「震災後のお金の救急ナイト」体験記 その2

前回の記事『「震災後のお金の救急ナイト」体験記 その1』の続きです。

・ミュージックセキュリティーズの「セキュリテ被災地応援ファンド」の紹介(小松) ※詳しくはこちらのサイトを参照
・寄付は金銭的リターンがない投資。資金が何に使われたかを投資家にきちんと報告
・先日も被災地へお金を届けに行ったが、事業者の方々は既に気持ちが切り替わっていて、事業運営する上でこのタイミングでの資金は大変有難いと言われた
・ファンドに集まったお金の半分は寄付、半分は投資となる。金銭的に見ると割に合わないが、被災地を応援したいという人がお金を出してくれている

ここで水瀬所感。
「セキュリテ被災地応援ファンド」は、投資商品としてというよりも、助けてほしい人と助けたい人を素早くマッチングさせ、その後も継続的に応援できる仕組みとして有効だと思いました。
ただ、ファンドと名前は付いていますが、スキームは匿名組合契約であり、投資信託とは大きく異なります。投資信託にはない様々なリスク(流動性リスクや各種信用リスクなど)があるので、投資を考えられているかたは商品性をよく理解してから投資された方がよいと思います。

・有事の際の投資行動をリスト化しているアクティブ投資家を取材した。揺れている最中にリストに基づきPCでトレードしていた(羽生)
・今回の震災で日本リスクが顕在化した。円を貯蓄する極端に円に偏ったポートフォリオ、仕事も日本人相手、年金も国債に多く投資している(内藤)
・日本には教育リスクもある。東大ブランドの陳腐化についてブログに書いたら反響が大きかった。世界の大学ランキングで見ても日本の大学は評価が低い(内藤)
・日本の新聞だけを見ているといいことしか書かないので日本は素晴らしいと思ってしまうが、海外からはくそみそに言われている。エコノミスト誌では日本は人をがっかりさせる驚異的な能力があるとまで(宮本)
・過去の株価で見ても、アメリカや中国のインデックスにドルコスト平均法で20年積み立てたら結構得をしてる。日本株のインデックス投資に意味はあるのかと疑問を持っている(宮本)
・日本株低迷の理由は3つ。①人口減(50%)、②日銀の誤った金融政策(30%)、③利益を出せない日本的企業経営(20%)。今後も変わらないと思う(宮本)
・宮本さんの会社はボストンにあり、外国の運用会社はだいたい日本をこう見ていると思ってほしい(内藤)
・少しムカっとしている。日本的経営を強みとして、人を切らないでうまくやっている会社もある(安原)
・日経平均はバブル頂点から77%下落したが、その中でもニトリは騰落率1259%、ヤマダ電機は814%、久光製薬など株価が大きく上昇している企業もある。個別株を選別できるのならその方がインデックスより儲かる確率は高い(深野)
・よい個別株をピックするのは我々プロでも簡単な仕事ではない(宮本)
・日本の価値観を変えるチャンスにある。例えば東電の処理をどうするのかで日本の未来がわかるかもしれない。ここでだめなら日本株を全て売るかもしれない。日本を助けることと資産を守ることは別(内藤)
・みんなで力を合わせればと言うが、みんなで同じことをやってきたからこんなことになってしまったのではないか。人と違う意見を言ったり聞いたりできることが必要(内藤)
・日本株インデックス100%ではなく、時代に合わせていろいろな企業や国に分散してリスクコントロールできる人がお金持ちになっていくのでは(羽生)

ここで水瀬所感。
日本に対する悲観論が続出しました。
しかし、聞いていて少し論点がごっちゃになっていたように思います。
全体的には日本に対する悲観論なのですが、話を整理すると

・個人の問題(みんな同じ内向きの価値観・日本偏重の資産配分)
・企業の問題(人を切れない日本的経営・いいことしか言わないマスコミ)
・国の問題(人口減・日銀の金融政策)

に分かれるところ、それらを一緒くたにして、ある人は日本人という意味で、ある人は日本企業という意味で、ある人は日本国という意味で、それぞれ「日本はダメだ」とたたみかけてあまり議論が深まらないうちに、「だから日本株はダメだ」と帰結してしまっていたように思います。
私は日本株に強気かというとそうではありませんが、この話を聞いていて「日本」の(と対象範囲を広げて)あら探しをしただけで終わってしまった感があって少し残念でした。
国レベルや企業レベルの問題を解決することは難しいのかもしれませんが、個人レベルの問題には処方箋があったように思います。

