過大な損失が発生すると発生確率が当面高くなる傾向と対策案

水瀬ケンイチ

リスク管理について、興味深いレポートがありました。

ニッセイ年金ストラテジー 2011年09月号(vol.183)
リスク管理:市場は精巧に作られたサイコロか?

詳しくは上記レポートをご覧いただきたいのですが、無理やりまとめると、リスクに基づく資産配分決定をする時、損失の発生確率が時点によらず一定であると仮定していることが多いが、実際は一度過大な損失が発生すると発生確率が当面高くなる傾向があるとのこと。

市場のショック発生時期とショックの規模
(年金ストラテジー Vol.183 September 2011より引用・クリックで拡大)

上記グラフを見ると、6年程度のデータではあるものの、たしかに2008年~2009年前後は、大きなショックが固まっているように見えます。
また、アセットアロケーションのリスクを計算する時には、たしかに時点による発生確率の違いは考慮に入れていないです。



しかし、リスクの計算に時点による発生確率の違いを盛り込むとしたら、具体的にどうするのでしょうか?

よく分かりませんが、きっちりやろうとすると、どこかで「予測できないはずの未来を予測する」(次のリーマン・ショックがいつくるかを予測するみたいな)という無理をしなければならないような気がします。
であれば、リスクの計算に30年とか50年といった長期間のデータは使わず、10年くらいのデータで計算し、かつ定期的に計算しなおすという感じでしょうか。

ただ、現実問題として個人投資家が、各アセットクラスのリスク・相関係数等のデータを毎年更新して入手することは困難です。
例えば、公的年金を運用するGPIFがデータを公開してくれているので、これを利用して計算している個人投資家は多いと思います。でも、GPIFのデータは30数年間のデータで、日本債券クラスのデータが現実離れしていたりします。

現実的には、想定される最大損失に対して、余裕を持った投資額あるいは資産配分で運用するということなのかもしれません。

P.S
拙書「ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド」(山崎元・水瀬ケンイチ共著)では、山崎氏の理論編に、直近11年のデータから計算したリスク・期待リターン・相関係数のデータが掲載されています。ご参考まで。
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Posted by水瀬ケンイチ