厚生年金基金の多額損失に学ぶもの

厚生労働省は全ての厚生年金基金の運用状況について調査を始めたそうです。

【日経新聞2011年2月6日朝刊3面より引用】
厚年基金の運用を調査 厚労省、不動産投資など
厚生労働省は厚生年金基金の運用状況について調査を始めた。一部の基金が不動産への集中投資で多額損失を出したのを受け、全基金の高リスク資産への投資状況などを調べる。
【引用おわり】

厚生労働省の調査ということになったきっかけは、九州石油業厚生年金基金で、不動産ファンドへの集中投資で多額の損失を出したこととのこと。
九州石油業厚生年金基金も所属する企業年金連合会(旧厚生年金基金連合会)では、「政策アセットミックス」として、以下のように定めているようです。
厚生年金基金の政策アセットミックス
積立水準というのは、年金資産額の年金債務額に対する割合で、これによって内外債券と内外株式の比率が決まっています。
また、上記の構成比率は基準値で、乖離許容範囲は±5%としています。
(出典:企業年金連合会WEBサイト

これを守っていれば、不動産ファンドに集中投資なんてことにはならなかったはずです。

しかし、以前のブログ記事「厚生年金基金も財政悪化の波が」で取り上げたように、厚生年金基金では、高齢化と若者不足で財政が悪化しているようです。
もしかしたら、こうした財政悪化の一発逆転を狙って不動産ファンドに集中投資してしまったのかもしれません。

行動ファイナンスのプロスペクト理論によると、参照点(例えば株の買値)のプラス側とマイナス側でリスクに対する反応が違うことが分かっています。
例えば、自分の買値よりも株価が値上がりしている場合には変動リスクを嫌う傾向があり、買値よりも値下がりしている場合には「損を取り戻せる可能性がある」としてより大きな変動リスクを好む傾向があるそうです。

これは人間共通の傾向ですので、厚生労働省の調査により、リスクを取り過ぎている年金基金が他にも出てくるかもしれません。
私たちも、資産運用で損している時にリスクを取り過ぎないよう、肝に銘じておきたいところです。
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コメント

ほ~

参考になります

不動産ファンド

文脈からは、リートはリスクが高い、というように読めましたが。
高値掴みしたか、倒産した某ファンドに投資したのか。。。
それ以外でなければ一概にリスクが高い投資先とは言えないと思いますけど。株や債券よりも利回りは高いですし。最近では日銀の買い支えによりだいぶ上がってますから、現時点では含み益が出ててたりして。

ブログ主は集中投資が問題だと言っているだけでは?

年金資産の運用で「損を取り戻そうとする行動」をしたと言う事は、
運用担当者側に何かしらの心理的バイアスが掛かっていたのでしょうか?

本来であれば、年金運用担当者はより中立的な立場で運用を行う必要があり、
感情に任せたような理論上リスクとリターンに見合わない
過剰リスクポートフォリオを組む理由にはならない筈なんですが・・・
信託先であったりそなとのやり取りがどうなっていたのかが不明なので
なんとも言えませんね。

損してる時にリスクを取り過ぎると言うのは、
逆張りデイトレーダーやスイングトレーダーに
よく見られるパターンですよね。
私自身がそれに何度もはまっていたので(汗

さっさと損切りすればいいのに損だしを嫌って、
保有ポジションが1円でもプラスにならないと
決済できない心理的傾向はマイナス側での
リスク選好として顕著に見られ、面白い行動ですよね。
まぁ食らった本人は他人事では済まないのですが(^^;

原因は給与所得の減少もある

確か日本証券業厚生年金基金が解散になった時は「え?プロが?」と思った記憶があります。
そんなもんではないでしょうか?

ちょっと年金基金を見るとカルパース辺りはオルタナティブ投資に積極的である事が知られていますが、リーマンショック時ではリスクの少ないポートフォリオが功を奏したGPIFの方がダメージが少なかった事は記憶に新しいです。
この辺りの事はカルパースも承知している筈ですし、勿論、GPIFが国内債券に偏った運用がこれからもリスクが少ないとは言い切れない事を理解していれば問題は無いと思います。
知った上でやる分には問題は無いと思いますし、この問題は運用サイドだけの問題だとは思っていません。
やはり、国民年金や厚生年金を払えるだけの購買力が急激に落ちている事も原因しているので、少子高齢化のみならず、日本人の購買力をどうやって伸ばすかも課題だと思います。
結局のところ、少子高齢化の最大の原因である給与所得の急激な減少を解決せずに結婚難民を救う事はまず無理です。

