購買力平価で「企業物価ベース」を使う理由が分かった!

昨日のブログ記事、「購買力平価でみると円高は約15%行き過ぎ!?」のなかで、購買力平価には「消費者物価PPP」「企業物価PPP」「輸出物価PPP」等といろいろな数字があるが、一体どれが適切なのか分からない。日経新聞経済教室に出ていた竹中教授は、「企業物価PPP」を使って購買力平価を説明しており、参考になると同時に、何故「企業物価PPP」を使うのか、その理由が分からないという旨のことを書きました。

読者のhinoさんから、竹中氏のブログにタイムリーにドンズバの答えが出ているとの情報を教えていただきました。
ありがとうございます。

たけなかまさはる
2011/09/09 日経新聞「経済教室、円高と日本経済(下)」

「現在公表されている日銀の実質実効為替レートは、各国の消費者物価指数で計算されている。しかし購買力平価(あるいは同じことだが為替相場の実質化)に適合する物価は、貿易財だから非貿易財の比率が高い消費者物価指数は妥当性が低い」

とのこと。
なるほど、貿易財の比率が高いから、消費者物価ではなく企業物価を使うのですね。

竹中氏のブログ記事では、さらに、

「その点は日銀の担当者もよく承知で、以前は企業物価(あるいは生産者物価)を開示している国は企業物価で、そうでない国は(中国を含むほとんど途上国)は消費者物価で計算していた。ところがBISが消費者物価で実質実効指数の算出を統一するようになったので、日銀もそれにならってしまった。
その結果、日銀の実質実効相場は、輸出産業へのインパクトを考える上で妥当性が低下した可能性がある」

とのご指摘もありました。
実質実効為替レートの妥当性が低下したとなると大ごとではないか!?と思って、日銀のWEBサイトで調べたら、思いっきり同じことが書いてあってビビった。知らないとは、恐ろしいことだ。

日本銀行 日銀レビュー・シリーズ 2011年
2011/02/08 実質実効為替レートについて

実質実効為替レートの計算方法
(実質化)
一般に、実質化に用いるデフレーターとしては、輸出入物価指数、国内企業物価指数(もしくは生産者物価指数、卸売物価指数)、消費者物価指数などが考えられる。本来であれば、対外競争にさらされた個別品目(貿易財)の価格を一つひとつ国際間で比較するのが理想ではあるが、ごく限られた財ならいざ知らず、幅広い品目で月々の比較を行うことは、実務上不可能である。そこで、一国全体の物価指数を用いて、個々の製品の価格変化率の集計値を近似する必要が生じる。

このうち、BIS をはじめとした国際機関では、消費者物価指数をもとに実質実効為替レートを計算することが多い。消費者物価指数については、対外競争力とは直接関係しない非貿易財を多く含むという問題がある。こうした観点からは、輸出入物価指数や国内企業物価指数を用いた方が優れているということとなり、現に、日本銀行が計算していた実質実効為替レートも、国内企業物価指数をもとにしていた。ただし、輸出入物価指数や国内企業物価指数は、国際的な統計作成の標準化が消費者物価指数ほどには進んでいないうえ、一部の国では利用可能ではないといった問題がある。このため、現状、国際機関での計算では、輸出入物価指数や国内企業物価指数をデフレーターに用いることはない。


頭がとてもスッキリしました。1年越しのスッキリ感です。

翻って、直近の「企業物価ベース」購買力平価を調べてみると、1ドル=100.99円 (2011年6月現在)でした。
なるほど、なるほど、そういうことですか(^^)

※言わずもがなですが、投資判断は自己責任でお願いします。
※特に、購買力平価は短期の為替予想には使えないのでご注意を!
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コメント

これからのトレンドは「人件費の購買力平価」かも知れない

この件についてはFPの間では混乱しており、消費者物価、卸売物価、企業物価、GDPデフレータなど、色々言われていました。
実質実効為替レートにも欠点がある事は知っていましたが、しかしながら通貨の強さを見る上では指標が無いとバブルかどうかの判断にも困る事があります。

購買力平価にも色んな物がありますが、みんなが知っているビックマック指数などは貿易に使えない点を知らずにFP辺りが通貨の妥当レートをビックマック指数で説明している人はいます。
それから企業物価とは直接関係ありませんが、「人件費の購買力平価」はグローバル企業の間では使われ始めているとされており、「人件費の購買力平価」で最も安い所を「円高ドル安」と言う単なる名目で海外移転先候補に使っています。
どういう事かと言えば、現在は「円高」と言うよりは「ドル安」と言った方が良い状態です。
一方、アジアの通貨は概ねリーマンショック後は強くなっており、アジアの通貨から見ても明らかに「ドル安」の筈です。
だから米国へ工場移転をすると考えがちです。
しかし、「円高ドル安」を理由にアジア新興国への工場移転を積極的に進めています。
これは明らかに道理から見ておかしな話ですが、実は「人件費の購買力平価」がこっそり使われているからです。

その他に面白い事に為替レートを考えるときに企業物価の購買力平価を妥当としても、日本や米国の投資家はベンチマークとして消費者物価上昇率を使用します。
つまり、証券投資をする場合は投資家は消費者物価上昇率に勝てなければ意味がない、しかし、為替を考えるときに企業物価を使うと言うのはある意味ベンチマークの使い方が難しいです。

>購買力平価は短期の為替予想には使えない
為替(FX)の人でPPIをいう人はほとんどいませんねw
逆にCPIは金利の上げ下げさげに影響があるのでそちらの方を見ていますよ。
昨日もECBのトルシェさんのCPIの話でユーロの利下げ観測でEUR売り相場です。

昨日のお話ですが、理屈はともかく、バブル崩壊後、企業物価で見た為替は、基本的に実勢相場を上回り基調ですから、必ずしも円高でないのでは?と素朴に思いました。
http://www.iima.or.jp/pdf/PPP/doll_yen.pdf

>タカちゃんさん

「人件費の購買力平価」って面白いですね。
でも、企業の人事部からすると重宝する指標なのかもしれませんね。


>saru999さん

短期・中期の為替予測には役立たないと言われているので、それでよいかと思います。


>Kapokさん

たしかに、企業物価PPPも実勢為替レートに沿って上昇基調です。
現在が円高かどうかの判断は難しいところです。

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