【ザイ没ネタ】水瀬的インデックス投資の思い出年表
水瀬ケンイチ
現在発売中の「ダイヤモンド ZAi (ザイ) 2011年4月号」 に掲載されていることは以前書きましたが(関連記事)、その35ページに、「水瀬さんとインデックス投資の歴史」という簡単な年表が出ています。
実はこれ、原稿段階ではもっと色々なことを書いていました。
編集のかたから、「証券会社から招待されファンドを検討したご経験や、インデックス投信の環境が悪かった悲しい経験(途中償還や取り扱い停止など)、嬉しかった経験などを書いてください」と言われ、嬉しいことだけでなく悲しいことも含め、色々思い出しながら気合を入れて書きました。
でも、誌面ではスペースの都合等があったのでしょう、大幅に簡素化されて掲載されていました。
今日、なんとはなしにこの長いボツ原稿に目が留まり、「せっかくだからブログに全部載せちゃえ」と思いました。
正式なインデックス投資の年表ではなく、ただ個人的に思い出深かった出来事を羅列した感じですのであしからず。
<水瀬的インデックス投資の思い出年表> ※2011年3月8日時点
※黄色い網掛けは、特に思い出深かった出来事。青は特に悲しかった出来事。
2005年くらいまでは、インデックス投資環境ははっきりいってボロボロでした。
インデックスファンドはあっても日本株式インデックスファンドばかり、しかもノーロードではないものばかり。せっかく国内外の株や債券のインデックスファンドが出てきても、繰上償還や取り扱い廃止に追い込まれる有様。
2006年にネット証券で海外ETFが買えるようになり、一足飛びに超低コストなインデックス投資ができる環境が訪れます。一部のインデックス投資家は大歓迎しました。しかし、イニシャルコストの高さから大口の投資向きであったことと、外貨建て資産の投資には手間の面や税制の面で少々壁が高かったようで、浸透はゆっくりとしたもののようでした。
潮目は2007年頃、「マネックス資産設計ファンド」「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」など、インデックスファンドを組み込んだ低コストなバランスファンドが出てきたことです。
それらは楽ちんに運用したいインデックス投資家たちから歓迎されましたが、当然のことながら、「それをばら売りしてほしい!」という要望も高まっていきました。
2008年の「STAMインデックス」シリーズの登場で、自分でアセットアロケーションを組みたい投資家たちの要望が容易に実現できるようになりました。「eMAXIS」シリーズや「CMAMインデックスファンド"e"」シリーズが登場するようになり、インデックスファンドにもコスト競争が広がってきました。
海外ETFの方は、満を持してバンガードが上陸し、様々なアセットクラスで超低コスト化に拍車がかかります。
一方、国内証券取引所にも、超低コストで、カバレッジの広い指数に連動する外国株式ETFなど資産運用のコアになるアセットクラスの商品が上場され始めました。
そんななか、STAMシリーズの信託報酬値下げが発表されました。今後、これに続くものが出てくるかもしれません。
インデックス投資環境はどんどん改善され、インデックスファンド、国内ETF、海外ETFの三つ巴体制のまま、現在に至るという感じでしょうか。
この年表は、これからもまだまだ続きます。
願わくば、よい歴史を刻んでいけたらと思います。
何かのご参考まで。
実はこれ、原稿段階ではもっと色々なことを書いていました。
編集のかたから、「証券会社から招待されファンドを検討したご経験や、インデックス投信の環境が悪かった悲しい経験(途中償還や取り扱い停止など)、嬉しかった経験などを書いてください」と言われ、嬉しいことだけでなく悲しいことも含め、色々思い出しながら気合を入れて書きました。
でも、誌面ではスペースの都合等があったのでしょう、大幅に簡素化されて掲載されていました。
今日、なんとはなしにこの長いボツ原稿に目が留まり、「せっかくだからブログに全部載せちゃえ」と思いました。
正式なインデックス投資の年表ではなく、ただ個人的に思い出深かった出来事を羅列した感じですのであしからず。
<水瀬的インデックス投資の思い出年表> ※2011年3月8日時点
2002年 | - | 個別株投資を見限り、国際分散投資のインデックス投資を開始 |
2003年 | 12月 | 大和投資信託、直販サービス終了(以降、投資していたインデックスファンド「ダイワ投信倶楽部」シリーズが一般販売されなくなる) |
2004年 | 4月 | 野村ファンドネット証券、サービス終了(当時、投資していたインデックスファンド「PRUマーケットパフォーマー」シリーズが主要金融機関で購入不能に) |
7月 | インデックスファンド「MONEYKitスタンダード」シリーズ繰上償還 | |
2005年 | 8月 | ブログ「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)」開始、あわせて金融機関・証券取引所等への直接要望開始 |
2006年 | 6月 | 日経ビジネス アソシエ 7月11日号臨時増刊 掲載(初取材) |
10月 | ネット証券で初めて楽天証券が海外ETFの取り扱い開始 | |
2007年 | 1月 | マネックス証券、低コストなバランスファンド「マネックス資産設計ファンド」発売 |
eトレード証券(現SBI証券)に海外ETFを取り扱うようブログで直接要望を募る。多数の読者が行動を起こしてくれた | ||
3月 | セゾン投信、低コストなバランスファンド「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」発売 | |
4月 | 梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー、100万PV突破 | |
ダイヤモンド ZAi 6月号 掲載 | ||
5月 | 日経マネー 7月号 掲載 | |
6月 | eトレード証券(現SBI証券)で海外ETF取り扱い開始 | |
7月 | ブロガー仲間に声をかけてお会いする(以降、毎年不定期に「梅屋敷インデックス飲み会」と称してインデックス投資関係者と懇親会を開催) | |
