ズバリ、信託財産留保額はあった方がいいのか?ない方がいいのか?

読者さんから、インデックスファンドの信託財産留保額について、ご質問をお受けしました。

「SMTが信託報酬をCMAMにあわせるとのことですが、信託財産留保には差があります。例えば、日本債券インデックスe では0%ですが、SMT 国内債券インデックス・オープンでは0.05%です。
ファンドを選択するときにはには色んな要素があると思いますが、コスト面からいうと、やはりこれもないほうがいいのですか?」

正直に言って、今まで突っ込んだ話は避けてきた面があるのですが、真っ向から質問されたので、個人的な考えをお答えします。
一般的な回答と、一般的ではない回答をしたいと思います。

まず、一般的な回答から。

信託財産留保額とは、ファンドの追加設定や解約によってファンドに組み入れる有価証券等の購入や売却費用について、投資家間の公平性を図るため、投資家から徴収する金額のことです。
徴収された額は信託財産内に留保され、基準価額等に反映されます。
日本証券業協会WEBサイトより抜粋)

コストとは言っても、信託財産留保額は金融機関側に取られる手数料ではなく、投資家側の信託財産に留保されるお金なので、投資家共有のお金になります。
そして、上記のようにファンドへの毎日の資金流出入(出・入の両方とも)にともなう売買費用等に充てられます。

逆に、信託財産留保額がないファンドは、ファンドへの毎日の資金流出入にともなう売買費用等を、投資家全員で負担しなければなりません。
なので、ファンドを古くから保有している投資家は、後から入ってきたり出て行ったりする投資家の売買費用分を、ずっと負担し続けることになります。

以上のことから、ファンドを長期保有する投資家からすると、信託財産留保額はまああった方がよいだろうと思います。

※なお、ファミリーファンド方式のファンドの場合は、私たちが投資するベビーファンドだけでなく、マザーファンドの信託財産留保額も見た方がよいと思います。


で、ここからは教科書には載っていない、一般的ではない回答も。

インデックスファンドを長期保有する投資家はそれでいいのですが、例えば、インデックスファンドからETF等に「リレー投資」する投資家の場合はどうでしょうか(私が該当)。

ETF等に乗り換えるため、最初からある程度の期間でインデックスファンドを売却することが見えている形になります。
有り体に言えば、「さっと買ってさっと売る」場合です。
その場合は、信託財産留保額がないファンドの方が、その投資家にとって都合がよかったりします。
なぜなら、保有期間が短いので他の保有者の売買費用等をあまり負担することなく、自分の売買費用は他の保有者に転嫁できることになるからです。
他の保有者にとっては迷惑な話なのですが…。

とはいえ、ファンド内の売買は、投資家一人ひとりの売買に対していちいち行われるのではなく、全投資家の資金流出入を合算して行われます。
なので、「さっと買ってさっと売る」投資家の売買が即、他の保有者の迷惑になるわけではないとも言えます。
個人のリレー投資分など、ファンド全体の資金流出入にかき消されてしまうでしょう。

また、最近は、インデックスファンドの信託報酬水準が下がってきており、ETF等へリレー投資をするかたは減ってきているように見受けられます。
今やレアケースになろうかと思いますが、投資手法によっては、信託財産留保額がないファンドの方がよい場合もあるということは、知っておいてもよいかもしれません。

以上、インデックスファンドの信託財産留保額についての個人的な考えでした。

関連記事


  





コメント

勉強になりました。

ずっと疑問に思っていたのですが、あまりこれについて触れている文章を見たことがなかったので真っ向から質問してしまい失礼いたしました。

たかだか数パーセントのことと笑われるかと思いましたが、このような記事にまでしていただき感激しております。

おかげさまで信託財産留保額に対するもやもやが少し晴れました。
特に長期保有を考えている場合には、信託財産留保額をそれほど気にしなくていいのか、むしろ有利であることもあるんですね。

今後のファンド選びの参考にさせていただきます。
ありがとうございました。

ご参考まで

水瀬さんの丁寧なご解説で十分かと思いますが、カンチュンド氏が日経新聞電子版(http://www.nikkei.com/)で毎週連載なさっているコラムでも、3月25日付記事で、ファンドから抜ける側、ファンドに残る側、両方の立場にとってどう捉えるべきものか分かり易く解説なさっていますね。ご参考まで。
日経新聞電子版⇒マネー⇒投信・ETF⇒「投信のコスト、信託財産留保額はうれしい手数料」

私は「ない」派です。

リレー投資のために解約するにしても、自分年金として取り崩すにしても、
その都度一定額を控除されてしまうのは、やはりいただけません。
特に、長期間に渡ってコツコツと投資した場合には、それなりに残高も積み上がってるでしょうから、たとえ0.05%程度の控除率でも、金額に換算すると大きいです。
「投資家間の公平性を保つ」ということでしたら、MMFの様に一定期間においてのみ信託財産留保額を設ければ良いのではないでしょうか?

