郵便局の投資信託セミナーでぼったくり商品をどう説明するか見てきました(その4)

水瀬ケンイチ

今回の記事は、一部表現がきついところがあります。お気を悪くされた方がいらっしゃいましたら、予めお詫び申し上げます。

前回までの話(その1その2その3)の続きです。今回が最後です。
参加した郵便局のセミナーでは、講師の論理的モードと不条理モードの落差に驚かされました。僕には明らかに不自然に見えました。もしかしたら何か理由があるんじゃないか。その理由を邪推してみました。
勝手な想像で書いていますので、正確ではないかもしれません。ビールでも飲みながらご笑覧下さい。

大和投信から来たという講師は、終始訥々として論理的な話っぷりでしたが、申込手数料の説明部分だけ、それが崩れたように見えました。
いわば、その部分だけ「言わされている感」が感じられたのです。
それはまるで、刑事ドラマで、普段良い子が悪い事を言っているのを聞いて、その親(もしくは恋人)が、「あの子は本当はあんなこと言う子じゃない。きっと何か事情があるに違いない」と気付くみたいな感じです。いや、別に僕は大和投信の親でも恋人でもありませんが(笑)。

そこで、家に帰ってから、さっそく郵便局のWEBサイトから、「大和ストックインデックス225ファンド」の目論見書を見てみました。
http://www.yu-cho.japanpost.jp/toushin/search/fund02.html
目論見書本文の11ページ、「手数料及び税金」欄にはこう書いてありました。

・申込手数料
販売会社が別に定めることとします。(なお、販売会社におけるお買付時の申込手数料の上限は、2.1%です)
・信託報酬
総額0.546% (配分:委託会社0.231% 販売会社0.21% 受託会社0.105%)

以上からわかることは、こうです。
・信託報酬は、大和投信・郵便局・みずほ信託の3社で山分け。
・申込手数料は、上限だけ大和投信が決めて、あとは郵便局が自由に決める。そして郵便局はMAX値に決めた。そして独り占め。


なるほど……そういうことですか。
講師は大和投信の人ですから、申込手数料については、自分で決めたわけではないのですね。決めたのは郵便局です。だから、セミナーでの説明時に「残念ながら」という言葉が思わず出てしまったのかもしれません。
しかし、大和投信としては、セミナー講師を任ぜられている以上、このインデックスファンド全体を説明する義務があるわけだし、何より、「ヨイショすべきお得意様」である郵便局様が決めた申込手数料ですから、いくら高くても、何かしらうまく説明しなくてはならない。
理論派講師の苦悩が、いかばかりだったか分かりませんが、出てきた言葉は、ご存知のとおりでした。
※前回記事参照
ここでも、前述の「投資戦略の発想法」が指摘するところの「販売が主で運用は従」が見て取れるような気がします。



ところで、大分、大和投信を庇うようなことを書きました。しかしながら、もし仮に、このインデックスファンドが他の証券会社でもっと安く、もしくはノーロードで販売されているならば、販売会社である郵便局だけが強欲で、運用会社である大和投信はかわいそうだというような気もしますが、このインデックスファンドの販売会社は郵便局1社です。そして、設定日は2005年10月3日。郵便局が投信販売開始した時です。
つまり、大和投信が郵便局のために新たに作ったインデックスファンドだと言えないでしょうか。果たして、申込手数料については知らんと言えるでしょうか。

お客さんからすれば、高コストを決めたのが大和だろうが郵便局だろうが関係ありません。それは提供者側の事情です。
むしろ問題は、高コストのインデックスファンドを、郵便局と大和投信の人たちが、リスク商品投資経験が豊富とは思えない郵便局利用者に積極的に売りつけようとしていることです。
まさに、「販売優先の理論で、投資家の立場など配慮されていない」という指摘どおりではないでしょうか。


無料のセミナーで、ここまでいろいろと考えさせてくれた郵便局さん、いろんな意味でありがとう。
マスコミ報道によると、郵便局では、投信を取り扱う郵便局を当初の予定よりも前倒しして増やすほか、6月から新規商品4商品を加えて販売を強化する予定とのこと。
今後は、真に利用者のためになる良質な投資商品の提供を、切に期待しております

【NIKKEI NET 2006.3.15より引用】
郵政公社、06年度末の投信販売目標6430億円に
 日本郵政公社は14日、2006年度末までに販売する投資信託の残高目標を約6430億円とすることを明らかにした。昨年10月の取り扱い開始から3月末まで半年間の残高目標は1073億円。取り扱う郵便局を当初の予定よりも前倒しして増やすほか、新規商品も加えて販売を強化する。
 郵政公社は同日、投信の新規商品に14社から27商品の応募があったと発表。このうち4商品を採用して6月から販売する予定だ。販売を手掛ける郵便局も現在の575局から、06年度中に1153局へ拡大。商品数と拠点の拡充で、販売の大幅な増加を見込む。
 14日時点での販売残高は1039億円で、3月末までの目標達成はほぼ確実となっている。販売を始めてから2カ月は低調だったが、郵便局職員が投資リスクのある商品を顧客に説明するのに慣れ、年明けから順調に伸ばしている。 (21:00)
【引用終わり】

(終わり)
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Posted by水瀬ケンイチ