ちょっと辛口になってしまいましたが、震災イベントであるからこそ、ダメ出しのその次、前を向いて生きていくための「知恵」の方をもっと聞きたかったし、今回の出演者たちならそれができたのではないかと思ったので、率直に書かせていただきました。お気を悪くされたら申し訳ございません。

この後、会場との質疑応答がありました。
「生活防衛資金は生活費の何ヶ月分必要か?」の質問に対して深野氏から「4ヶ月。理由は失業手当が出るまでの3ヵ月にプラス1ヶ月の余裕がほしいから。ただし、35歳以上は転職が極端に厳しくなるので1歳につき1ヶ月分を増やすべき(50歳で19ヶ月分)」との回答があり、なるほどそういう考えもあるのかと思いました。
他は、「今後日本国債はどうなるか?」「Jリートはどうか?」という相場観の話だったので割愛させていただきます。

なお、当日の売り上げの一部は東日本大震災被災地へ寄付されるとのことです。

(レポートおわり)
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コメント

質問です

素人なので分らないので教えてください
ほったらかしを読んでSTAM先進株式やらeMAXIS新興国やらを買ってみました

で、上の文章で「今回の震災で日本リスクが顕在化した。円を貯蓄する極端に円に偏ったポートフォリオ、仕事も日本人相手、年金も国債に多く投資している」とあるんですけど、SATM先進株式も円で買ってますよね?
私は海外ETFも買った事ないので全部円で買ってます。
そういう場合も円に偏ったポートフォリオってことになるんですか?

hino

水瀬さん長文レポートお疲れ様でした。水瀬さんの冷静な所感が光ってます。
以下、個人的な雑感です。

>・日本には教育リスクもある。東大ブランドの陳腐化についてブログに書いたら反響が大きかった。世界の大学ランキングで見ても日本の大学は評価が低い(内藤)

日本人は日本企業に勤める事が多いだろうし、日本企業は日本の大卒を多く雇うので、日本の大学に進むのはある意味合理的だと思う(ホームカントリー・バイアス?)。

>・過去の株価で見ても、アメリカや中国のインデックスにドルコスト平均法で20年積み立てたら結構得をしてる。日本株のインデックス投資に意味はあるのかと疑問を持っている(宮本)

一種の日本特殊論? 日本株でも、積立 + 配当再投資なら、そこそこの成績になるとかいう話あったような?

>・日本の価値観を変えるチャンスにある。例えば東電の処理をどうするのかで日本の未来がわかるかもしれない。ここでだめなら日本株を全て売るかもしれない。日本を助けることと資産を守ることは別(内藤)

日本株の資産価格が下がったら、リバランスの為、日本株を買い増しするという話はどうなったw
リバランスする場合と、しない(見捨てる)場合の客観(数字)的な基準を教えて欲しいです(マジでw)

レポートありがとうございます。私は地震リスクや収入面から
賃貸派でしたが、今回の震災で逆に増税リスクが増えたという
より早まりましたので、そちらへの対処のほうが難しいかなと
(それでも賃貸のままでも機動性含め 価値観レベルで収まる
 かなとも思っていますが)

日本株については 私は悪いなりに株価に織り込まれていると
思っていますので 特に悲観的ではないです。市場の過去データ
でもグロース株よりバリュー株のほうがパフォーマンスいいですし^^;分散投資の一環で楽しんで個別株を続けています。日本に
悲観的な人が多いのに円高止まりませんw

あとは、今年の夏のボーナスは10%は震災義捐金に回す予定です。
良いファンドが出ればそれを買おうと思います。

匿名組合契約

ミユ-ジツクセキユリテイのファンドに出資していますが、実は「匿名組合契約」というのがよく分かっていません。今回、Wikipediaで改めて説明を読んだのですが、よく分からない。投資態度として問題です。

しかし投資の視点ではありませんが、小口ですし、ふつうの寄付と違って、お金の渡る対象がはっきりしていて、また会計明朗なところ(たぶん)は、もしかすると詐欺まがいになりかねない事務費や運営費が高い募金に応じるよりはましかなとおもいます。

