「長期投資でリスクは縮小するか」論争はもうやめよう

私が長年モヤモヤしていたことのひとつに、「長期投資でリスクは縮小するか」論争があります。

このブログのベースになっている、インデックス投資の名著「ウォール街のランダム・ウォーカー」のなかで筆者のバートン・マルキール氏は、「長期投資でリスクは縮小する」と主張しています。

一方、「ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド」でも共著させていただいた山崎元氏は、「長期投資でリスクは拡大する」(更には、マルキール氏の主張は間違っている)と主張しています。

私は投資に関する基礎知識について、マルキール氏、山崎氏ともに、かなりの信頼を置いております。
その二人が、「長期投資でリスクは縮小するか」論争では、真っ向から異なる主張をしているのです。
それも、二人の主張をそれぞれの著書で読んでいると、どちらも正しいように見えました。根拠となるデータにも嘘があるようには見えませんでした。
なので、これには数年間、混乱しました。

しかし、他の著者の主張も含め、情報をきっちり整理していったところ、ようやく結論が分かりました。
「長期投資でリスクは縮小するか」論争の、驚くべき結論は、こうです。

「長期投資でリスクは縮小する」も正しいし、「長期投資でリスクは拡大する」も正しい。

(゚Д゚)ハァ?
という声が聞こえてきそうです。
無理もない。一見、矛盾していますから。
ではなぜ、正しいのに矛盾しているように見えるのか?

これを文章でうまく説明しようと、ここ2~3年、四苦八苦していたのですが、ごちゃごちゃ文章で書くよりも、まずはもこのグラフを見てもらうのがいいと思います。

「長期投資でリスクは縮小するか」論争のリスクの定義の違い
(「資産運用実践講座I 投資理論と運用計画編(山崎元著)」の図表に水瀬ケンイチ加筆・クリックで拡大)

上の図も下の図も、数十年に渡る日本株式の収益(リターン)を表すグラフです。

上の図(マルキール氏の主張)ではリスクが時間とともに縮小していくように見えますし、下の図(山崎元氏の主張)ではリスクが拡大しているように見えます。
しかし、どちらも同じ事象を表しているのです。
(正確には、期間が上は44年間、下は30年間と多少違うので、上の図は30年までを見ればよいです。傾向は変わりません)

この「リスク」という言葉がくせ者です。
上の図(マルキール氏の主張)ではリスクの定義が「収益率(年率)の変化する範囲」です。
下の図(山崎元氏の主張)ではリスクの定義が「運用資産額の変化する範囲」です。
どちらリスクの定義も、その意味で使われることはあり、間違ってはいません。

資産運用においては、リスクと言ったら、「収益率の変化の範囲」を年率の標準偏差で表すことが多いです。
例えば、「日本株式のリスクは15%で、日本債券のリスクは5%だ」なんて言い方をよくしますよね。
その意味では、上の図は時間とともにグラフの網掛け部分の幅が縮小しており、「長期投資でリスクは縮小する」は正しいと言えます。

一方、資産運用において、リスクを「運用資産額の変化する範囲」という意味で使うシーンは、個人的にはあまりお目にかかったことがありませんが、年率ではなく、○年後の標準偏差で表すことはあると思います。
例えば、「このポートフォリオの30年後の期待リターンは○%で、リスクは○%だ」という言い方はすると思います。その金額バージョンと思えばアリだと思います。
その意味では、下の図は時間とともにグラフの上ひげから下ひげまでの幅は拡大しており、「長期投資でリスクは拡大する」も正しいと言えます。

