各アセットクラスの年間収益率から見えてくるもの

水瀬ケンイチ

STAMから「2011年の振り返り」というレポートが出ています。

住信アセットマネジメント コラム&レポート 2012/01/05
STAM投資なび Vol.16「2011年の振り返り~2012年の相場展開は?~」

「リスク回避で質への逃避が進んだ2011年、株式などリスク資産のパフォーマンスは総じて軟調な展開に」と総括されたレポートの中には、各アセットクラスの年間収益率の推移データがありました。

各アセットクラスの年間収益率(2006~2011年)
(上記レポートより引用。クリックで拡大)

■2011年の年間収益率
(1) 国内債券 1.9%
(2) 先進国債券 0.2%
(3) 海外REIT ▲2.0%
(4) 新興国債券 ▲6.3%
(5) 先進国株式 ▲8.4%
(6) 国内株式 ▲17.0%
(7) 新興国株式 ▲21.9%
(8) 国内REIT ▲22.2%

2011年は、国内債券・先進国債券以外のアセットクラスはすべてマイナスの収益率という、とても厳しい一年であったことが分かります。
ただ、この収益率から見えてくるものは、それだけではないように思います。



やはり国内債券がマイナスにならず頼りになる?
たしかにそうですし大事なことですが、リスクフリー資産のリスクが小さいのは当たり前のこと(その分リターンも小さい)。相場が悪い時に上位に来るのも当たり前のことです。

ポイントは単年の収益率ではなく、「各アセットクラスの推移」です。
たった6年の間でも、各アセットクラスの収益率の順位は激しく入れ替わり、上位にとどまり続けるアセットクラスもなければ、下位にとどまり続けるアセットクラスもありません。
これは、過去の短期的な相対的順位は、将来を予測するのには役にたたないことを意味していると思われます。

では、様々なデータから経済のファンダメンタルズをよく分析すれば、将来は予測できるのかといえば、残念ながらそれも「No」と言わざるを得ません。
奇しくも、同じ住信アセットマネジメントがちょうど1年前(2011年1月)に発表したレポートにはこう書かれています。

■日本の見通し
「日本企業の収益は、海外事業拡大による売上増とコスト削減により急回復しており、日本株には、国際比較においても、企業収益との比較においても依然として強い割安感が残っている。為替市場の過度な変動等に留意する必要はあるが、世界的な景気回復の恩恵を受けやすい割安な日本株を見直す動きが期待できる」

■米国の見通し
「2011年の米経済は回復の騰勢を強めていくものと考えられ、グローバル景気の回復も続く見通しの中、企業収益の改善が見込まれ相場は堅調な地合いを維持すると想定される」

■欧州の見通し
「ドイツは好調な外需を受けて景気回復を続けるとみられる一方で、周辺国は厳しい財政緊縮策を強いられ景気は抑制されると想定され、域内の景気二極化が続くとみられる。相場には割高感はなく、内外景気と企業収益の改善見通しを受けて堅調な地合いを維持すると想定する」

■アジアの見通し
「中国では物価が高止まりしており今後の動向が注目されるが、景気に過熱感はなく、短期間で急激な引き締め策が実施される可能性は低いと予想する。短期的にはインフレ抑制政策に対する懸念が相場の重しになる可能性もあるが、足元の株価水準には上値余地もあり、中期的には上昇基調に回帰するとみられる」

意地悪をしたいわけではありませんが、見事なまでに外れています。
しかし、これは決して住信アセットマネジメントの分析力が特別に低いということではありません。他の運用会社を含め、プロでも相場予測は当たらないというのが、昔から繰り返されてきた現実であり、相場に臨む者が知っておくべき事実なのです。

では、どうすればいいか?
それは、またまた奇しくも同じレポートの中に答えが書かれています。

「好パフォーマンスをあげる資産を予測することは難しく、中長期的に安定したパフォーマンスを追求、獲得するためには、分散投資やリバランスを行うことが大変重要」

不確実な将来には、分散投資とリバランスで対抗する。
この考え方は、ちっとも面白くないですが、実践的だと思います。


※言わずもがなですが、投資判断は自己責任でお願いします。
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Posted by水瀬ケンイチ