ステート・ストリートが考えるETF評価方法を、勝手に噛み砕いてみた

水瀬ケンイチ

昨年の情報ですが、ステート・ストリートが、「上場投資信託(ETF)の評価に関する考察」というレポートを出しています。

ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ プレスリリース
上場投資信託(ETF)の評価に関する考察

ステート・ストリートとは、正式にはステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(SSgA)のことで、世界最大のETFで東証にも重複上場している「SPDR S&P500」(ティッカーSPY・証券コード1557)の運用会社です。
他にも金ETFの「SPDRゴールド・シェア」(ティッカーGLD・証券コード1326)でお世話になっているかたもいらっしゃると思います。
また、古参の投信投資家のかたは、外国株式インデックスファンドの「ステート・ストリート外国株式インデックス・オープン」の印象が強いかもしれません。

さて、そのステート・ストリートが考えるETFの評価方法については、上記レポートをご覧頂きたいのですが、まとめると以下の6点のようです。

1. 商品の構造: 現物ETF vs シンセティックETFか
2. 指数の構成: ウェーティング手法
3. 証券貸出: 目的およびプロセス
4. トータルコスト: 流動性、買値/売値のスプレッド、NAVに対するプレミアム/ディスカウント
5. トラッキングエラー: ファンドのNAVと指数のトータルリターンは何を意味するか
6. ETFのプロバイダー: どのように評価するか

なんのこっちゃ?という部分もあるかもしれないので、水瀬の私見も交えて少し噛み砕いてみたいと思います。



1の「商品の構造: 現物ETF vs シンセティックETFか」について。
そのETFの原資産が、現物か、デリバティブを使った合成指数か、という違いです。
VSとなっていますが、勝ち負けはないと思います。
シンセティックETFは現物ETFでは投資しづらい特殊な指数にも正確に連動できる反面、現物ETFにはない余計なリスク(カウンターパーティリスク等)があります。
まぁ、国内外の株式・債券という伝統的資産に投資するのなら、現物ETFの方が無難と言えると思います。

現物ETFの中の、「完全複製」か「最適化(代表サンプリング)」かは、個人的にはあまり気にしていません。
一見、完全複製の方が優れているように見えるかもしれませんが、完全複製にこだわり過ぎると逆にコストが増えてしまうという副作用もありますので。

但し、シンセティックETFが、「100年に一度」と言われたリーマン・ショックの時にどうなったかを見ていましたが、私の知る限り、きちんとトラッキングしていたことを付け加えさせていただきます。

余談ですが、レポートの3ページの一覧表「図表3: 様々な上場および非上場商品の基本構造がその商品特性や利点に与える影響」は、ETFに詳しいかたでも「ほお~よくまとまっておるな」と思うであろう力作になっています。必見!?

様々な上場および非上場商品の基本構造がその商品特性や利点に与える影響
(上記、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ 「上場投資信託(ETF)の評価に関する考察」より引用・クリックで拡大)

2の「指数の構成: ウェーティング手法」について。
これは評価法というより、仕組みの解説です。
通常のETFは、時価総額に基づくウェーティング(加重方法)が行われていますが、最近は、独自のウェーティング法に基づくETF(ファンダメンタル・インデックス等)も出てきましたよということです。
どちらが良いということはないと思いますので、自分の投資方針に合ったものを選べばよいと思います。

3の「証券貸出: 目的およびプロセス」について。
これも評価法というより、仕組みの解説です。
ETFでも他の投資信託等と同じように、組み入れ資産を他の金融機関等に貸し出して、金利を稼いだりしていますよ、というだけのことだと思います。

4の「トータルコスト: 流動性、買値/売値のスプレッド、NAVに対するプレミアム/ディスカウント」について。
これは重要です。
まずは、信託報酬と売買手数料をチェックしましょう。一般的には、ともに低いほど良いです。
また、流動性が低いと、思ったような価格で売買しづらくなります。

それに加えて、NAV(純資産価値)と市場価格の乖離も重要です。
私が、国内市場のETFの「NAVと市場価格の乖離率」を継続的にウォッチ(該当記事)しているのも、国内市場では主要銘柄でもこれが大きくブレる銘柄がまだ多いからです。
できるだけ出来高が多く、NAVと市場価格の乖離が少ないETFを選ぶ方が良いです。

高コストなものを割高に買ってしまうと、トータルコストは多大なものになってしまいますので、要チェックです。

(一部の運用会社さんが、ETFは取引所での売買以外にも場外で売買があり、取引所の出来高だけで判断されては困るという旨の主張をされていますが、私たち個人投資家は見える部分でしか判断できないので、やはりこういう説明にならざるを得ません)

5の「トラッキングエラー: ファンドのNAVと指数のトータルリターンは何を意味するか」について。

これも重要かつ、誤解しているかたが多いところです。
本来、ETFがきちんと運用されているかどうかは、NAVと指数の連動性≒トラッキングエラーで測られるものです(投資信託も同様)。
言うまでもなく、NAVと指数の連動性は高いETFの方が良いです。

この「NAVと指数の乖離(トラッキングエラー)」と上記5の「NAVと市場価格の乖離」を混同しているかたが散見されます。
私たち投資家から見たら、両方とも指数からの乖離なので、両方ともトラッキングエラーと思ってしまいがちですが、運用会社にとってはNAVと指数の乖離こそがトラッキングエラーです。
なので、例えば「1680や1681のトラッキングエラーを小さくしてください」と日興アセットさんに要望しても、「トラッキングエラーはほとんどありません」と返されてしまうでしょう。

6の「ETFのプロバイダー: どのように評価するか」について。
世の中には100を超えるETFプロバイダーがありますので、ちゃんとしたところの商品を買いましょうね、というだけのことです。
特に海外ETFの場合、あまり聞いたことがないようなプロバイダーのETFをコア資産にすることは、避けた方が無難だと思われます。

1~6まで、いろいろ書きましたが、要するに、コア資産では「実績があるシンプル&低コストな定番ETFを選びましょう」ということだと思います。
サテライト資産はお好みでどうぞ。

以上、ステート・ストリートが考えるETF評価方法を、勝手に噛み砕いてみました。
長文失礼しました。

※言わずもがなですが、投資判断は自己責任でお願いします。
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Posted by水瀬ケンイチ