「30代からはじめる投資信託選びでいちばん知りたいこと」(朝倉智也著)はアグレッシブ

水瀬ケンイチ

「30代からはじめる投資信託選びでいちばん知りたいこと」(朝倉智也著)を読みました。
本書は、投資信託を活用した資産運用の入門書ですが、その内容はかなりアグレッシブです。

30代からはじめる投資信託選びでいちばん知りたいこと30代からはじめる投資信託選びでいちばん知りたいこと
朝倉智也

ダイヤモンド社 2011-05-20
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著者の朝倉氏は投信評価会社のモーニングスター代表であり、本書でも投資信託選びではモーニングスターをフル活用した内容になっています。
モーニングスターは私も普段からよく活用させてもらっており、データの質・量ともに非常に充実しています。
そのモーニングスターのデータで、既存の投資信託を実名でズバズバと斬っており、読んでいて「おいおい、そんなことまで書いて大丈夫?でもそのとおり!」と思う部分が多く、ある意味痛快ですらあります。



投資信託選びの前提になる資産運用の考え方も非常にアグレッシブです。
著者は、リーマン・ショック以降、世界経済は先進国から新興国への「パラダイムシフト」が起きたと主張しています。
主に、ゴールドマン・サックスの将来予想(2030年の世界のGDP比率と時価総額比率)を根拠としているようです。
資産配分については、将来に備える20~30代の資産形成層は、将来の世界経済の姿を反映させたものにするべきだということで、

外国株式6割、外国債券3割、金1割(株式と債券のうち半分を新興国にする)

を推奨しています。

そして、私たちは既に年金や保険を通じて日本債券・株式には投資しており、今後人的資本が生み出す収入もほとんど円なので、日本株式・日本債券には一切投資しなくてよいと主張しています。

私は、投資家本人が納得しているなら、こういう資産配分があってもいいと思います。
筆者も本書の中で述べているように、これまでの資産運用の常識とは一線を画しており、非常にアグレッシブで面白いです。
ただ、それだけに投資家本人が、著者の新しい考え方やゴールドマン・サックスの将来予想に大きく「賭け」ているのだという自己認識は持っていた方がよいと思われます。

少しだけ残念だったのは、推奨資産配分の期待リターンだけ書いてリスク(標準偏差)を書いていないことや、外貨比率100%なのに為替リスクについてほとんどフォローされていないなど、リスクに対する記述が薄めであることです。

しかし、それ以外は、全体的に資産運用の要諦(投資信託の選び方・積み立て・リバランスなど)をしっかり押さえており、モーニングスターの機能を活用し、具体的商品名を例に出して投資信託の良し悪しを解説するなど、切れ味鋭い明快な内容になっています。
初心者には分かりやすく、経験者には新たな気付きになる本だと思います。
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Posted by水瀬ケンイチ