ヘッジファンドについてどう考えているか

水瀬ケンイチ

ヘッジファンド、なんて甘美な響きでしょう。

「ロング・ショート戦略で絶対収益を目指す」などと言われると、何だかよくわかりませんがすごく儲かるような印象を受けます。
大切な資金をリスクに晒してインデックス投資をするなんて馬鹿らしく思えてくるかもしれません。
でも、「目指す」ことと「できる」ことは違います。

Bloomberg.co.jp 2011/10/14より引用】
T&Dアセット:日本株ヘッジファンド運用を停止-執行コストかさむ
T&Dアセットマネジメントが2010年6月から販売した日本株運用のヘッジファンドについて、9月末で事実上、運用を停止していたことが分かった。想定より取引の執行コストがかさみ、運用結果がマイナスとなったことが主因とみられる。事情に詳しい4人の関係者が明らかにした。
【引用おわり】

6月に初めて9月末で運用停止、わずか4ヶ月間(記事の読み方によっては1年4ヶ月間?)の運用でした。
いくらなんでも、ゲームオーバー早すぎでしょう。

ヘッジファンドについては、その言葉の響きから、なにスゴいもののような印象を抱いているかたもいらっしゃると思います。
私も最初はそうでした。
最低投資金額が何百~何千万円という、お金持ちだけに許された特別有利な秘密の投資法だと思っていました。



最初に「あれ?」と思ったのは、2005年にマネックス証券が出した個人投資家向けヘッジファンド「アジアファンド・オブ・ファンズ連動型投信」を見た時でした。
選り抜きのヘッジファンドを目利きが集めて「絶対収益を目指す」との触れ込みで、大会場で事前セミナー(参加しました^^;)までやり、鳴り物入りでローンチしたものの、一向にプラスにならない。
これはどうしたことでしょう?

次に「あれ?」と思ったのは、「外資ファンド 利回り20%超のからくり」(北村慶著)の中で、ヘッジファンドの実態を知った時でした。
ヘッジファンドの投資対象は、株式や債券、不動産、コモディティといたって普通であり、それを様々な投資戦略でこねくり回しているだけであることを知り、「なんだ、特別なものではないのか」ということが分かりました。

とどめは、2008年のリーマンショックの時、ヘッジファンドは全ての投資戦略(ロング・ショート、アービトラージ、マーケット・タイミング、レラティブ・バリュー、イベント・ドリブン、マーケット・ニュートラル、グローバル・マクロ)でパフォーマンスが低迷しました。

これだけ色々な戦略があればどれかひとつくらい、大暴落を逆手に大儲けしてもおかしくはないだろうというのが正直な思いでしたが、実際は、「プライム・ブローカーがヘッジファンドへの貸付を引き締めることで流動性が不足し、資金調達が困難になるから」(要するに借金できなくなったから)という実にしょぼい理由で全滅していたのが印象的でした。
<関連記事>
2008/06/18 戦略問わずヘッジファンドのパフォーマンスが低迷するメカニズム

もちろん、中には素晴らしいパフォーマンスをあげているヘッジファンドもあるでしょう。
全てのヘッジファンドがだめだとは思いませんが、全てのヘッジファンドがよいというわけでもなさそうです。
よい物もあれば悪いものもあるという意味では、普通の株式や投資信託と同じであり、いたずらに憧れるようなものでもないなというのが、現在のヘッジファンドに対する個人的スタンスです。

少なくとも、「絶対収益」を信じて、1銘柄にほぼ全資産をつぎ込むようなまねはしない方がよいと思います。

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Posted by水瀬ケンイチ