購買力平価でみると円高は約15%行き過ぎ!?

水瀬ケンイチ

いつも小難しいことが書いてある日経新聞の経済教室欄ですが、今日は個人的に注目の記事が出ていました。

【日経新聞2011年9月8日朝刊23面・経済教室より引用】
超円高と日本経済 中期の継続前提に対応を 竹中正治龍谷大学教授
ポイント
・購買力平価でみると円高は約15%行き過ぎ
・米国の超低金利政策継続で円安反転難しく
・デフレ・円高抑制へ市場介入・金融緩和カギ

歴史的な高値を更新した円相場について「米国債の格下げやユーロ圏の政府債務の信認危機で、欧米諸国の状況が深刻化している」という解説がメディアでは一般的だ。しかしこの説明で納得できる人は少ないだろう。
為替相場の10年以上の長期変動については、通貨の「モノを買える価値」を示す相対的購買力平価原理で最も適切に説明できる。高インフレはその通貨の購買力平価低下を意味するので、ある時点を起点に計ると、高インフレ通貨は低インフレ通貨に対しインフレ率の格差分だけ名目為替相場が下落すると考えるものだ。
【引用おわり】

竹中正治龍谷大学教授は、日経新聞田村記者の購買力平価に関する記事で度々引用されているかたで、そのお話は論理面で個人的にかなり信頼しております。

上記経済教室は、新聞紙面の半ページにわたる長文ですが、ポイントは引用部分の3点になるかと思います。
特に、購買力平価の説明では、現在の1ドル76~77円台は、73年起点の「実質相場指数」(企業物価ベース)の平均値から約15%円高方向にずれた水準にあると書かれていて参考になります。
ただし、記事でも書かれているとおり、それがいつ是正されるのかは説明できないそうなのでご注意を。



ところで、購買力平価について過去に調べた時に、「消費者物価PPP」「企業物価PPP」「輸出物価PPP」等といろいろな数字があり、どれを目安にするか私自身混乱気味でした。
<関連記事>
2010/08/21 購買力平価で見た円の適正水準ってどれ?

私が購買力平価について強く興味を持った「しぶとい分散投資術―世界金融危機でわかった!」(田村正之著)で田村氏は、国際通貨研究所のデータに基づき、ドル円相場は企業物価PPPを上限、輸出物価PPPを下限にした範囲で推移してきたと指摘していました。
それに対して、その国際通貨研究所のデータ自体の元作者である竹中教授が、ご自身のブログで「チャート好きの方は、企業物価PPPを「ドル相場の抵抗線」、輸出物価PPPを「ドル相場の支持線」のようにイメージするかもしれないが、そうした論理的な根拠はない」と反論、ぐぬぬ…的な展開になっていました。

今回の日経記事でその竹中教授は、「実質相場指数」の算出に「企業物価ベース」の購買力平価を使っていました。
記事では何故「企業物価ベース」を使ったのかは書かれていませんでしたが、一例として覚えておきたいと思います。
というか、今度、竹中教授の本を読んで、購買力平価についてより深く勉強してみたいと思いました。

最近の円高で、海外投資に足がすくんでしまっているかたもいらっしゃると思いますが、日経記事の締めには、こう書かれています。
『投資家にとっても、債券に比べて長期的に高い収益を期待できる海外株式への分散投資のチャンスであろう。行き過ぎた円高という本来あるべき相場水準からの乖離をチャンスに変える「アニマルスピリッツ」が日本人に求められているといえよう』

※言わずもがなですが、投資判断は自己責任でお願いいたします。

<追記>
日経記事全文が、竹中教授のWEBサイトに掲載されています。ご興味があれば、見に行ってみてください。
http://www.geocities.jp/takenakausa/sub1index.html
(どうでもいいことですが、WEBサイトがすごい手作り感で懐かしい…^^;)
関連記事


投資判断は自己責任でお願いします。当ブログの情報により投資判断を誤ったとしても、管理人は責任を負えません。また、当ブログ内容の無断転載を禁じます。

Posted by水瀬ケンイチ