投資家から金を巻き上げる道具として悪用してきた金融業界の意図を、個人投資家が知っておくことは、自分の身を守る上で大切なことだと思います。

私が個人的に、ネット証券でノーロードのインデックスファンドを選択する理由は、平均的にアクティブファンドよりもパフォーマンスが良いという世界共通の事実だけでなく、上記のような日本固有の、販売会社の回転売買志向や、運用会社のシコリ玉はめ込みのような人為的な不正から、身を守る意味もあります。

皆さまにおかれましては、上記のような日本の投信の黒歴史を知った上で、今自分が購入しようとしている投信は長く付き合っていけるものなのか、それとも最初だけで後は流されてしまうものなのか、厳しくチェックしていただけたらと思います。
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コメント

日本の投資信託は正しくそういう生い立ちだったんです!

>残念ながら日本の投信は「個人投資家のお金を巻き上げる器として駆使されてきた」歴史があります。

ずばりそうでした。
私のような団塊の世代の人間で、ちょっとでも賢くお金を運用したい、さりとて株は投機だから手を出しづらいし・・そういう感覚でした。
でも投資信託ならば大きな証券会社の言うことだし信用も置けそう・・。
裏切られつづけました。とんでもありませんでした。
知り合いの証券会社社員のボーナスはうん百万の時代でしたから。
私達庶民は証券会社の単なる儲け道具かしらと思っていました。

私が証券会社の勧める投資信託に疑問を持ち始めた、2000年頃、やっと澤上氏のさわかみファンドに巡り合えた、あの瞬間が日本の証券市場にとっても画期的な出来事でした。
中々若い方には当時の感激は、わからないでしょうね。

初めて知ったことがたくさんありました。

勉強になります。ありがとうございます!!!

東洋経済のホームページは読める部分と読めない部分が有るので、

だんだん読まなくなってしまっていました。

初歩的な質問で恐縮です

投資信託は一日の営業時間が終了してからでないと時価がわからないので、値段が分からない状態で一任売買するのは気乗りしない。

一方、ETFは指値注文できるので売買に際してはそれなりに納得しているが、それでも果たしてその時の市場価格はどの程度の妥当性があるのでしょうか?

集められた資金は、TOPIXの場合各銘柄の時価総額に按分した株数だけ信託されるとして、ETFの価格はそれとは無関係に需給で買われ過ぎたり、売られ過ぎたりしますよね?大数の法則で充分大きな市場や業種の指数はともかく、小さな市場の指数ETFはやはり価格変動リスクが大きいのではないでしょうか?

ご教授よろしくお願いします。

前回の記事と合わせ、恥ずかしながら知らない黒歴史がたくさんありました。未だにその黒歴史を引きずっている販売側サイドの姿勢も残っていますね。いろいろ有益な情報ありがとうございます。
ますますシンプルにインデックスファンドを購入していく意思を新たにできました。

>komaさん

私は本で学んだだけですが、実体験されたかたの言葉は重みがあります。
歴史を学んで未来に活かすような活動をしていきたいと思います。


>矢向さん

過去の歴史を知ると、投信業界の現状も違って見えてきますよね。


>入門者さん

ETFが指数に連動する裁定取引の仕組みは、いろいろなところで解説されています。たとえば以下のサイトで詳しく解説されているのでそちらをご覧ください。
http://etf.daiwa-am.co.jp/instruction/0203.html

しかし、ETFの資産価値を表すNAVと市場価格はどうしても乖離がでます。
その乖離を調べるサイトもありますので、そちらも参考にしていただけたらと思います。
http://randomwalker.blog19.fc2.com/blog-entry-1339.html

また、東証ではNAVをリアルタイムで算出するインディカティブNAV(iNAV)を今年3月目途に配信する計画のようです。
http://randomwalker.blog19.fc2.com/blog-entry-1610.html


>kenzさん

過去の歴史を知らないのと知っておくのとでは、現在の投信業界の見方が変わると思います。
最近インデックス投資を始めたかたは、高い販売手数料と信託報酬の投信が手を変え品を変え毎年新規設定され、しかも大きな純資産を獲得していくのが不思議と感じるかもしれませんが、過去の歴史を知れば、「ああそういうことね」と分かると思います。
(もちろん、そんな中にもよい投信は少しは含まれているとは思いますが)

投資信託

投資信託でローリスクミドルリターンのポートフォリオを構築し収益の最適化を図るってなかなか難しいですよね^_^;

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