超低コストで国際分散投資すれば必ず儲かるわけではない

水瀬ケンイチ

最近の記事で、海外ETFのVTをインデックス投資家の「リーサル・ウェポン」と紹介しました。

超低コスト(信託報酬年率0.25%)で、日本・先進国・新興国を含む全世界株式(大型株・中型株・小型株)に投資できる商品です。
アセットアロケーションに納得できれば、これ1本でリスク資産への投資を完結させることができます。
まさに、リーサル・ウェポンと呼ぶに相応しいインデックス商品だと思います。

……というような説明がされることが多いし、それは間違っていないのですが、初心者のかたが勘違いしないように申しあげておきます。

超低コストで広範に国際分散投資してさえいれば、必ず儲かるというわけではありません。

「えっ!?」


と思われたかた、そのままもう少し読み進めてください。
「そんなの当たり前じゃん」
と思われたかた、当たり前の話をするので、さっさと仕事に戻ってください(笑)

私たちインデックス投資ブロガーは、より低コストで広範なカバレッジの商品を求めて、「あの商品がいい」とか「この商品はどうだ」とか意見交換しています。
また、より良い商品を求めて、海外の商品を探したり、国内の金融機関に要望を出したりしています。
良さそうな新商品が出れば、みんなで情報を共有して商品の詳細を検証したりしています。
そして、それが良い商品だと分かると、まるでゴールに到達したかのごとく喜び合います。

しかしながら、もし限りなくゼロに近いコストで全世界に投資できる「理想的なインデックス商品」が出たとしたらどうでしょう?
それこそがゴールで、儲かることが約束されるのでしょうか?
答えは「No」です。
むしろ、それでやっと市場平均=インデックスと並ぶ「スタートライン」に立つことができるようになるだけです。

ご承知のとおり、各アセットクラスのインデックスには、期待リターンだけでなく、リスク(標準偏差)があります。
アセットクラスにもよりますが、株式クラスではこのリスクはかなりの暴れん坊であり、期待リターンの水準なんて一瞬で吹き飛ぶほど上にも下にも跳ね回ります。
ある一定期間で区切ってパフォーマンスを計測すれば、プラスになったりマイナスになったりしながら、長期でならすと年率で期待リターン程度が見込めるだろうと考えるのがインデックス投資です。
それまでは儲かったり損したりを繰り返すというのが実態です。

その実態に、最も近づけるのが「理想的なインデックス商品」であるというだけのことです。
(裏を返せば、ほとんどのインデックス商品がコスト等のせいでインデックスに追いつけないということなのですが…)

なので、超低コストで国際分散投資してさえいれば、マイナスにはならない≒必ず儲かると思われているかたは、ご自身の中にインデックス投資に対する過剰期待があるのではないかと疑った方がよいかもしれません。
過剰期待していても儲かっているうちはいいのですが、損失が膨らみだすと、「こんなはずではなかった」「裏切られた」という気持ちになってしまうかもしれません。

超低コストなインデックス商品が私たちにもたらしてくれるものは何なのか。
そもそものところを忘れないようにしつつ、いっしょに理想的なインデックス商品を求めていきましょう。

<関連記事>
2011/05/09 インデックス投資への「過剰期待」と「過小評価」 その1
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Posted by水瀬ケンイチ