「ネットで投信フォーラム in Tokyo」で見えた「資産倍増プロジェクト」の主張

本日2012年3月18日、両国国技館で「ネットで投信フォーラム in Tokyo」が開催されました。

大前研一氏や東国原英夫氏の講演を含め、内容盛りだくさんのイベントでした。
しかし、個人的に私の興味は、豪華なゲスト陣ではなく、このイベントの主催であるネット証券4社共同「資産倍増プロジェクト」にありました。

2011年3月に「資産倍増プロジェクト」が立ち上がって以来、震災の影響でイベントが延期(今日のイベントです)になり、プロジェクトが目指すところについて公式に語られることがあまりないまま、私たち個人投資家は新規設定される4社専用投資信託や各メンバーの個別インタビュー記事、その他周辺情報などから、プロジェクトメンバーの考えを忖度(そんたく)するしかありませんでした。

しかし、その後何ヶ月たっても、いまだプロジェクトの主張がいまいち見えていませんでした。
今回、イベントの中でネット証券4社の社長や代表が一同に会し、意見を述べる機会があるというので、それを楽しみにしていたわけです。

イベントの様子はUstreamで生中継され、後日オンデマンド配信されるということなので、内容自体はそちらで見ていただくとして、ここではイベントを通じて見えた「資産倍増プロジェクト」の主張について、私が感じたことを書いておこうと思います。


(1)「資産倍増プロジェクト」は資産形成層(若年層)に向けたものではなかった

「所得水準が伸び悩む現在、お客様の資産形成を全力で支援していくことが証券会社の果たすべき役割」とのプロジェクト宣言とは裏腹に、プロジェクトの対象者は、資産形成層(若年層)に向けたものではないようです。
イベントの講演内容、来場者の客層、各運用会社ブースのPR内容(全てのブースを一緒くたにしないでほしい旨のご指摘を受け、確かに資産形成層向けの所もあったので削除)等を見ても、実際の対象者は良くも悪くも「全世代」のようです。すると、ボリュームゾーンはどうしても高齢者となるのが自然です。

(2)ネット証券で投資信託を買うべきというメッセージは4社共通

販売手数料を抑えるというコスト面でも、悪質なセールスを避けるという体制面でも、投資信託を対面の大手証券で買うのは得策ではなく、これからはネット証券で買う方が合理的ですよ、というメッセージは4社とも共通でした。
そしてそのメッセージは、個人投資家だけでなく、ブースを構えている運用各社にも向けられていると感じました。

(3)しかし、どんな投資信託を買うべきかは4社で意見がバラバラ

対象者を資産形成層(若年層)に限らないことによる当然の帰結として、おすすめする投資信託はバラバラになります。
資産形成のため低コストなインデックスファンドを積み立てで、という意見もあれば、毎月の生活費を補填するため毎月分配型ファンドを買うのもよし、通貨選択型の何が悪い、という意見も出てきます。この点では、プロジェクトの中でも収拾がついていません。

(4)結局、「情報と商品はいろいろ揃えるから自分で考えて買ってね(ネットで)」というのが主張?

収拾がついていないプロジェクトの主張を、強いてまとめると、「情報と商品はいろいろ揃えるから自分で考えて買ってね(ネットで)」ということのように思えました。

真っ当なことを言っていると思います。
ただ、対象者を絞らなかったがゆえの玉虫色の主張です。
これが、ネット証券大手4社が集まらないとできないことだったのかどうかというと、正直疑問符がつかないでもありません。

これまで大手証券の販売体制が作り上げた毎月分配・通貨選択型投信による「分配金競争」は、投信市場としては世界的に見てもいびつで、もはや当局の規制寸前のところまで来て行き詰っています。
プロジェクトは、そんなものを容認してまで大手証券と同じ土壌に乗っていく必要はあるのでしょうか。

いつまでも、既存の投信市場60兆円の中でパイを喰い合っていては未来はありません。
高齢者が多くを占める個人資産1400兆円は、いずれ相続で今の若年層に受け継がれていきます。
そのダイナミックな動きを捉えていくような方向性があってもいい。せっかくネット証券大手4社が集まるのですから。

幸い、プロジェクトは終わったわけではないですし、ここ最近の市場環境の好転により、投資信託にとっては追い風になりつつあります。
個人的に、プロジェクトへの期待がなくなったわけではないので、以前、資産倍増プロジェクトのインタビューで提言したことを、あらためてここに抜粋しておきます。

■投資未経験者に「正しい知識」を広める機会になってほしい

 今後のプロジェクトでは「長期」「分散」「低コスト」の投資に適している投信のよさを、これまで投信を買ったことがない若年層にも広く理解してもらって、投信市場のパイを広げることを目指していくべきだと思っています。

 新規の顧客層を開拓することは簡単ではないでしょうが、株取引で横並びだった手数料に風穴を開けて「低コスト」を武器に投資家の評価を得て圧倒的なシェアを獲得した4社なら、それができると思います。


