毎月分配型投信や通貨選択型投信もいいけれど、売る方も買う方もしっかりしよう

水瀬ケンイチ

毎月分配型投信や通貨選択型投信に、統一書式の説明が義務付けられるそうです。

【日経新聞2011年7月21日朝刊4面より引用】
投信リスク説明義務付け 「毎月分配」や「通貨選択」
日本証券業協会と投資信託協会は今秋から、個人投資家に人気のある「毎月分配型」や「通貨選択型」と呼ばれる投資信託について、証券会社や銀行、運用会社に顧客への商品説明を徹底させる。投信の説明書(目論見書)で商品の仕組みやリスクを説明する統一の書式を作成し、運用会社に記載を義務付ける。販売会社には目論見書に沿った説明を求める。顧客が商品性を十分に理解しないまま購入し、不利益を被るのを防ぐ狙いだ。
【引用おわり】

当ブログでも何度も警鐘を鳴らしてきた、毎月分配型と通貨選択型投信ですが、ここへきて、日本証券業協会と投資信託協会が説明義務付けに動きました。

記事では、6月末全公募投信の純資産残高の55%(36兆円)が毎月分配型、足元の株式投信販売の7~8割が毎月分配型とのこと。また、通貨選択型も登場から3年で9兆円まで伸びているそうです。
こんな毎月分配投信だらけの市場、世界でも日本だけじゃないでしょうか。

「分配金利回り」なる珍妙なデータを使って、見かけ上の高利回りに投資家の注意を集中させて、トータルリターンやコストから投資家の目をそらすという金融機関側の営業活動の賜物だと感心します。
しかし、今回の措置を見ると、さすがにこれは行き過ぎだということに金融機関も気づいたのでしょうか。



大事なことなので何度でも同じ事を書きます。
毎月分配型投信にしても通貨選択型投信にしても、その仕組みを理解して投資家本人が納得して買っているのであれば、申しあげることは何もありません。
しかし、本人が理解していないのに勧められるまま買っている(買わせている)となると、大いに問題がある商品であるということです。

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(多過ぎて拾いきれません…^^;)

引用記事にも登場した投資信託協会が昨年行なった調査、「投資信託に関するアンケート調査報告書-2010年」では、以下の結果が目をひきます。

・投資信託を購入したきっかけは、「証券会社や銀行等の人から勧められて」が58.0%で最も高い
・分配金について「支払われた額だけ基準価額が下がる」ことを認知しているのは20.4%に留まる

金融機関に勧められて投信を買った人が6割もいる中、分配金について正しく理解している人が2割(!)しかいない。
この驚くべき調査結果と、冒頭で紹介した全公募投信の6割が毎月分配型、更に仕組みが難しい通貨選択型も急伸しているという現状を重ね合わせれば、金融機関としては、これは今のうちに何とかしないと(もう遅いかもしれませんが…)いよいよマズいことになるという話になるのは自然な流れだと思われます。

一方で、投資家側もいくらなんでも不勉強すぎるでしょう。
分配金が出ればその分基準価額が下がるということを知らずに、毎月分配型投信を買うというのは、基本的なことを知らないという意味において、ブレーキを踏めば車は止まるということを知らずに発車するようなものです。

また、以前のブログ記事で紹介した別の調査では、海外の株式や国債に投資する投信を買ったのに海外に投資していることを知らない人が6割もいるという調査結果(該当記事)もありました。
いくら金融機関があの手この手で勧めてきても、投資家の口座に勝手に投信を放り込むことはできません。投資判断は最終的には自己責任です。
投信について最低限の知識は身につける。それでも分からなければ、「自分が理解できないものには投資しない」という投資の基本をしっかり守る。

いまの日本の投資信託事情、なにかおかしくありませんか?
売る方も買う方も、もう少ししっかりしましょうよ。
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Posted by水瀬ケンイチ