「ドル建て投資信託は危険か?」またその話か…でも何度でも言います

4年ほど前に当ブログでホットな議論となった、「ドル建てファンドは円建てファンドより為替リスクが高い?」というテーマがあります。

当時は、ちょうど楽天証券でネット証券初の海外ETFの取り扱いが開始された直後の時期でした。
海外ETFのメインは米ドル建てであり、ポートフォリオの全てのアセットクラスを米国ETFにしてしまうと、コストが安いのはいいけれど、米ドルの為替リスクが高くなってしまうため手が出せないといった(誤った)意見が投資家の間で散見されていました。

ブログで、将来の円転を前提にすれば、為替リスクは投資対象の国の通貨に対して負うのであり、金融商品自体がどの通貨建てか(ドル建て、ユーロ建て、円建てなど)は関係ないと書いたところ、それでも信じられない風のかたから、目からうろこというかたまで、意外と誤解していたかたが多かったのが印象的でした。

さすがにそんな誤解はもう少ないのだろうなと思っていたところ、そうでもないという情報が出ていました。

東洋経済オンライン マネー 資産運用・投資信託
2011/07/27 ドル建て投資信託は危険か?

I-Oウェルス・アドバイザーズの岡本和久氏のコラムです。
これからドルは趨勢的に下落していくと考えているかたからの、「私は世界の株式市場に投資するドル建ての投信を持っています。ドルが下落すればその価格も下がってしまうので、心配で仕方ありません。ちょうど、同じような対象に投資をするユーロ建ての投信があるのでそちらに乗り換えたほうが安全ではないかと思っています。どう思いますか?」という質問でコラムは始まっています。

ここのところ、米ドルが下落基調にあるように見えますので、そのような心配を抱くことは気持ち的には分からないでもありませんが、その対応策として「同じ対象に投資するユーロ建ての投信に乗り換える」というのは、絶望的なまでに間違っています。

岡本氏のコラムも丁寧に説明されていますが、結論はやはり、「つまり、投信がどの通貨で表示されているかにかかわらず、円建ての価値はあくまで投信が保有している原証券の通貨の影響を受けるのです。表面的に「ドル建てだから怖い、だからユーロ建てに乗り換える」というのはコストがかかるだけで何のメリットもないことをよく知っていただきたいと思います」と締めくくられています。

大事なことだから何回でも書きます。
為替リスクは投資対象の国の通貨に対して負うのであり、金融商品自体がどの通貨建てか(ドル建て、ユーロ建て、円建てなど)は関係ありません。

例えば、インデックス投資家におなじみのMSCIコクサイ指数に連動する、「eMAXIS 先進国株式インデックス」(円建て)と「iShares MSCI Kokusai Index(TOK)」(米ドル建て)の為替リスクは同じ。
そういうことなのです。

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コメント

自分で確認したことないですが・・

東証のTOK(たとえば1680)と、NYSEのTOKは、日本円で比較した場合に、短期的or長期的にリンクするということでしょうか?

1つの数字を出すために必要ですよね

結局、異なる通貨による証券の束をまとめた時、比較するための数字を出すために1つの通貨で統一しているだけなんですよね。通貨建て表示よりも、どの国の証券を保有しているのか? が大事ですね。

円建ての海外投信は海外の投信と比べて全然増えていないとか言われたことありましたが、かたや円換算、かたやドル換算だったことがあり、何にしても統一すべきだなぁと思う今日この頃です。

応用問題

「海外の相手国でビジネス【上場】している日本企業【株式、投信など】は円建てでも現地通貨建てでも、為替リスクだけについては同じリスク」と理解していいでしょうか?

応用問題①:日本に上場している円建てETM(例;SPDR500=コード1557とか日興パンダ中国A=1322)は現地上場の相応ETMと為替リスク(米ドル、中国元)は同程度に投資者負担ですね?

応用問題②:海外売上の大きい日本企業の株式(日本上場=円建て)への投資は現地通貨の為替リスクは当該企業だけが負っているのでしょうか、それとも結果的に投資者(株主)も幾分かは分担していると言えますか?

「通貨リスク分散」の視点から、かねがね疑問に思っておりましたので、ご解説いただけるとありがたいです。

これって、FXだとクロス円はストレートの合成レートというのと同じで、
議論になること自体、おかしいんでは。。

メガネみたいなもの?

