日米の機関投資家によるETF利用状況

モーニングスターに、日米の機関投資家によるETF利用の状況が掲載されていました。

モーニングスター [ 特集 ]
プロが明かす機関投資家のETF投資最新トレンド、QE2や日銀のETF購入で「変化」

米資産運用大手ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(SSgA)による、機関投資家向けのETFセミナーの様子をまとめたレポートのようです。
2ページにわたる文字びっしりのレポートで読み応えがあります。
個人的に気になったポイントと所感を書いておきます。


・日米の金融政策が機関投資家によるETFの売買動向に大きな影響を与えた
・金融法人は08年の金融危機以降に株式の投資比率を引き下げたところが多かったが、QE2でインフレ懸念が高まったことからポートフォリオの分散を図るためにETFを利用したいとの問い合わせが増えた

(水瀬コメント)
米国はETF天国です。
世界金融危機の最中は、米国市場の売買代金の6割をETFが占めたりしていましたからね。
機関投資家も活用しているようです。


・機関投資家がETFを利用するうえで日銀のETF購入が心理的な安心感につながっているほか、ETFの認知度向上に貢献している
・銀行や損害保険会社が先行していたが、昨年末から今年にかけて生命保険会社や地方銀行も積極的に外国ETFを利用するようになった

(水瀬コメント)
日本の機関投資家も、ETFを利用するようになってきたとのこと。
ただし、「海外ETF」(外国市場に上場されているETF)のようですが。


・米化学大手ダウ・ケミカルの年金基金は運用額が190億ドル(約1兆4600億円)超で、米国最大規模のETF投資家
・同基金では幅広いETFを利用し、株式ポートフォリオの4分の3以上をETFが占める
・十分なパフォーマンスを上げることができない運用マネジャーがいれば、その部分をETFなどを利用して指数への連動を目指す「パッシブ」運用に即座に切り替える

(水瀬コメント)
ダウ・ケミカルの年金基金は、大半をETFで運用しているんですね。
だめなアクティブ運用マネージャーは、「即座に」パッシブ運用ETFに切り替えられてしまうとは、まさにETFのなせる業ですが、アクティブ運用マネージャーたちにとっては大変そうです…(^^;


・日本の年金運用ではETFはまだそれほど使われていない

(水瀬コメント)
まぁ、そうでしょうね。


・これからは日本の年金も変わっていく。日本アイ・ビー・エムでも98年からS&P500指数に連動する代表的なETF「SPDR S&P 500」を使用。ポートフォリオのリバランスを行う際に同ETFを利用

(水瀬コメント)
使っているところでも、やっぱり「海外ETF」です。
機関投資家が「国内ETF」を使ってくれれば、流動性も向上して、課題である「市場価格と基準価額の乖離問題」も少しは改善するかもしれないのですが…。


・ニューヨーク証券証券取引所では「LMM(リード・マーケット・メーカー)プログラム」という制度が重要な役割を果たしている
・同制度は、LMMとして参加する機関投資家に対して一定のスプレッドとボリュームでETF市場への流動性供給を求めるもので、こうした要件を満たしたLMMに見返りとしてリベート(奨励金)を提供する。これにより、ETF市場における流動性を改善できるほか、スプレッドの縮小といった取引の「質」を高めることが可能

(水瀬コメント)
ニューヨーク証券取引所ですら、取引所がETFの流動性供給のために制度とお金を用意しています。
日本の証券取引所でも、一時期証券会社に対して少し資金投入をしていたようですが、今はどうなっているのでしょう?
もっと流動性向上に力を入れてほしいところです。


・東京証券取引所執行役員の小沼泰之氏は引き続きETFの品ぞろえを拡充するとして、相場の下落局面でも利益を上げられるショート型のETFなど機関投資家の関心が高いと思われる商品を増やすことも検討する必要があると述べた

(水瀬コメント)
たしかに、国内ETFの本数は増えました。
でも、ニッチな品揃えで本数ばかり増やしても、利用されなければ意味がありません。
王道の銘柄にしても、市場価格と基準価額が日によって大きくずれている現状(しかもiNAV公表は投資対象が日本のETFのみ)では、おそろしくておちおち買えません。
ただ、ショートETFはちょっとほしいかも…(^^ゞ


・また、ETF取引の流動性の厚みを増すことにいっそう注力すると指摘

(水瀬コメント)
ぜひ頑張ってください。お願いします!