ただ、こう書くと、ミユ-ジツクセキユリテイ社が投資としての運営努力を怠る可能性(モラルハザード)が高まり、これも問題です。

難しい問題です

問題を指摘してくれる人は絶対に必要です。
しかし、宮本氏のいっている問題を解決するのは相当難しく、私が日本株から撤退をした理由でもあります。
例えば、日経平均を長期的に上げていきたければ、SRIを無視して企業のリストラを敢行する事と、少子高齢化対策で移民の受け入れをやる事です。
その他にも宮本氏が発言していない企業の過剰な買収防衛策についてもメスを入れて、株価を上げていく政策に変えていく必要があります。
買収防衛策はともかく、それ以外の政策は日本人の雇用のパイを奪う事に他ならず、では「雇用と株価上昇の両立はどうすれば可能なのか?」の明確な回答が欲しかったです。
とはいえ、宮本氏のいう通り「日本を応援する事」と「資産を増やす事」は別の事なので、ここは分けて考えた方が良いかも知れません。
この根本的な問題は企業にはいくつかのステークホルダーが存在していて、例えば「労働者」「経営者」「株主」「債権者」などが存在し、その利益配分がどのように行う事が適切なのか?という事なので、各ステークホルダーの利害の対立が問題になります。
企業の問題(人を切れない日本的経営)は株主にとっては不利益ですが、雇用を守るという意味では必ずしも悪い事ばかりではなく、日本株の問題は正にここなので、この問題を上手に解決できる経営者が出てくる事に期待しています。

WBSに出ていました

http://www.tv-tokyo.co.jp/wbs/news/post_2106.html

こちらにアーカイブ ちょっとだけですが紹介されていましたので
ご参考までに

>マス・オーヤマさん

大丈夫です。
外国資産に投資するファンドは、円建ての商品であっても実質的には投資先の国の通貨で資産を持っているのと同じです。
だから、円に偏ったポートフォリオということにはなりません。


>名なしさん(hinoさん?)

たしかに、日本悲観論がぽんぽん飛び出している中には、「おいおい言いすぎだろ?」みたいな部分はありました。
ただ、彼らを擁護するわけではありませんが、宮本氏も内藤氏も元々国際分散投資をすすめており、一時の感情に任せて日本株だけに投資するのはやめた方がいいと言っているだけで、日本株投資そのものが直ちに(この枝野用語便利だなぁw)ダメだと言っている訳ではなかったということは付け加えさせていただきます。


>宮さん

増税も一度だけでなく、年々増やす案もあるそうで、ますます将来の人生設計が立てづらくなりますね。
自分はますます賃貸派になりそうです。もし仮に買うとしてもそれはリタイア後(当然一括払い)かなと思います。


>なまけもの(年寄り)さん

匿名組合契約についてwikipediaで一般論を見るよりも、セキュリテの各ファンドの「リスク」ページで各種リスクを直接見る方がわかりやすいと思います。
個人的には、細かいリスクまで誠実に書いてあると感じます。
今からでも遅くないので、ぜひチェックしてリスクを腹に落としておいた方が、今後も気持ちよく支援し続けられると思います。


>タカちゃんさん

各ステークホルダーの利害を調整して、かつ株価を上昇させられる「よい企業」を選んで投資することは、インデックス投資家は苦手ですよね(情けないですが)。
個別株投資家やアクティブファンドに頑張ってもらいたいところです。


>宮さん

うわ、後ろ頭だけかと思ったら横顔が一瞬映ってるじゃん(汗)

水瀬さんへ

ごめんなさい。名前を書く欄を間違えました^^;

枝野用語ナイスです。私も、どこかで使ってみようかな。

ありがとうございました。

水瀬さんへ

いつもブログで勉強させてもらっているものです。
今回、お会いしたくて、「震災後のお金の救急ナイト」に参加させてもらいました。
(突然 お声を掛けてしまい、すいません。(^^;))
これからも、よろしくお願いします。

P.S
はじめて、こういうイベントに参加しましたが、皆様の、テレビなどでは聞けない生の辛辣(^^;)なコメント、とても参考になりました。

いつも参考にさせてもらっています

当日、私も参加していたのですが、水瀬さんと会話する機会が無く残念でした(顔が分かれば・・・^^;)。

ブログいつも参考にさせてもらっています。
FP深野さんの「生活防衛資金は生活費の4ヶ月分・・・」と言う話しは私も新しい発見でした。

今回、私のブログ内で水瀬さんのこの記事にリンクをさせて頂きました。(リンクNGであれば、すぐ外しますのでご連絡下さい)

これからも楽しく拝見させて頂きます。

>hinoさん

いえいえ、お気になさらずに。


>eieiさん

それは恐縮です。
普通のおっさんで申し訳ありませんでした。

生ライブにはライブならではの空気感というか良さみたいなものががありますよね。
なるべくレポートでお伝えしようと思っているのですが、なかなか伝わらない部分があります。


>koutan_yzpさん

リンクフリーなのでリンクはご自由にどうぞ。
ブログを拝見しました。
重要なポイントごとにスッキリまとめられていて、とても分かりやすかったです。
参考にさせていただきたいと思います。

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