ドル建てとか、ユーロ建てとか、円建てとかって、メガネみたいなものかもしれませんね。

ファンドの価値そのものは同じなのに、ドル建てやユーロ建てなどのメガネを通して見ると、それぞれ違って見える(気がする?)。最終的に円転するなら、円建てメガネだけを使えばいいはずなのですが…


自分の周辺でも、この話は何度説明しても理解してもらえないことが多いです(説明が下手なだけ?汗)
…それとも、実はメガネとかそんな問題じゃなくて、ただ単純に「ドル下落」という言葉を聞いて「ドル建ての商品持ってるけど、これは大丈夫なのだろうか?」と思ってしまうだけなのかなぁ。。

応用問題の誤字訂正

応用問題①の中で、
ETM → ETFの間違いでした。入力後の見直しは必須ですねぇ、やっぱり。
お詫び申し上げます。

疑問点があります。

少し疑問に思った点があります。
確かに運用資金のほとんどを投資に回していれば、その通りかと思うのですが、投信によってはキャッシュポジションを大きく持っているものもあるかと思います。そのような投信についてはキャッシュとしている通貨の種類により大きく損益が変わって来るように思うのですが、いかがでしょうか?

ブログだけでなく、ご著書まで出版されてるのであえて失礼かとは
存じますが一読者として単刀直入に質問します。

水瀬さんは、インデックス投信の積立を開始してから、現時点まで
の投資元本と損益はどうなっていますか?

>akさん

本記事ではっきり言えるのは、1680とTOKの「為替リスクは同じ」ということです。
「価格」については運用コストや基準価額と市場価格の乖離などにより、全く同じになるかは分かりません。


>PETさん

現地通貨建ての株価騰落率比較を新聞等でよく見ますが、記者が意図しているしていないに関わらず、誤解を生む要因になっていると思います。


>アラsixtyさん

応用問題①に対する答え

Yesです。

応用問題②に対する答え

これは、本記事の応用になっていない別事象だと思います。
それを踏まえたうえでお答えします。

そもそも、企業だけが負担して投資家が負担しないリスクというものはあるのでしょうか?為替リスクにせよ信用リスクにせよ、企業が負うリスクが顕在化すれば利益が減り、当然のことながらEPS(一株利益)も減り、ひいては株価が下がり投資家が影響を受けるということに繋がると思います。

また、「海外売上の大きい企業」は、為替予約により為替リスクをヘッジすることができます(もちろんヘッジコストはかかりますが)。
本記事の「為替リスクは投資対象の国の通貨に対して負うのであり、金融商品自体がどの通貨建てか(ドル建て、ユーロ建て、円建てなど)は関係ありません」という説明は投資信託やETFを念頭に置いた意見であり、個別企業にそのまま当てはまるものではないとご理解ください。


>simaさん

すみません、FXに詳しくないので「合成レート」が何なのか分かりません。。。

>虫とり小僧さん

ドルの下落が心配なのはわかりますが、「ドルが下落しているのでドル建てファンドが心配」というのは心配する対象が間違っていますよね。
もし、「ドルが下落しているので、米国株式ファンドが心配」ということなら、原資産に対する為替影響なので心配する対象は間違ってはいないと思います。
基本的な投資知識がないかたにこれを説明して理解してもらうのは、至難の業かもしれません。


>たまさん

2つのファンドが違う通貨のキャッシュを持っているということは、それは投資家から見て「同じ投資対象」ではないということでしょう。


>20代サラリーマンさん

同じご質問を過去幾度もお受けしてきましたが、私の回答は変わりません。
6年前にブログを始めた時から、公開するのは「アセットアロケーションとその構成商品まで」としており、投資額や損益は非公開というポリシーで運営しております。今後も変える予定はありませんので、ご了承ください。

(横から参加)

>アラsixtyさん

1はYes

2は各銘柄依存でしょう。ただし、いずれの企業であっても企業の業績によって株価が変わることを考えるといずれにせよ投資家はリスクを背負っているはずです。
なお、海外売上高は余り関係ないと重います。
海外売上高が多くても各種対策(為替予約、為替マリー等)によって為替変動の影響が少ない企業も有ります。
一方、海外売上げ割合0%(国内売上割合100%)で仕入れのほとんどが海外という企業の場合、為替の影響が大きくなるでしょう。