つまり!
「長期投資でリスクは縮小するか」論争は、無意味なのです。
リスクの前提条件が違うのですから。

最後に、私たち個人投資家は、この話をどう捉えればよいのでしょうか。

「長期投資するなら、率で見ると運用は安定してくる。ただ、金額で見ると振れ幅は大きくなるので、投資額には注意しなくちゃな」

これだけのことです。スッキリ!(・∀・)
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コメント

私の考えですが

私を含めた多くのど素人投資家は「最終的な金額のブレ幅の大きさ」を理解しておけばいいようにも思います。

30年以上のような長期投資の場合、年率にしてしまうと差が分かりにくくなってしまい理解しにくいように思います。

もう一つの解釈

 これは「出口戦略」とも関係することですが、一定の金額を、まとめてある時期に投資し、まとめてある時期に回収するという非現実的な暗黙の前提が事態をややこしくしているように思われます。
 しかし、遺産や退職金は別として、給与所得者や自営業者等の現役世代の場合、毎月または毎年の収入のうち、いくらかを投資に回し続けるというのがもっとも現実的なあり方ではないでしょうか。
 仮に月5万円×12か月×40年=2400万円を一気に投資するとすれば、1980年に投資するか、1990年に投資するか、2000年に投資するかでは、40年後の運用資産額はかなりのブレが予想されます(=リスク大)。
 しかし、毎月5万円のインデックス投資を40年間続けるとすれば、1980年に投資を開始しようが、1990年に投資を開始しようが、2000年に投資を開始しようが、40年後の運用資産額にあまり違いはないのではないでしょうか。一方、インデックス投資を1年間しかしないのであれば、1年後の運用資産額は、何年何月に投資を開始するかによってかなりのブレが予想されます。
 このように考えれば、率でも金額でも、長期投資でリスクが縮小すると言えるのではないでしょうか。

とても、おもしろい記事ですね!

今回の記事と少し趣旨がズレますが・・投資の販売においては、「前提条件の違い」を利用して、商品を良く見せる(悪く見せる)という事が横行しているような気がします。
商品の良し悪しを判断する共通の物指しがありません。
(販売側で、都合良い物指しを準備する・・苦笑)
水瀬さんの記事は、公正な物指しが提示されるのでいつも感心します。



率と金額の違い

解説ありがとうございます。
以前梅屋敷インデックス飲み会でお話しされていたことですね。図表があるとやはりわかりやすいです。

長期投資終盤は金額のブレが大きいので、安全資産や債券クラスを増やすことは理にかなっていると感じます。

ランダムウォークの基本性質

ランダムウォークによるばらつきの大きさ(標準偏差)は時間の0.5乗に比例するから、単位時間あたりのばらつきは時間の0.5乗に反比例する、ということですね。

「長期投資でリスクは縮小する」=平均でみると収益率が安定する
「長期投資でリスクは拡大する」=でも運が悪いと短期よりさらに大損することもある

だと私は思いますが。

こんにちは

「長期投資でリスクは縮小する」を前提にポートフォーリオを組んで、最終的なゴールに向けて「長期投資でリスクは拡大する」に注意を払うのが実践的なのかなと思います。

直接的ではないのですが、私のブログで引用させていただきました。
御迷惑であれば言って下さいね。
 

「長期投資するなら、許容年リスク(率)だけでなくそれとは別に許容年リスク(円)を考慮したポートフォリオ設計があってしかるべきであり、実は多くの人が暗黙でやっているものである」といったところでしょうか。

ポートフォリオを設計するときに、許容年リスク(%)とは別に許容年リスク(円)を設定しておき、積立開始時は、許容年リスク(%)に準じた株式比率でポートフォリオ運用しておき、積立金額が多くなってきたら許容年リスク(円)を超えないように積立時の安全資産比率を上げていくというポートフォリオ運用が考えられるわけですね。

例:年齢=債券比率で運用している人。年齢とともに債券比率を上げいきたいと考えている人。若いから今は株式比率が高くて大丈夫だという人。というように良く聞く言葉であり暗黙でやっている場合が多い。

 面白く読ませていただきました。
当たり前のこととも言えるのに目からウロコが落ちるような気がしました。
 ただ、始めたばかりで運用額の少ない私にはまだ影響の無い話ですが。

