ストラテジストの本音とインデックス投資家の本音の共通点

水瀬ケンイチ

アナリストやストラテジストの予想は当たらないとよく言われていますが、そのストラテジストのレポートで、久々に心動かされるものがありました。

マネックス証券 ストラテジーレポート
2011年6月10日 ストラテジストの予想は当らない - なぜ理論が大切なのか -

詳しくは上記レポートを読んでいただきたいのですが、ストラテジストの広木隆氏は、内藤忍氏やナシーム・ニコラス・タレブ氏の著書の厳しい指摘を引用しつつ、ストラテジストの予想は当たらないと言われていることを紹介しています。
また、相場は運や偶然に左右されるところが大きく、理論で説明ができるのはせいぜい2割がいいところだと認めています。
そして、だからこそ人の力で突き詰められる理論が大切なのだと述べています。



特に秀逸だった例えがあります。2割の水が入ったコップの話です。

コップの中に水が入っている。コップの容量に対して 2 割程度。残りの8割は何もない。空(カラ)である。水は目に見えるし、触れることもできる。その温度も分かるし、味を見ることも可能である。
一方、空(カラ)の部分は ‐ 何もないのだから - 捉えようがない。捉えようがないもの、それを相場の世界における「理屈ではないもの」と思っていただきたい。
「捉えようがないもの」を認識するには「捉えられるもの」を認識する必要がある。
コップの 8 割に水が入っていないことを認識するには、コップの 2 割に水が入っていることを認識することだ。存在しない 8 割を捉えるためには、実在する 2 割をしっかりと見るしかない。
仏教の言葉で言う「空即是色、色即是空」である。

(太字は引用元では傍点)


よく、インデックス投資は将来を予測しない投資法であると言われています。
いわゆる「株価はランダム・ウォークする」というやつです。
経済環境や相場環境などから全体的な相場の流れやトレンドを見て、投資戦略全般について考え方やアイデアを提示する専門家であるストラテジストとは、いわば「対極」の存在と言えるかもしれません。

しかし、誰だって将来が確実には分からないという前提のなかで、投資のパフォーマンスをより良くするためできる限りの理論を活用しているという点では、似ている面もあるように思います。
それは例えば、ストラテジストでは、著者の言う「IBESの12カ月フォワードEPSや長期成長率の仮定に基づき残余利益モデルで理論株価を算出するアプローチ」であったり、インデックス投資家では、「分散投資理論によるアセットアロケーションや投資商品の低コストの追求」であったりします。

いずれも、思い通りにならない相場の威力の前には、吹けば飛ぶような努力であるかもしれません。
でも、手法こそ違えど、小さいながらも人の力でコントロールできる部分があるなら、そこはしっかりと論理的にやっておこうという「気構え」は共通しているように思いました。

自分が、まさかストラテジストの言葉に心動かされるとは思っていませんでした。
これからは、少し違った目でストラテジー・レポートを見ることができそうです。
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Posted by水瀬ケンイチ