「ミラクルペイント」に見る初音ミクの進化とクリエーターたちの競演

水瀬ケンイチ

以前、Google ChromeのCMに、ボーカロイドの初音ミクが出演することになったというお話を取り上げました(該当記事)。

(小難しい話が続いたので、投資に関係のない雑談です。ご興味があるかただけご覧ください)



そのなかで、私はこう書きました。
「私が初音ミクにとても惹かれるのは、キャラクターがかわいいとかそういうことではなく(そういうこともありますが)、初音ミクという共通のツールを使って、市井のクリエイターたちの才能が開花していくところ」
「作詞、作曲、編曲、イラスト、動画に始まり、実際に歌ってみる人、演奏してみる人、それらを融合してまた新たな作品に仕上げる人など、プロではない普通の人たちが共鳴して、すごいものを生み出す可能性に、強く惹かれます」

Google ChromeのCMはそれを見事にあらわしているものでした。
ただ、あまりにも短い作品なので、もう少し分かりやすくお見せできないかなと思いました。
そこで、暇に任せて、初音ミクの世界でどんなことが起こっているのかを、一緒にご覧いただきたいとおもいます。

例として、最初に、OSTER projectという音楽ユニットが作った「ミラクルペイント」という曲を聴いてみましょう。
こんな曲です。



「いつも絵を描いてくれる友達に心からのI love youを伝えるために本気で作った」というこの曲は、ボーカロイドの曲としては珍しくJAZZです。
本格的な編曲もさることながら、初音ミクの歌わせ方もとても自然で上手いです。かわいらしいイラストがいい味だしてます。
「ミラクルペイント」はあっという間に人気曲になりました。

すると、「ミラクルペイントに惚れすぎたあまりにPVを作ってみました」という人が出てきました。
Flash職人のfla3(ふらさん)さんです。
なんと、オリジナル曲に付いていた静止画のイラストを動かし、アニメーションPVに仕立て上げてしまいました。



オリジナルの雰囲気をそのままに、まるでFlashの限界に挑戦するかのような力作です。
この曲に対する並々ならぬ愛情を感じます。
ネット上には、こんなすごい能力を持った人がたくさんいるんですね。

すると今度は、「OSTER projectさんのミラクルペイント歌わせていただきました!」という人が現れました。
ニコニコ動画を代表する歌い手さん、リツカさんです。



なんという歌唱力!プロ顔負けとはこのことです。
オリジナル曲とはまた違った良さが溢れています。
スキャットやコーラスでのアレンジなど、生身の人間ならではの演出が心にくい。
リツカさんは最近では、オンラインゲームやPSPのゲームのオープニングテーマを歌うなど、活躍されています。

人間といえば、「大好きなミラクルペイント、セッションさせていただきました!」という人たちが現れました。
まらしぃさんたちです。
バイオリン、フルート、クラリネット、ピアノ、ウッドベース、ドラムという構成の生バンドです。



すっごい楽しそう!
思わず「おれもギターで参加させてくれ~!」と思ってしまいました。
(下手くそのくせに^^;)
まらしぃさんは、この曲について「かわいくてノリがよくてほんとすてきです´ω`」と言っています。本当にこの曲は多くの人に愛されていますね。
映像も、オープニングが付いていたり、複数台カメラによる撮影など、かなり凝っていてこだわりを感じます。

なかにはダンスで表現しようとする人も出てきます。
これが第35作目という紫音リアさんです。



気に入った曲は踊らずにはおれないのが踊り手さん。こういう表現もアリです。
「氷点下の中踊って参りました(((´・ω・`)))ガクブル…」という根性に脱帽です。

そして、SEGAからPSP用ゲーム「初音ミク Project DIVA」が出ます。リズムゲームというかいわゆる「音ゲー」です。
人気曲の「ミラクルペイント」は当然のように収録楽曲として採用されます。
その映像はこんなかんじです。



さすが、プロのお仕事です。
個人的感想ですが、この頃から初音ミクのプレゼンスはネットから飛び出し、リアルに浸透してきたように感じます。
Project DIVAは、その後どんどん楽曲追加が行われ、ほかのゲーム機にも移植されて広がりを見せています。

そして、全世界を驚かせたこの映像です。



ついに、初音ミクが立体映像(正確には透過スクリーン映像)になって私達の目の前に現れました。
生バンドを従え、歌って、踊って、ライブ会場の観客を熱狂させています。
なんという進化!

このライブ映像は日本で行われたものですが、この後、シンガポールや米国ロサンゼルスでもライブが行われいずれも大成功しています。
ちなみに、Google ChromeのCMのラストに流れるライブ映像は、ロサンゼルス公演の時のもののようですね。

もはや、初音ミク自身が「バーチャル・シンガー」という新しい分野のアーティストになり、一般のアーティストと同じように活動をするという状態です。
しかし、他のアーティストと違うのは、初音ミクをプロデュースしているのは、今なお楽曲や映像を創造し続けている市井のクリエーターたちであることです。

OSTER projectさんの「いつも絵を描いてくれる友達に心からのI love youを伝えるために作った」曲ができ、その後に続いた数々のクリエーターたちの競演とユーザーの応援という盛り上がりがあったからこそ、このアウトプットに繋がっています。

いかがでしょうか。
指をくわえて見てはいられない、そんな気がしてきませんか。

今回の表現は音楽や映像でしたが、誰だって「これがとても好き」「これならちょっと自信あるかも」という得意分野があるはずです。それを、なにかしらの形で表現できるととても楽しいし、ネットで共有してくれれば、見ている周りも楽しくなります。
私の場合の表現は、ブログ執筆でしょうか。

ネットやPCは、今までごく一部の人にしか許されなかった表現の敷居を、大きく下げてくれました。
いまやまさに、“Everyone, Creator”なのです。

最後に、あらためて、Google ChromeのCM映像をご覧いただきたいと思います。
今までと違って見えるのではないでしょうか。




P.S
CMで使用された楽曲、「Tell Your World」(作詞・作曲: kz)は、1月25日より邦楽歌手史上最多217ヶ国で配信が始まり、日本ではiTunesチャートでAKB48らを抑え、初の1位を獲得したそうです。(スポーツ報知より)
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Posted by水瀬ケンイチ