>simaさん

まさにクロスがストレートの合成と同じだと思います。 (AUD/JPY = AUD/USD + USD/JPY)
式の中に出てくるUSDは相殺されて、結局は米ドルだけの値動きは関係なし・・・ですが、投資信託ばかりの人だとこのような為替の話は苦手な人が多いかもい知れませんね。

筋違いの質問にも、条理をつくした真摯なご説明恐れ入ります。
当ブログでは、いろんな見方考え方を聞かせてもらえるのでとても勉強になります。

>「為替リスクは投資対象の国の通貨に対して負うのであり、金融商品自体がどの通貨建てか(ドル建て、ユーロ建て、円建てなど)は関係ありません」

とのフレーズを反芻し、引き続いて自問自答しながらの研究課題にします。

以前、「先のことは誰にもわからない」とのお言葉も脳に焼き付いていますよw。

リスクとして

米ドルの流動性が著しく低下し、円に換金できない
という事は絶対に起こり得ないとは言い切れないと思います。

そういう意味では米ドル資産に偏るリスクはあるのではないでしょうか。


同じ指数であれば同じ?

同じ指数(例えばMSCIコクサイ)を連動目標にする投信とETFはいくつかあります。今回のテーマである円建てかドル建てかは、単なる為替表示の問題であって、投資家にとっては実質上差がないことは分かります。しかし、それでは同じ指数を連動目標にしていれば、どの投信、ETFでも同じか、という疑問になります。それが分からないので、私はこれらへの本格投資にいまひとつ踏み込めないでいるのです。売買手数料、信託報酬、資産留保額の項については、値が公示されていますが、それぞれのETF,投信の成績が、対象指数や他の同類ETF,投信と比べてどうなのかが、まったくわからないのです。成績は指数と同じ、あるいは指数から信託報酬分だけ引かれたものと単純に考えて良いのでしょうか?
具体的にはMSCIコクサイを連動目標にするETF、投信として以下のものを挙げますが、コメント、データを教えて頂けると幸いです。
1)iSharesTOK(US$、ETF、現物保有、配当こみ指数をベンチマーク)
2)1680(円、ETF、先物運用、配当なし指数)
3)1550(円、ETF、現物保有、配当なし指数)
4)eMAXIS先進国株式(円、投信、現物保有、配当なし指数)

なお、私はこの疑問につきいろいろ調べているのですが、iSharesと日興AMはHPでは会社の全ETFを設定日以降、すべての成績を指数とともに公開しています。他の運用会社さんもこの姿勢を見習ってほしいものです。

数年前にセゾン投信のセミナーで竹川美奈子氏が「バンガード社のインデックスファンドはドル建てなので不安」と発言して、バンガード社の加藤氏にキツく正されてましたw

本を書くFinancial Journalistでも、その程度のレベルなのだなぁと呆れた思い出があります。

>吊られた男さん

いつもフォローいただきありがとうございます。


>アラsixtyさん

何かのお役に立てば幸いです。


>ロシアンさん

一般的に、そういうのを「為替リスク」とは言わないような気が。

為替リスク(かわせりすく) [ 日本大百科全書(小学館) ]
exchange risk
外国為替相場の変動によって被る損失のこと。

http://bit.ly/otqfdJ (Yahoo!百科事典より)


>リージンさん

本記事のテーマは、「為替リスクは投資対象の国の通貨に対して負うのであり、金融商品自体がどの通貨建てかは関係ない」という「為替リスク」についてです。

リージンさんのご質問の主旨と思われる「同じ指数に連動する金融商品の比較」については、まったく別のテーマだと思います。
本来であれば、「記事内容と直接関係ないご質問はご遠慮願います」と言いたいところですが、ちょうど似たようなテーマで書きためていたブログネタがあるので、そのうち別の記事として書こうと思います。
リージンさんのご期待に沿う内容かどうかは分かりませんが、それまでお待ちください。


>テツさん

そんなこともあったのですね。
人間なので間違えることもあるでしょう。
私もよく間違えています(そして指摘されて修正しています)。

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