10年前に聞いた「お金持ちの必勝法」

水瀬ケンイチ

あれは10年くらい前のこと。

投資を始めたばかりの私は、ご他聞にもれず日本株の個別株投資をしていました。
なにか良い銘柄はないか?買い時はいつか?売り時はいつか?といつも考えていたように思います。
そんな欲が体から染み出ていたからか、ある時、会社の取引先のおじさんが、どこから聞いたのかしりませんが、

「水瀬君は株をやっているんだって?」

と株の話を振ってきました。「ええ、まぁ…」などとお茶を濁していると、

「いいことを教えてあげよう。株で儲けたら、そのお金で東京電力株を買うんだ。儲けたら少しずつ東電を買い増していくんだ。株で長い間勝っているお金持ちはみんなそうしているんだよ」

と声をひそめて教えてくれました。
当時の私は投資額も少なく、儲けたお金で1単元30万円近くする東電株なんて買えるかい!と思って聞き流していましたが、分散の「ぶ」の時も知らなかった私は、お金持ちの間ではそういうもんなのかと信じてしまいました。

その後も「株の儲けで東電株を買い増す」という運用法を、ある時は「マネー誌のおすすめ投資法」として、またある時は「大企業経理マン共通の必勝法」として、またある時は「近所のお金持ちの秘密」として、複数人からちょくちょく見聞きしました。
当時から東電株はディフェンシブ銘柄の代表格でしたから、なにかそういうセオリーみたいなものがあったのかもしれません。



10年前は1株3,000円近くあった東電の株価も、いまや450円(2011年4月12日現在)。
直接的な原因は、言わずと知れた福島第一原発の事故です。
本日のニュースによると、国際的な評価に基づく事故評価を、史上最悪といわれたチェルノブイリ原発事故と同じ「レベル7」に引き上げたそうで、余談を許さない状況が続きそうです。
今後の株価がどうなるのか分かりません(奇跡のV字回復になるかもしれません)が、現時点で10年前から85%減というのは、東電株に集中投資していた投資家にとっては相当なダメージだと思われます。
くだんの「株で長い間勝っていた人たち」や、「大企業経理マンたち」の話が本当ならば、いまどうなっているのか心配されます。

最近の社会情勢は、JALや東電のような超巨大企業の株であっても、集中投資は危険であることを教えてくれています。
資金の大半を置いておけるようなディフェンシブな銘柄を求めるなら、個別株ではなく、よく分散の効いたETFや投資信託の中から選んだ方がよいと思います。
たとえ、期待リターンが低く多少のコストがかかったとしても。
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Posted by水瀬ケンイチ