ほんとうに「ほったらかし運用」でいいの?と不安なかたに朗報

私は昨年12月、「ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド」という本を山崎元氏と共著で書きました。

この本で私が言いたかったことのひとつに、「投資が趣味でも仕事でもない普通の人は、投資にかける時間をできるだけ減らして、空いた時間を仕事や趣味や家族サービスに使ってQOL(Quality of Life)を上げよう」ということがありました。
出版当時は「ほったらかし」という言葉に脊髄反射したかたから「けしからん!」というお叱りを受けもしましたが、本当に言いたかったことは上記のとおりでした。

さて、この「ほったらかし運用」についてですが、イメージ的には、既定のアセットアロケーションを守って年1回のリバランス、半期に1回のアセットアロケーション計算、あとは月1回のインデックスファンドの積み立て、という感じのスケジュール感です。
日々やることは特にありません。

でも、本当にその程度でいいの?と不安になるかたもいらっしゃると思います。
共著の山崎氏は「運用という作業は基本的に、持っていることであり、売り買いすることではない」と述べています。
それでも不安なかたに、「ほったらかし運用」をサポートするレポートを見つけたのでご紹介します。

ニッセイ基礎研究所 ニッセイ年金ストラテジー 2011年 Vol.181
2011/07/01 年金運用入門:運用の評価頻度が高まれば株式投資が嫌になる(2)

詳しくは、上記レポートをご覧いただきたいのですが(2ページの短いレポートです)、無理やりまとめると、MLA(近視眼的損失回避)という投資家の行動バイアスについてで、株価を観察する頻度が高い投資家ほど、株式などのリスク資産への資産配分が減少してしまうので、運用担当者は株価下落に過剰に反応しないよう努める必要があるとのことです。

MLA(近視眼的損失回避)は、米国のベナルチ教授とセイラー教授が提案した行動ファイナンスの有名な理論で、それなりの手順を踏んで実証が行なわれています。
今回のレポートは、更に一歩踏み込んで、長期運用でリスクをとって高いリターンを追及しようとする年金運用担当者の現実に則した実験になっています。

要するに、投資家は株価を頻繁に見ていると株式投資が嫌になる傾向があるということです。(レポートタイトルそのまんまですね)
これは、既定のアセットアロケーションを守ってバイ&ホールドする「ほったらかし運用」をサポートする内容になっていると思います。

ただし、株価の変動を見ないと損失も意識しないため、本来よりも余計なリスクをとってしまうこともあり得るので、リスク許容度の範囲内で運用することにはくれぐれも留意すべし。
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コメント

ちょっと恐れている事があります

ウォール街のランダムウォーカーの中にある行動ファイナンス学者の意見では”言い過ぎ”の部分があるとみており、行動ファイナンスを100%信じている訳ではありません。
とは言え、MLA(近視眼的損失回避)という投資家の行動バイアスに関する点は参考になると思います。
「投資家は株価を頻繁に見ていると株式投資が嫌になる傾向」こんな所まで行動ファイナンスで説明できるとは驚きです。
個人的にはあまり株価の事は気にしていません、時々チェックしてどのアセットクラスへ投資するのかを考える点に留めています(時間がたつと、当初のアセットアロケーションが変動によって崩れてくるから)。

ちょっと怖くなっているのは、インデックス投資家レベルでも金融機関から行動バイアスが研究され、そのような投資家にも危険な投信を買わせる為の商品開発をされる恐れがあると考えています。
ウォール街のランダムウォーカーを読む事が最大の処方箋だと思いますが、行動ファイナンスはある意味、恐ろしい分野でもあります。

もっと、ほったらかしてます

投資にかける時間については、みなさん自説をお持ちで面白いですね。

私のアセット・アロケーションは、退職前に必要な資金を全てキャッシュ、退職後に必要な資金を全て株式(債券は公的年金にお任せ)としており、年1回買付する以外、何もしていません。
株式は、定率取り崩しを行う数十年先まで、減ろうが増えようが積立投資するだけなので
No monitoring & No rebalance です。
「資産運用」という観点からは、メンテナンスの必要性があるのでしょうが、頭から投資の事を消し去って、その他のことを考える時間を優先したくなり、このような方法をとっています。

年1回の買付時期には、水瀬さんのブログをはじめ有益な情報を発信されている方から、より低コストなETFやFundがないかを教えて頂いております(感謝)

「行動ファイナンス理論」は学問的表現ですが、やる以上は思考錯誤しつつ成功に導くための自己納得の手段と考えます。

投資や商売、事業経営では、金銭を扱ううえで将来を予想する思考は不可欠であり、これだけ見るとギャンブルと変わらない(まったくイコールではありません、念のため)。けれども、金銭と直接は無関係な分野でも進路予想には心理作用とか人間行動の研究がされてきた。

戦争での戦略・戦術研究は最たる例で、ひよどり越え・桶狭間・真珠湾、ハンニバルのアルプス越えなど数多いし、スポーツでの勝つための自軍相手軍の駆け引きもそうでしょうね。

「ほったらかし投資術」も労少なく果実を求める体験にもとづく結果でありましょう。一方で「ほったらかし」に不安を感ずる方がいるのも当然です。その不安解消をするためにいろんな意見を訊く、図上演習する、実際に試して結果を検証するなどの過程が大事であり、逆に「鵜呑みに信じ込む」のがもっとも危険なんではないでしょうか。(リーマンショックでは有効とされていた「分散投資」自体の適不適も研究されました)