スタンスの違い

今回の記事の様に、同じデータに対して、異なる視点から分析を行い、その結果、異なる主張が導かれるというのは興味深いと思います。

→素材(データ)をどう調理(分析)するかは調理人(分析者)の腕(着目点)次第といった所でしょうか。

 一見、データというと無機質な事実の塊の様に思われがちですが、実際はそこから何らかの意図を汲み取る過程において、分析者の主義、主張が色濃く反映されてしまう。

→事実は1つ。真実は(各人ごとに)様々。


さて、マルキール氏と山崎氏の主張の違いは、投資の啓蒙活動に対するスタンスの違いが表れている様に感じられます。

マルキール氏の場合は、これから投資を始めるようか悩んでいる人に対して、「投資はあなたが思っているほど危険ではないですよ」と背中を後押ししている印象があります。

一方、山崎氏は、既に投資を始めている人に対して、「あなたが考えているほど投資は安全では無いですよ」と、注意を喚起している印象があります。

 個人的にありがたいと思うのは、どちらか一方の意見だけでなく、両方の意見が聞けることだと思います。異なる意見が併記される事で、片方がもう片方の意見に対する反論・反証となり自然とチェック機能が働き、一方のみの意見を盲信する事を防止している様な気がします。(意見の多様性が互いを相殺?)

→二人の主張を合わせると「ビビりすぎるな、しかし過信は禁物」という事なのでしょう。何やら仕事やスポーツなどにも通用しそうに思えます。

追加(積立)投資から生じる長期投資の特性

レイさんが「もう一つの解釈」として記載されている事と若干似ていますが、私も異なる解釈をしています。

単純に一括投資だけで長期間保存する場合は、“リスクは減る”と思います。例えば、日経平均インデックスに日経平均15,000円や20,000円の時に一括で100万円のみ投資された方は、今大きく目減りしており、すぐに取り戻す事は難しいかもしれませんが、何十年かすれば当初想定していたリスク範囲に(日本株の期待リターンが本当にプラス方向であるとすれば)十分回復する可能性があると思います。
 つまり、短期的なブレ(高騰or暴落)はあっても長~い目で見れば、期待リターンの方向に収まってて行くという主張は理解できます。

ところが、実際に長期投資をする場合は、追加(積立)投資で資産自体が変動するなど、長期投資ならではの特性を有する事が多く、この事によりリスクを別の面で捕える必要性があります。

特性1)資産増加:追加(積立)投資や運用成果で資産自体が膨らむ事。
 →資産が増えれば、同じ率のブレでも損失(pr利益)額は増えるのは当然で、投資家にとっては「いくら儲かったか(損したか)」が重要な以上、「リスクは増大する」と言えます。

特性2)追加投資によって、リスク範囲が増える(或いは“ずれる”)。
 →当初、日経平均15,000円で投資した人は、投資するに当たってその時点でのみリスクを想定していた(12,000程度~18,000強程度)でしょうが、その後追加投資する際に、日経平均が10,000円であれば、その分の投資は日経平均8,000円程度も視野に入れたものにならざるえません。
つまり、長期投資の場合、リスクの幅も時間と共に変化します。
(この点、リスクが“増える”のか“ずれる”のかは私には解りません。)
どちらにしろ、追加投資時に市場環境が変化している以上、自分の資産全体のリスク許容量(or範囲)も常に変化していく事により、「リスクは増大する」と言えると思います。

よって、積立投資を行っている私自身は「リスクは増大する」と思って投資を続けていこうと思います。

このような事例では?

どちらも感覚的にはよく分ります。
もう決着がつきましたね。
1年間で年率+70%~-20%になるのならば、1.7/0.8=2.125倍
30年後に年率+25%~+15%になるのならば、1.25^30/1.15^30=12.20倍になります。
マルキール氏の言っているリスクは1年間では90%にも達しているのに対して山崎氏の言っているリスクは2.125倍
マルキール氏の言っているリスクは30年間では10%と縮小しているのに対して山崎氏の言っているリスクは12.20倍と拡大しています。
だから、マルキール氏の言っている事と山崎氏の言っている事は共に正しいです。
ともにリスクをどのように定義しているかだけの違いです。

