「年金積立 インデックスファンド海外新興国株式」の隠れコストは?STAMやeMAXISと比較すると?

水瀬ケンイチ

昨日の記事、『「年金積立 インデックスファンド海外新興国株式」が信託報酬値下げ!クラス最安値の年率0.5775%へ (追記あり)』で取り上げたとおり、「年金積立 インデックスファンド海外新興国株式」の信託報酬が値下げされて、クラス最安値になりました。

今日は、信託報酬だけでなく、信託報酬以外のいわゆる「隠れコスト」も加味した「実質コスト」を見てみようと思います。
幸い、「年金積立 インデックスファンド海外新興国株式」は既に何期も決算を迎えており、運用報告書が出ていますので、データは揃っています。

日興アセットマネジメント
「年金積立 インデックスファンド海外新興国株式」運用報告書 第4期(2011年11月16日決算)

最新の上記運用報告書の6ページに、費用明細が出ています。

信託報酬 72円
売買委託手数料 5円
有価証券取引税 1円
保管費用等 23円
――――――――――――
合計 101円

つまり、信託報酬が72円、その他費用(隠れコスト)が29円です。
信託報酬72円が当時0.8295%ですから、その他費用(隠れコスト)29円は約0.3341%になります。
合計した概算実質コストは、約1.1636%でした。

今回、信託報酬部分が0.5775%に値下げされたので、その他費用(隠れコスト)約0.3341%と合計すると、概算実質コストは約0.9116%となります。
※あくまで、簡易的に計算した概算値です。

おお、新興国株式クラスなのに、1%を切っているではないですか!
これを、競合ファンドのSTAM・eMAXISの新興国株式インデックスファンドと比較すると……



新興国株式インデックスファンドのコスト比較

上記の表のように、概算実質コストは、年金積立が0.91%、STAMが1.03%、eMAXISが1.15%となりました。
やっぱり、信託報酬だけでなく実質コストも「年金積立」がいちばん低コストでした。

ここで、二つほど注意点。
まず一点目、信託報酬以外のその他費用(隠れコスト)は、毎年変動します。
今回の比較で実質コストがいちばん低コストでも来年は変わっている可能性はありますので、参考値扱いにしておくのがベターです。
二点目に、費用のデータは現時点で入手し得る最新のものを使用しています。
なので、新しい運用報告書が出る直前のeMAXISは、使用データの決算時期が他の2つとほぼ1年(10ヶ月)ズレています。気になるかたは、12年1月決算の運用報告書が公表されたら再計算してみるとよいでしょう。

以上を踏まえ、現時点での結論は、新興国株式クラスのインデックスファンドでもっとも実質コストが低いのは、「年金積立 インデックスファンド海外新興国株式」です。

個人的には、毎月の積み立て用ファンド(新興国株式クラス)の変更を検討したいと思います。
もう一回言っておこうかな。
日興アセットマネジメントさん、グッジョブ!(゚∀゚)b



<詳しいかたのためのちょっと長い追伸>

インデックスファンドのコスト比較をすると、「コストよりトラッキングエラーの方が重要だ」というご意見をいただくことがあります。
たしかに、コストの低さも、最終的にはトラッキングエラーをなくすための一要素でしかありません。

それはそうなのですが、トラッキングエラーは流動的な複数要因の結果です。相場動向や資金の流出入タイミング等といった「運」の要素に多分に影響されてしまいます(運も実力のうちという考え方もあろうかと思いますが)。

ファンド自体の実力の比較という観点から、流動的ではなく固定的な信託報酬(および参考値としての実質コスト)という「コスト」でインデックスファンドの優劣を比較することには、一定の合理性があると私は考えております。
したがって、こうしたコスト比較を行ない、データをブログ記事で公表しております。

なお、誤解のないように申しあげておくと、私はトラッキングエラーの小ささを評価することや、インデックスからの上方乖離を評価することを、否定するつもりはまったくありません。あくまで、私はコストという軸で評価しているというだけです。
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Posted by水瀬ケンイチ