MMFの話が出たので

MMFが投資している対象はほとんど短期債券なので、毎日のように保有資産の一定量が満期となっています。
そのため解約があってもファンドには対応できる現金は常に手元にある状態です。
MMFは毎日清算が行われ、満期でちょっぴり増えて戻ってきた現金に新規のMMF購入額を足し、解約分を差し引いた残りが新たな短期債券に再投資されます。だからたいていはファンドが保有してる現金だけで十分処理が可能なわけです。
MMFの信託財産留保は頻繁に出し入れされることを防いで事務的コストを抑えることが主な目的ですね。購入手数料もないのだからそれくらいやっても不当とはいえないでしょう。

それに対して普通の投信ではそこまで頻繁な保有資産の入れ替えはありません。
投信購入で入ってきたお金もある程度まとまった額になるまでは留保しておきます。現金のまま塩漬けにするのはもったいないので一時的にMMFを買っておいたりもします。
逆に解約の場合はどうするかというと、請求のあった翌営業日には現金を払わないといけないですがそんな急には保有資産を売却できないため、「借り入れ」を行っています。(短期金融市場で借り入れるので最終的な貸し手はMMFだったりもします)
ということは事務的コストだけでなく金利負担も発生しているわけで、MMFと同じようにするわけにはいきません。

株式でもFXのような為替でも、売値と買値の間にはちょっとばかりスプレッドが生じているのが普通の状態ですよね。
投信の場合も留保額控除はスプレッドみたいなものだと考えた方がいいように思います。
そういう意味ではスプレッドがある方が自然な状態で、留保控除のない投信の方が負担を肩代わりしてもらっているイレギュラーな存在と解釈することもできます。

余談ですが解約時にプラスになっていれば留保で控除される額よりも税金で取られる額の方が大きくなることが多いですよね。
マイナスの場合は留保額を控除した額が基準になるため、留保額分も損失として他の取引で利益があれば損益通算されます。気休めにしかなりませんが。

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

気持ちの問題で「あった方がいい」派

私は基本的に同じファンドを保有している投資家群は、同じ船に乗りあわせている客で、利害や損益を共有している共同体だと思っています。
なので、これ以上乗ったら船が沈没するというくらいファンドの規模が大きくなった場合に新規の客を拒否するのは当然ですし、中途に自己都合で降りていく客が「迷惑料」として何がしか(隠れコスト1年分くらい?)を置いていくのも不自然ではないなぁと考えます。
とすると、売買コストが高くつく新興国関係は信託財産留保額を高くしておく方が合理的だし、ほとんど隠れコストのかかっていないTOPIXや日経225なんかだと設けないか、極低く抑えるべきでなんでしょう、STMやeMAXISでそうなっているように。
実際には、水瀬さんが
>個人のリレー投資分など、ファンド全体の資金流出入
>にかき消されてしまうでしょう。
と述べられているように、一定以上の規模(例えば30億円超)のファンドであれば無視できるくらいの影響だと考えられるのですが、気持ちの問題で私は「あった方がいい」派ですね。

≫たかだか数パーセントのことと笑われるかと思いましたが、このような記事にまでしていただき感激しております。

信託財産留保額については、自分が運用会社や他の投資家に迷惑な行動をしている面があるので、記事で取り扱うのは意識的に避けてきました。
でも、誤解も多いので、この辺で記事にしておこうと思いました。


≫カンチュンド氏が日経新聞電子版(http://www.nikkei.com/)で毎週連載なさっているコラムでも、3月25日付記事で、ファンドから抜ける側、ファンドに残る側、両方の立場にとってどう捉えるべきものか分かり易く解説なさっていますね。

本当だ。かぶってしまいました。
でも、場合によっては信託財産留保額がない方がいいとまでは、立場的に言いにくいでしょうね(^^;


≫私は「ない」派です。
≫リレー投資のために解約するにしても、自分年金として取り崩すにしても、その都度一定額を控除されてしまうのは、やはりいただけません。

そうお考えなら、信託財産留保額ナシがいいんじゃないでしょうか。
ただし、ファンド保有中ずっと、後から入ってくる人や出ていく人の分の売買費用を負担し続けていることは、知っておいた方がいいかもしれません。


≫投信購入で入ってきたお金もある程度まとまった額になるまでは留保しておきます。現金のまま塩漬けにするのはもったいないので一時的にMMFを買っておいたりもします。
逆に解約の場合はどうするかというと、請求のあった翌営業日には現金を払わないといけないですがそんな急には保有資産を売却できないため、「借り入れ」を行っています。(短期金融市場で借り入れるので最終的な貸し手はMMFだったりもします)

アルビレオ師匠は、ファンドの運用についていったいどこまで詳しいのでしょう!?
何でも知っていてスゴすぎます!