≫私を含めた多くのど素人投資家は「最終的な金額のブレ幅の大きさ」を理解しておけばいいようにも思います。

昨夜のTwitterでつらおさんとは議論済みですが、一応こっちにも貼っておきます。

個人的には、資産運用においてリスクと言ったら、ふつう「年率の収益率の標準偏差」だろと思うのですが、仮に「運用資産額の変化する範囲」とすると投資判断が安全サイドに倒れるので、投資家の立場で考えたら良心的かも、とは思います。
https://twitter.com/#!/minasek/status/188659643554344960


≫これは「出口戦略」とも関係することですが、一定の金額を、まとめてある時期に投資し、まとめてある時期に回収するという非現実的な暗黙の前提が事態をややこしくしているように思われます。

「長期投資でリスクは縮小するか」論争において、積立投資の話を持ち出すと、かえってややこしくなります。
一括投資と積立投資では、たとえ同じ期間投資したとしても、取っているリスク量が全然違うので同列に論じることはできないと思います。
また、積立投資なら投資開始時期の違いがあまり影響しないとのことですが、投資終了時期間近になるとフルインベストメントに近くなり、結局、相場動向の影響を大きく受けます。
最終的な結論には賛成です。


≫今回の記事と少し趣旨がズレますが・・投資の販売においては、「前提条件の違い」を利用して、商品を良く見せる(悪く見せる)という事が横行しているような気がします。

同感です。
嘘をつかずに商品販売に誘導することができるので、ひとつに複数の意味がある用語には要注意だと思います。


≫以前梅屋敷インデックス飲み会でお話しされていたことですね。図表があるとやはりわかりやすいです。

あの時も、店のテーブルナプキンに、手書きで汚い図を書いてお話ししたような気がします。
このネタは、文章だけだと無用な混乱を招くと思ったので、表現方法をずっと模索していました。


≫ランダムウォークの基本性質

そういう言い方もできるのですか。
勉強になります。


≫「長期投資でリスクは縮小する」=平均でみると収益率が安定する
≫「長期投資でリスクは拡大する」=でも運が悪いと短期よりさらに大損することもある
≫だと私は思いますが。

ブログ記事とまったく同じことを仰っています。


≫直接的ではないのですが、私のブログで引用させていただきました。
御迷惑であれば言って下さいね。

迷惑だなんて滅相もありません。
そちらのブログにもコメントさせていただきました。


≫「長期投資するなら、許容年リスク(率)だけでなくそれとは別に許容年リスク(円)を考慮したポートフォリオ設計があってしかるべきであり、実は多くの人が暗黙でやっているものである」といったところでしょうか。

そうなのかもしれませんね。
個人的には、投資額が大きくなった今でもリスク許容度は率で把握していますが、世の中的には金額で把握した方が分かりやすいし安全サイドに判断が倒れるので良いという意見が多いようです。

私もだんだん債券比率を上げていこうと思っていますが、意識しないうちに、金額でのリスク許容度把握に移行しつつあるのかもしれませんね。


≫当たり前のこととも言えるのに目からウロコが落ちるような気がしました。

結論は言われてみれば当たり前のことですよね。


≫個人的にありがたいと思うのは、どちらか一方の意見だけでなく、両方の意見が聞けることだと思います。異なる意見が併記される事で、片方がもう片方の意見に対する反論・反証となり自然とチェック機能が働き、一方のみの意見を盲信する事を防止している様な気がします。(意見の多様性が互いを相殺?)

今回の二つの異なる主張は、両方とも信頼している筋の情報だったのでけっこう混乱しました。
過去のブログ記事へのコメントやTwitterで何度か、「リスクという言葉の定義の違い!」と説明したのですが、分かる人には分かっていただけましたが、ピンとこない人も多かったです。
今回はうまく二面から捉えた図表を見つけられたのでよかったです。


≫追加(積立)投資から生じる長期投資の特性

上記2番目のコメントでも書かせていただいたとおり、一括投資と積立投資では、たとえ同じ期間投資したとしても、取っているリスク量が全然違うので同列に論じることはできないと思います。

なお、積立投資のリスクについては、星野泰平氏の著書が詳しいですよ。


≫だから、マルキール氏の言っている事と山崎氏の言っている事は共に正しいです。
≫ともにリスクをどのように定義しているかだけの違いです。

御意です。

論理的には、リスク見直しの有無に違いがあるのでは?