厚生年金基金の巨額損失については、あまり運用サイドを困らせるような無茶な運用をさせる事にも原因があるように思えます。
この辺りは、どこかで運用利回りの低下を労使共に妥協した方が結果的に運用サイドに負担がかからないように思えます。

>ogurinさん

何かのお役に立てば幸いです。


>ひでさん

私はREITというアセットクラスのリスクが高いと言っているわけではありません。
所定のアセットアロケーションから逸脱して集中投資した結果、多額の損失を被ったことに対して、私たちが学べることはないかという趣旨です。

なお、ひでさんや私の理解とは別に、新聞記事には厚生労働省の調査は「不動産やヘッジファンドなどの高リスク資産に5割以上投資するなど偏った運用をしている基金を洗い出す」と書かれていました。


>読者さん

そのとおりです。


>楽天家業さん

該当の企業年金がどういう理由でそんなことをしたのかは、この新聞記事からは分かりません。ブログを書く時に気になって調べてみましたがWEBサイトも持っていないようです(代わりに企業年金連合会のWEBサイトがパンクしてましたが^^;)。

財政悪化の一発逆転を狙ってやったことだとしたらという「仮定」のもと、私たちが学べることがありそうだと思いこのブログ記事を書きました。
実際、私も過去に含み損の時にプロスペクト理論が指摘する傾向そのまんまの行動をして失敗したことが何度もありますので。


>タカちゃんさん

今回は企業年金(3階部分)のお話なので、国民年金(1階部分)や厚生年金(2階部分)とは直接関係ありませんが、一般論として若い世代の給与所得の急激な減少が年金全般に悪影響を及ぼしていることには同意です。

厚生年金基金の資産運用について

年金関係の仕事をしております。若干補足させていただきます。
(私自身は、引用記事の基金、金融機関とは一切関係ありません。)

>財政悪化の一発逆転を狙って不動産ファンドに集中投資してしまったのかもしれません。

ご指摘のとおりです。
記事で問題の基金は、全資産の半分を不動産に振り向けたようです。常識では考えられません。
おそらく私募ファンドのエクイティ部分に出資し、不動産価格の下落で評価損が発生したと思われます。(Jリートと違いファンドの市場価格がなく、中身の不動産を鑑定して時価を算出します。)

一般論ですが、厚生年金基金の財政悪化の原因は、運用収益の悪化(=設制度計上の予定利率を下回ったこと)にあります。
本来は、予定利率を下げ、掛金を引き上げる必要があります。しかし、中小企業の寄り合い所帯の基金が多く、昨今の不景気もあって掛金引き上げの合意形成は困難です。かなりの基金が今でも掛金を低く抑えるために予定利率5.5%を採用しています。当然、運用目標は5.5%を上回ることになり、構造的にハイリスク運用に傾きやすいのです。

もちろん全ての厚生年金基金がこういうわけではなく、健全に運営されている基金もあります。
全体的な傾向の話です。

さらに補足。
運用目標と資産配分は、各基金が独自に定めるものなので連合会の政策アセットとは関係ありません。積立比率と資産配分を連動させる連合会の考え方は、かなりユニークです。

公的年金と違い、事前積立方式ですので、高齢化と若者不足は、基金の財政には直接影響しません。基金の規模が小さくなるという問題はありますが。

一概に集中投資が悪いとは、、、

テーマは集中投資でしたか。失礼。
ただ、割安時に集中的に投資する分には有りだと思います。
記事によると、九州石油業厚生年金基金は、タイミングもまずかったようですけど。

>Kerotaさん

>>おそらく私募ファンドのエクイティ部分に出資し、不動産価格の下落で評価損が発生したと思われます

私もそんなことだろうとなと推測しています。
「不動産ファンド」という言い方はREITや投資信託ではあまり使いませんし、いくらなんでもREITでそんなに損失は出ないだろうと。

>>運用目標と資産配分は、各基金が独自に定めるものなので連合会の政策アセットとは関係ありません

えっそうなんですか?
企業年金連合会の政策アセットミックス±5%の範囲内で、各企業年金が運用しているものだとばかり思っていました。
詳しく調べてみなくては。


>ひでさん

もちろん、相場を読めるかたが自己責任で集中投資をするのは、合理的な運用方法だと思います。

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