「震災国債の日銀引き受け」とさらっと書いてありますが

水瀬ケンイチ

夕刊を手にとって驚きました。

【日経新聞2011年3月31日夕刊1面より引用】
復旧復興税を創設
政府が東日本大震災の復旧・復興に向けて検討している基本法案の素案が31日、明らかになった。5年間を「集中復旧復興期間」と位置付け、集中して人、物、カネを投入。復興財源を確保するため、復旧復興特別税の創設や震災国債の発行、日銀引き受けの検討を打ち出した。首相を本部長に全閣僚で構成する復旧復興戦略本部を設置。震災復興担当相の下に復興庁の新設も明記した。
【引用おわり】

復旧復興税はいいとして、「震災国債の日銀引き受け」とさらっと書いてありますが、これは驚くべきことです。
国債の中央銀行引き受けは、政府が自分で債務を負うことなくお金をいくらでも作り出せるいわば「打ち出の小槌」であり、財政法で禁じられています。
ただ、これには但書きがあり、国会の決議の範囲内で日銀引受けはできることになっています。

財政法第5条 すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。


法律には詳しくありませんが、政府が検討しているということは、東日本大震災がこの「特別の事由」にあたるということなのかもしれません。



当然のことながら、国債の日銀引き受けに反対する人たちが、当の日銀を筆頭に大勢います。財政規律が崩壊する、高インフレを招く、金利が急上昇するといった弊害を懸念しているようです。
一方で、賛成派もいます。デフレが収束し、円安になることで日本経済が復活するといった効果を期待しているようです。
今まで、ネット上では経済学者やエコノミストなどが入り乱れて、喧々諤々の議論がされてきたのを見ています。
もちろん、今回は震災復旧が目的であり、今までのデフレ脱却目的とは少し話が違いますし、節度ある日銀引き受けを行えば影響をコントロール(多少の金利上昇、円安程度に)できるということなのかもしれません。

もし、国債の日銀引き受けが行われたらどうなるか、自分に当てはめて考えてみると、ポートフォリオの外貨比率が高いので、基本的に円安はウェルカムです。
債券クラスは、金利急上昇の場合でも、MMFなどデュレーションが短い債券投信や変動金利債に投資しているので、少しは影響を抑えられるかもしれません。
株式クラスは、円安進行で輸出企業を中心に株高になるとか、インフレには株式が有利とか言われているので、ウェルカムかもしれませんが、実際の市場は様々な要因が絡んで動くので、そう単純なものではないような気はします。
しかし、ハイパーインフレが起きたり、日本自体が財政破綻したりすると、日本での生活自体が困難になるので好ましくはないです。

結局、程度問題でどうなるかよくわからないのですが、市場がどんなことになろうともある程度対応できるように資産を分散しておき、あとは動向を見守ろうと思います。


※1 「震災国債の日銀引き受け」はまだ検討段階で、実施が決まったわけではありません。また、言わずもがなですが、投資判断は自己責任でお願いいたします。
※2 被災地ではまだ苦しんでいる方々がたくさんいるのにお金の話ばかりで不謹慎だ、というお叱りがあるかもしれません。ごもっともだと思います。震災に対する当ブログのスタンスは以下にまとめていますので、よろしければご覧いただけたら幸いです。
http://randomwalker.blog19.fc2.com/blog-entry-1682.html

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Posted by水瀬ケンイチ