あくまで論理的な違いで言えば、山崎さんの図は1年毎にリスクを見直しているのに対して、マルキールさんは当初のリスク範囲のまま変えていません。
仮にリスク10%(期待リターン0)のアセットに指数100時点で投資したとして、1年後には(1標準偏差で)90~110になる可能性がありますが、ここでリスクを再評価すると、90の場合なら81~99、110なら99~121といった様に、年々リスクは広がります。
山崎さんは、この様な考え方だと思うのですが、そうでなければリスクが広がる理由がわかりません。

一方、マルキール氏はリスク範囲を時間の経過で変えていません。当初設定したリスク範囲(と期待リターン)に収まるかどうかのみを検証した図だと思います。

エルモさんの言う様に、一括投資だけを前提とした長期投資であれば、マルキールさんの考え方の方が、モダンポートフォリオ理論を正確に現わしていると思います。

ただ、現実的には資産金額が増えていくので、山崎さんの様に考えた方が良さそうです。

出口戦略再び

>また、積立投資なら投資開始時期の違いがあまり影響しないとのことですが、投資終了時期間近になるとフルインベストメントに近くなり、結局、相場動向の影響を大きく受けます。

論点を拡散させるようで恐縮ですが、「投資終了時期」についても、例えば定年後の一時期に一挙に現金化するというのも非現実的に思われます。
 数十年間にわたって少しずつ取り崩していくと考えれば、結局相場動向の影響は均されていくのではないでしょうか。
 直近の具体例では、リタイア時とリーマンショックが重なったとしても、そこで慌てて全額売却したりせず、生活に必要な分だけ取り崩し続けていれば、今頃は回復していたということです。
 積立投資も取り崩しも両方ともドルコスト法ということですね。

大変参考になりました

なるほど!
そういうことだったんですね。
腹にストンと入りました。
また、皆さんのコメントも勉強になりました。
m(_ _)m

私個人としては、
リスクの捉え方として、
山崎さんの解釈の方が腑に落ち易いのですが、
それは既にリタイアしていて、
しかもフルインベストの状態だという、
私の個人的な状況のせいでしょうね。(^^)

やはり理論的に異なるのでは?

>一括投資と積立投資では、たとえ同じ期間投資したとしても、取っているリスク量が全然違うので同列に論じることはできないと思います。

 →水瀬さんのおっしゃる通りですね。
では、一括投資だけを前提に考えてみますが、それでも両者の考えには違いがあると思います。

まず、リスク評価の期間が異なります。
マルキール氏は、20~30年後のリスクやリターンを“今”推測できると言っているように思えます。
あるアセットのリスクが10%として、「1~2年といった短期間ではずれても、20~30年後にはこの10%の範囲に収まる可能性を標準偏差という形で試算」しています。

一方、山崎氏は、「所詮1年後のブレを推測できるだけで、都度見直しが必要」と言っていませんか?
=よって、年を経るに従ってリスクが拡大するのは当然です。

つまり、そもそもリスクの評価期間が決定的に違うのです。

どちらが理論的に正しいのですか?
(ちなみに、水瀬さんも本ブログの「金融のプロに騙されない等身大の資産作り」シリーズの第3回で・・・
>例えば、「リスク(標準偏差)10%」という投資商品は、“1年後に”、平均値から±10%以内に68.27%の確率で収まり(1標準偏差)・・・
・・・と書かれていますが、この「1年後」とはコンセンサスの得られた評価基準でしょうか?)


さらに私は、「都度見直し」という概念を、偏差値を使った確率論に用いる事自体に違和感を感じます。(確率論を自ら否定していません?)