人的資源も含めてコストを最小化する

・「リターンは不確実、コストは確実、ならばコストを最小限にするのが効率的」という戦略(例えは悪いですけど、売上げが伸びない会社が、社員をリストラして利益率を上げようとするみたいな…。あれ、なんか感じ悪いぞw)について、コスト部分を考える際、手数料などの金銭的コストだけでなく、自分の人的コストも含めて最小化するという考え方には、私も賛成です。というか、モノグサな私にはピッタリです。


・MLA(近視眼的損失回避)については、タレブも「まぐれ」で同じ事を言ってました。(しかし、こんな立派な名前が付いているとは、思いませんでした)
 要するに、プロスペクト理論(人間は利益より損失に2倍敏感に反応する)の応用で、株価化が上下する確率が1/2と仮定すると、株価をチェックした際、株価が上げている場合と下げている場合を目撃する確率は半々。けれども人間は、損失の方に敏感に反応してしまう為、頻繁に株価をチェックする程、(利益と損失の回数は同じでも)損失の方を強く感じてしまい、持ち株を売却して別の株に乗り換える可能性(=売買回転率)が高まる、という話だったと思います。


・今回の記事でリンク先に沢山のレポートがあるのを知りました。タイトルだけ眺めていても、興味深いレポートが結構ありますね。
≫ ニッセイ年金ストラテジー http://www.nli-research.co.jp/report/pension_strategy/


>ただし、株価の変動を見ないと損失も意識しないため、本来よりも余計なリスクをとってしまうこともあり得るので、リスク許容度の範囲内で運用することにはくれぐれも留意すべし。

→この点については、山崎さんも著書で、「株価は毎日チェックすべし」と明言してますね。おそらく山崎さんも「頻繁にチェックしない事のメリットよりも、デメリットの方が大きい」と考えているのだと思います。(後はただ単に株式投資が好きなだけとかw)
または、訓練(経験)によりバイアスを上書きする事を意図しているとか。スパルタだなー。

補足:人は経験が少ない分野では、不合理な行動を取り易いが、経験が豊富な分野では概ね合理的な行動をとる様です(恐らく経験の多い少ないによって働くバイアスが異なるのでしょう)
 だから、人が未知の領域へチャレンジする事をためらうのは、経験の少ない分野で不合理な(=不利な)行動を避ける為という、十分合理な行動パターンとも言えるのでしょうね。
 …という事は、投資未経験者が投資をためらうのも無理はないのかも。

 毎度のごとく、長文 + 取り留めの無い話ですみません^^;

最近インデックスをバイアンドホールド始めた初心者です。色々なブログを参考に勉強中です。私の希望ですがブロガーさんみんながバイアンドホールドをやり始めた開始来のリターンを公表していただくとこれから始める人への大きな参考になるのではないでしょうか。いつ開始したかによってバラつきが出ると思いますが始めた時期によっては普通預金にさえ負けてしまうという重要な事実がわかり参考になると思います。

>タカちゃんさん

ご懸念よくわかります。
山崎元氏はかなり昔から、金融機関の金融工学や行動ファイナンスのマーケティングへの悪用について警鐘を鳴らしていましたね。
この記事なんかよくまとまっているかも。
http://randomwalker.blog19.fc2.com/blog-entry-1300.html


>arakisoserinさん

骨太の投資方針、いいですね。
何を重要視するかで、投資方針は人それぞれ変わってくると思います。
私は「投資に手間と時間をかけない」ことを重要視していましたが、arakisoserinさんにはかないませんでした(^^;


>実習生さん

投資に唯一の正解はないと思うので、自分に最適な投資法を常に試行錯誤しています。


>hinoさん

貴重な考察ありがとうございます。
まず、「自分の人的コストも含めて最小化」という表現、まさにそのとおりでいいですね。今度使わせていただきたいと思います。

プロスペクト理論については、正確には「人間は利益より損失に2倍敏感に反応する」のではなく、「参照点」がポイントで、「一単位の損得の増加に対する評価は絶対値が大きくなるほど逓減する」「参照点付近の価値評価の変化は、参照点よりもプラスの領域の一単位の得よりも、マイナス領域での一単位の損の方が大きい」ということかと。
つまり、損失の方に敏感に反応してしまうのは参照点である買値付近の小さな損の場合であり、大きく損するとどうでもよくなる(笑)
ただ、MLAの場合でも、特に損している時の頻繁な株価チェックは、リスクを避ける方向に心が動くのだろうということは感覚的にはよく分かります。

ニッセイ年金ストラテジーは、私もよく参考にしています。
個人投資家の資産運用にも応用できそうな興味ある項目が多く、更新のたびに熟読です。
そのレポートについてのブログ記事も多いです。

山崎氏の最新刊での「株価は毎日チェックすべし」については、「ほったらかし投資術」執筆時から比べると若干の宗旨変えですね。
執筆後しばらくしてお会いした時に、ご本人が「ほったらかしは言い過ぎではないかと問われれば、少し言い過ぎだったと答えたい」と仰っていました。
私は今でもほったらかし派ですけどね(^^;


>インデックス初心者さん

私はブログ開始当初から、公開する情報はアセットアロケーションとその構成商品までで、投資額やパフォーマンスは非公開というポリシーでやっています。今後も変更する予定はございません。

インデックス投資ならマイナスにならないというのは、明らかな過剰期待であり、その点について書いた記事もあります。
ご興味があればご覧ください。
http://randomwalker.blog19.fc2.com/blog-entry-1720.html

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