資産倍増プロジェクト インタビュー(2011年07月29日)
一個人投資家として、「資産倍増プロジェクト」に対して望むこと
より引用

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コメント

参加しなかったので、参考になりました。

「いつまでも、既存の投信市場60兆円の中でパイを喰い合っていては未来はありません。」

全く同感です。いまだ投資を経験したことがない新たな顧客層が思い腰を上げられる。そんな役割を当プロジェクトが果たすないと意味がないですね。

≫参加しなかったので、参考になりました。

3月19日にUstreamのオンデマンド配信があると告知されていますので、ご興味があれば、そちらをご覧いただくとよいかもしれません。
http://net-toushin.jp/list/streaming_0318

若い世代に、しっかりとした資産運用教育を

>>プロジェクトの対象者は、資産形成層(若年層)に向けたものではないようです。

ネット証券各社には、日本のどの世代に対しても、丁寧でシンプルな資産運用教育の機会の場を供給するような動きになってほしいです。特に若い世代に、シンプルな投資信託を使って資産形成教育をするプラットホームになってほしいと思います。

高校の教員をやってますが、保護者からの賛否両論が噴き出すのを覚悟で、自分のクラスのHRで生徒全員に、たとえば「ワンコイン積立」をさせて、生徒が選んだファンドの動きについて短期長期の視点で解説するなんて授業に憧れます。

ただ、生徒のほとんどは同じようなインデックスを選ぶであろうと思うので、あまり変化にとんだ授業にはならないかもしれません(笑)。それと、せっかくのワンコイン積立もたしか未成年口座は開設できなかったと思いますので、そんな授業は夢のまた夢ですね。

立ち上げ当初の期待は

売買手数料を大幅に下げたネット証券に同様の期待を少しだけした
私たちの錯覚があったようで・・・・(苦笑)

要するに投資信託も大手証券並の商品を取り揃えますよ あとは
一風変わったようなのも っていうプロジェクトと捕らえています
(残念ですけどね・・・ってSTAM、eMAXISのような商品は以前を
思えば夢のような商品です これだけで十分です^^

http://www.monex.co.jp/pdf/new2012/press2012_03_19toshin.pdf
こちらに4社共同のアンケート調査結果が出ていますね

最初にプロジェクト名を見たときには、ネット証券は大手証券に比べて円建債券の品揃えが貧弱なので、4社まとまることで事業債・公社債を引っ張ってこれればいいなあと、思ったんですけど…実際には「投信を売りたいプロジェクト」だったので関係なかったですね。
扱っている新発円建債券が、個人向け国債以外にはサムライ債か自前の社債(SBI債、マネックス債)ぐらい、というのは「需要はあるのに売る物が無い」状態に見えたんですけど。

という目線で見ていたので、既に投信1000本以上扱っている処に専用投信が何本か加わってもインパクトが無いだろうな、と思っていました。敢えて設定するなら強いメッセージが無いと…と思いましたが無かったですね。

各社が自社専用の資産形成的バランスファンドを設定したときの方が、意欲と方向性がはっきり見えていたように思います。

関西からこのイベントに行きました。
去年秋の大阪の分も行ったんですけど・・・

私もプロジェクトの方向性は「投信はネットで買って」だけだと思います。
私はそれで良くて、後、何を買うかは個人の自由だと思います。
勿論、ハイリターンを目指す物は当然ハイリスクだと理解しているならですけど。
他の買い物とかだと、みんな性能とか調べるじゃないですか?
個人的に無駄な高いものとか選ばないじゃないですか。
投信でも同じことが言えないのはおかしいと思いますよ。

私自身もインデックス投信と、理解した上で高コストな新興国中古型株F、
ロングショートを平行積立してますから。

≫高校の教員をやってますが、保護者からの賛否両論が噴き出すのを覚悟で、自分のクラスのHRで生徒全員に、たとえば「ワンコイン積立」をさせて、生徒が選んだファンドの動きについて短期長期の視点で解説するなんて授業に憧れます。

お久しぶりです。
私もTKDさんのような先生に習いたかったです。
素晴らしい発想ですが、あまりご無理をなさって学校での立場が危うくならないようにしてくださいね。


≫立ち上げ当初の期待は
≫売買手数料を大幅に下げたネット証券に同様の期待を少しだけした
私たちの錯覚があったようで・・・・(苦笑)

私はまだ諦めていませんよ。
プロジェクトは続くようですので、これからも提言していこうと思っています。


≫各社が自社専用の資産形成的バランスファンドを設定したときの方が、意欲と方向性がはっきり見えていたように思います。

そうかもしれません。
でもせっかく4社共同のプロジェクトなのだから、4社集まらないとできないことに挑戦してほしいと思います。
(証券会社にとって利益相反になる低コストの重要性啓発なんて、その最たるもののような気がします)


≫私もプロジェクトの方向性は「投信はネットで買って」だけだと思います。
≫私はそれで良くて、後、何を買うかは個人の自由だと思います。

なるほど。
それもひとつのご見識だと思います。

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