レポート全体を見渡すと、やはり米国では機関投資家のETF利用はかなり進んでいるようです。
それに対して、日本の機関投資家の国内ETF利用はまだまだこれから、証券取引所のバックアップも、今後に期待という状況のようです。
国内ETFを個人投資家が安心して利用するためには、機関投資家の参加が必要不可欠だと思います。
日本も早く米国の状況に少しでも近づいてほしいと思います。
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コメント

米国のETFでは、最近になってラインナップを増やしてきたりと益々充実してきています。
例えば最近の例だとiSharesのS&P International Preferred Stock Index Fund(世界の優先株式インデックス:IPFF)なんてのも出てきました。
できれば日本の証券会社でも投資可能なETFを増やして欲しい点ですね。

米化学大手ダウ・ケミカルの年金基金のやり方には賛同できます。
やはり、アクティブファンドのように信託報酬さえ手に入れば運用成績なんてどうでも良いのでは困ります。
年金基金はそこを考えますね。

ちょっと古い話ですが、西武鉄道株をインデックス運用目的に組み込んでいた国民年金基金の訴訟についてはある意味正解、ある意味間違え?と考えています。
国民資産を守る意味での訴訟の点については極めて合理的であり、投信会社こそが見習うべきと言いたいです。
僕がアクティブファンドを嫌っている(絶対に買わない)最大の理由はこれです。
少なくとも個人株主ならば大王製紙やオリンパスの事例では株主代表訴訟が起こせます、アクティブファンドだとそれをやってくれません。

ただ、インデックス運用目的で西武鉄道を組み入れる場合は、指数から外されるまでは組み入れる必要があり、それに伴う下落はインデックスパフォーマンスを複製するのに必要と考えられるので、そういう意味では正しくないかも知れません。

vixが直接買えるようにはなりませんか。1552やvxxではなくて

日本のETFを活性化させるには

日本で形成されるほとんどの株式ETFは配当なし指数をベンチマークに使用しています。(たとえ海外指数でも) ファンドの成績を表示するときに、ファンド側はインカムゲイン込みの基準価格を、対照するベンチマークは配当なしの指数を出しているわけで、大いに不合理です。ずるい比較です。そして目論見書等にはベンチマークの指数に配当が入るのか入らないのかはっきり書いていません。これが日本の投信、ETFの現状です。これに対して米国で形成されるETFは、特別なものを除いて大部分が配当込み指数をベンチマークになっています。日本でも、債券、REITでは、配当、利金込みの指数がベンチマークです。株式関係のみが、配当なし指数です。
日本の投信、ETFの運用会社は自分たちの都合の良い慣行を続け、お客への正しい情報開示をしていないことになります。
このような姿勢が、投資家の信頼を得られなくなり、個人投資家にまじめな投資信託が広がらず、ETFが普及しない真の理由ではないかと思います。
業界の方々は真剣に改善を検討してください。

なお、中央三井さんのCMAMeシリーズのインデックス投信は株式ファンドでも配当込み指数をベンチマークにしている点は大いに評価します。まだ日が浅く、資産規模が小さいようですが、期待しています。

>>米国のETFでは、最近になってラインナップを増やしてきたりと益々充実してきています

米国ETFのラインナップは羨ましい限りです。
ただし、米国ですら売買高が伴わず、インデックス商品の体をなしていないETFが数多く存在します。
個人的には、日本では、ニッチなラインナップ充実よりも、王道のインデックスに連動する基本的商品を、機関投資家も買えるくらいの質に仕上げてほしいと考えております。


>>vixが直接買えるようにはなりませんか。1552やvxxではなくて

同感です。何故できないと思いますか?


>>業界の方々は真剣に改善を検討してください。

仰るとおりだと思います。
そこに気づかれているのなら、うちのような個人ブログのコメント欄ではなく、運用業界あるいは運用会社に直接意見するべきです。

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