≫とすると、売買コストが高くつく新興国関係は信託財産留保額を高くしておく方が合理的だし、ほとんど隠れコストのかかっていないTOPIXや日経225なんかだと設けないか、極低く抑えるべきでなんでしょう、STMやeMAXISでそうなっているように。

仰るとおりだと思います。
ファンドの隠れコストのうち、「有価証券の売買にかかる手数料」がまさに当てはまるのでしょうね。
http://randomwalker.blog19.fc2.com/blog-entry-1360.html

ちょっと反省してます

上の私のコメントは推測も多く含んでるのに断定的に書いちゃったなと思ってます。

ネタ元は何年も前に読んだプロの方(元プロだったかも)が書かれていたもので、短期金融市場がどのように利用されてるのか説明した読み物で、それは投信の運用の話じゃなかったんですが「投信でもこんな感じで利用してるんだろうな」とあてはめたものです。

投信でも短期金融取引を利用することについては目論見書などにも書かれています。
でもどのような時に利用するかといった具体的なことまでは書かれていないので、先に書いた読み物の話を元に「解約などで手持ちの現金が不足したときは借り入れてるだろう」という推測で書きました。
そんなわけで間違っている可能性もありますが、さわかみ投信のように低額の解約なら留保額を取らないところもあるので、大口の解約には現金調達のために余分なコストがかかるという点はそう外していないと思います。

もっとも今は超低金利なので借り入れによる金利負担なんて信託財産留保額よりもはるかに低いのは間違いないですが、留保額はそう頻繁に変更できないので金利動向に合わせて変動させるのは無理だし、金利以外のコストもあるだろうから今の数字なんでしょうね。

コメントの投稿

※現在、コメント欄の運用は停止しております。書き込まれても反映されませんのであらかじめご了承ください。

非公開コメント

トラックバック

(2012年4月)SMT グローバル債券インデックス売却中!

ファミリーファンド方式で運用。主要投資対象は、日本を除く世界の主要国の公社債。シティグループ世界国債インデックス(除く日本、円ベース)をベンチマークとし、その動きに連動する投資成果を目標として運用を...

広告

ブログ内検索

ファンドで選ぶ証券会社

楽天証券
・主要インデックスファンド購入可(たわらノーロード、三井住友DC専用、ニッセイ、インデックスe、SMT、eMAXIS、Funds-i等)
・投信積み立てもスポット購入も月100円から
・海外ETF購入可(Vanguard、iShares等)
・海外ETFの特定口座対応&外貨での入出金可
今なら、各種取引で最大130,000円分獲得キャンペーン実施中(2017/08/31まで)

SBI証券
・主要インデックスファンド購入可(たわらノーロード、三井住友DC専用、ニッセイ、インデックスe、SMT、eMAXIS、Funds-i、EXE-i等)
・投信積み立てもスポット購入も月100円から
・海外ETF購入可(Vanguard、iShares等)
・海外ETFの特定口座対応&外貨での入出金可
今なら、総合口座開設&各種お取引で最大100,000円プレゼントキャンペーン実施中!(2017/08/31まで)

マネックス証券
・主要インデックスファンド購入可(たわらノーロード、三井住友DC専用、ニッセイ、SMT、eMAXIS、Funds-i等)
・投信積み立てもスポット購入も月1,000円から
・海外ETF購入可(Vanguard、iShares等)
・海外ETFの手数料ネット証券最安、特定口座対応
・米国ETF手数料実質無料サービス「ゼロETF」あり

カブドットコム証券
・一部インデックスファンド購入可(SMT、eMAXIS、Funds-iなど)
・投信積み立ては月500円から
・海外ETFの取り扱いはないが、所定の国内ETFが売買手数料無料の「フリーETF」サービスあり

セゾン投信
・これ1本でVanguardの超低コストインデックスファンド8本に国際分散投資できる「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」が購入可
・投信積み立ては月5,000円から

人気記事ランキング

ブログパーツ

逆アクセスランキング

アクセスランキング

過去記事(月別)

厳選ブログリンク集

RSSフィード

カウンター(2006.1.27設置)