「より馬鹿理論」と金(ゴールド)の性質

水瀬ケンイチ

ウォーレン・バフェット氏が金(ゴールド)ETFの担当者を困らせているようです。

ロイター2012/03/05より引用】
バフェット氏の金投資への見方、金ETFの運用者当惑させる
バフェット氏は2月25日、バークシャーの ウェブサイトに掲載した書簡で「金の買い手にとって最も動機付けになるのは懸念が拡大するとの見方だ」と指摘。「過去10年間、この見方は正いしことが証明されている。さらに、価格上昇が追加的な買い意欲を創出し、上昇が投資理論を立証していると考える買い手を引き付けている。時流に乗る投資家はどんな投資でも行うものだから、自分たちの真実をつくり上げる。しばらくの間は」と述べた。
【引用おわり】

最後の「しばらくの間は」部分が、ピリっと辛い批判になっています。
バフェット氏は遠回しに言っていますが、要するに、金の買い手は「より馬鹿理論」信奉者だと言っているようなものだと私には聞こえました。

より馬鹿理論とは、「ウォール街のランダム・ウォーカー」(バートン・マルキール著)に出てくる、『異常な高値で買っても、それ以上の高値で買ってくれる「より馬鹿な市場参加者」に売りつけることが期待できるのならよい』という考え方です。
言葉は悪いですが、分かりやすい説明だと思います。



私は個人的に金投資をしていません。

それは、金というアセットクラスの性質が、株式や債券などと違い、資本として生産活動に関わっておらず、富を再生産する仕組みを内包していないからです。

株式や債券などは、生産の果実があれば、時間と共にプラスのリターンが期待できます。
それに対して、金の価格変動要素は基本的に需給のみであり、見通しの違いに賭ける者同士のゼロサム・ゲームです。
金にはリスクプレミアムがない、と言い換えることもできると思います。
(最近の研究で、金にもリスクプレミアムがあるらしいという話は聞いたことがありますが、市場参加者のアセットクラスに対するコンセンサスになっているかどうかは…?)

もちろん、需給を読んでアクティブに売買すれば利益を得ることもできると思います。
しかし、私のようにバイ&ホールドで「ほったらかし」にしたい投資家には、向かないアセットクラスだと考えています。
なので、ファンドマネージャーが需給を読んでダイナミックに売買する、低コストなアクティブファンドがあれば面白いかもしれないなとは思います。

誤解のないように繰り返しますが、私は金投資自体を否定しているわけではありません。
株式や債券といった伝統的なアセットクラスと相関が低いという特徴も魅力的ですし、ここ数年の金価格の上昇も、「羨ましいなぁ」と思いながら眺めています。
ただ、私のようなバイ&ホールドの投資スタイルには合わないと考えているだけであることを、ご理解いただけたら幸いです。


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Posted by水瀬ケンイチ