9月 | ダイヤモンド ZAi 11月号 掲載 | |
10月 | 楽天証券に直接取材敢行、ブログで質問が多かった疑問点を解消 | |
2008年 | 1月 | インデックスファンド「STAMインデックス」シリーズ販売開始 |
日経トレンディ 2月号 掲載 | ||
ベスト投資信託ガイド 掲載 | ||
3月 | Yen SPA '08春号 掲載 | |
5月 | BIG tomorrow 7月号 掲載 | |
6月 | 梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー、500万PV突破 | |
7月 | ダイヤモンド ZAi 9月号 掲載 | |
8月 | BS11 「money cafe」 TV出演 | |
マネックス証券で海外ETF取り扱い開始 | ||
9月 | リーマン・ショックをきっかけに世界金融危機勃発 | |
バンガードが海外ETFに参入 | ||
2009年 | 1月 | 日本経済新聞1月1日特集 掲載 |
第一回インデックス投資ナイト開催 | ||
5月 | 「ウォール街のランダム・ウォーカー」著者のバートン・マルキール氏来日講演 | |
6月 | 新興国を含む全世界株式ETF「Vanguard Total World Stock ETF」(VT)日本上陸 | |
8月 | ダイヤモンド ZAi 10月号 掲載 | |
日経マネー10月号 掲載 | ||
9月 | 楽天証券、1000円からの投信積立サービス開始。すぐに、マネックス証券・SBI証券も続く | |
10月 | インデックスファンド「eMAXIS」シリーズ販売開始 | |
11月 | 月刊ニュートップL.創刊号 掲載 | |
ジョインベスト証券がサービス終了(野村證券に引き継がれるが、STAMシリーズなど低コストインデックスファンドは取扱廃止) | ||
第1回三菱UFJ投信ブロガーミーティングで意見交換・直接要望 | ||
2010年 | 1月 | 第二回インデックス投資ナイト開催 |
MSCIコクサイ、MSCIエマージング連動の国内ETF(1680・1681)上場 | ||
2月 | ドイツ証券、海外ETFに参入 | |
梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー、1000万PV突破 | ||
3月 | ダイヤモンド ZAi 5月号 掲載 | |
ドイツ証券海外ETF懇親会で意見交換・直接要望 | ||
第2回三菱UFJ投信ブロガーミーティングで意見交換・直接要望 | ||
4月 | インデックスファンド「CMAMインデックスファンド"e"」シリーズ発売開始 | |
7月 | 「STAMインデックス」シリーズが純資産拡大に伴い信託報酬値下げ | |
ブラックロック証券ブロガー向けセミナーで意見交換・直接要望 | ||
日経ヴェリタス7月18日号 掲載 | ||
8月 | ダイヤモンド ZAi 10月号 掲載 | |
9月 | 三菱UFJ投信、投資家アンケートの結果で要望1位の「eMAXIS 全世界株式インデックス」発売 | |
第3回三菱UFJ投信ブロガーミーティング開催 | ||
11月 | 野村インデックスファンド「Funds-i」シリーズ発売開始 | |
東京証券取引所意見交換会で国内ETFについて意見交換・直接要望 | ||
12月 | 山崎元氏との共著で「ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド」上梓 | |
2011年 | 1月 | 第三回インデックス投資ナイト開催 |
2月 | ダイヤモンド ZAi 4月号 掲載 | |
日経マネー4月号 掲載 | ||
バンガードの海外ETF、信託報酬値下げ | ||
3月 | 世界最大のETF「SPDR S&P500 ETF」(SPY)が東証に重複上場 |
2005年くらいまでは、インデックス投資環境ははっきりいってボロボロでした。
インデックスファンドはあっても日本株式インデックスファンドばかり、しかもノーロードではないものばかり。せっかく国内外の株や債券のインデックスファンドが出てきても、繰上償還や取り扱い廃止に追い込まれる有様。
2006年にネット証券で海外ETFが買えるようになり、一足飛びに超低コストなインデックス投資ができる環境が訪れます。一部のインデックス投資家は大歓迎しました。しかし、イニシャルコストの高さから大口の投資向きであったことと、外貨建て資産の投資には手間の面や税制の面で少々壁が高かったようで、浸透はゆっくりとしたもののようでした。
潮目は2007年頃、「マネックス資産設計ファンド」「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」など、インデックスファンドを組み込んだ低コストなバランスファンドが出てきたことです。
それらは楽ちんに運用したいインデックス投資家たちから歓迎されましたが、当然のことながら、「それをばら売りしてほしい!」という要望も高まっていきました。
2008年の「STAMインデックス」シリーズの登場で、自分でアセットアロケーションを組みたい投資家たちの要望が容易に実現できるようになりました。「eMAXIS」シリーズや「CMAMインデックスファンド"e"」シリーズが登場するようになり、インデックスファンドにもコスト競争が広がってきました。
海外ETFの方は、満を持してバンガードが上陸し、様々なアセットクラスで超低コスト化に拍車がかかります。
一方、国内証券取引所にも、超低コストで、カバレッジの広い指数に連動する外国株式ETFなど資産運用のコアになるアセットクラスの商品が上場され始めました。
そんななか、STAMシリーズの信託報酬値下げが発表されました。今後、これに続くものが出てくるかもしれません。
インデックス投資環境はどんどん改善され、インデックスファンド、国内ETF、海外ETFの三つ巴体制のまま、現在に至るという感じでしょうか。
この年表は、これからもまだまだ続きます。
願わくば、よい歴史を刻んでいけたらと思います。
何かのご参考まで。
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