実務的にも時間の経過に従い、都度見直して行くのであれば、偏差値を出してまで確率を求める事自体“無駄(或いはほんの目安にすぎない)”な気がします。
=少なくとも長期投資家にとって、1年先のリスクだけしか見通せず「後はその時に見直してね!」というのであれば、投資本であれほど評論家諸子が訴求される程の意味合いは感じられません。

私は、投資歴半年あまりのペーペーで、リスクの考え方には疑問を持ってきました。(“何時”リスクを評価すればいいかetc.)
少なくとも、「こう考えるのが実用的・・・」も悪くありませんが、正しい考え方は知っておきたいと思っています。
ご助言頂ければ幸いです。

もうちょっとお付き合いを!

タカちゃんさん
>もう決着がつきましたね。
水瀬さん
>御意です。

いやいや、そこで決着付けられると困ります。
長期投資を始めようとする者にとって、
1)30年後に+25%~+15%の範囲に収まると思って始めるのか、
2)1年後には、+25%~+15%の範囲に収まる確率が高いが、30年後は+70%~-20%になる可能性があると思って投資するのかは、それこそ天と地ほどの違いがありますよ。

それを、「一緒でしょ?」と言われても・・・
どちらが、正しいにしろ、やはり違いがある以上、水瀬さんがどう考えているかは知りたいです。

興味深いテーマですね。
実際に計算してみるのが一番良いのではないでしょうか?

私達の資産運用の場合、最も大きな影響を受けるのは日経平均株価だと思いますので、1991年1月~2011年12月の、月平均収益率と標準偏差を、期間1年のケース、5年のケース、10年のケースで計算してみました。

【日経平均株価1991.1~2011.12の月次収益率、標準偏差】
  ※収益率は、各月終値ベース

収益率平均値
   1年 5.75%
   5年 6.14%
  10年 6.12%

標準偏差 最小値 最大値
   1年 2.07% ~11.89%
   5年 4.09% ~ 8.05%
  10年 5.19% ~ 7.05%

これを見ると、平均収益率は3タイプともに6%前後、標準偏差は、
1年が最も振れが大きく、10年が最も振れが小さい、すなわち、
「期間を長期に取った方が、ほぼ同じ収益率なのに振れが小さい」
  = 長期投資の方がリスクが低い

これが、日経平均株価の場合の実績となります。

コイン投げシミュレーション

 水瀬さん みなさま こんにちは この1年間、勉強させていただいています。
以下、とても長いので、長すぎれば、却下していただいてかまいません(すみません)

 この問題については、山崎氏、マルキール氏の本を読んで、なかなかすっきり納得できなかったのですが、水瀬さんの解説を読んで、腑に落ちました。ナットクです。こういうことを、誰にも分かりやすく、誤解のないよう、ブログで説明するのは、かなり難しいと思うのだけれど、とても分かりやすかったです。

 私なりに別の切り口で~コイン投げで考えてみます。

 コインを投げて、表が出たら1万円もらえる、裏が出たら1万円とられるとしますね。テラ銭はなしです。賭場にいる間、何度でもコインを投げることができる。ただし、コインを投げるたびに1万円のやりとりをするのではなく、ノートにつけておいて、最後に賭場を去るときに初めて精算することにします。
 表が出る確率、裏がでる確率は、それぞれきっちり50パーセントとします。勝つ確率も負ける確率も、五分五分ということです。

注:そもそも、期待値五分五分の賭けを誰がやるか、なんてコメントはなしでお願いします。これは、リスクという言葉を理解するための思考実験ですから。それに、賭け事なんて、テラ銭の分、絶対勝つはずがないのにやるんですからね~。

 たとえば、コインを10回投げて、表が4回、裏が6回出たとします。この場合、表が出た率は40パーセント、もうけ(運用資産額に相当)は、マイナス2万円です。

 では、この賭けを何度も何度も繰り返したとするとどうなるか。

 表が出た率(収益率)は、「きっちり50パーセント」にどんどん近づいていきます。収益率で言うと、プラスマイナスゼロ、0パーセントということになるのでしょうか。
 しかし、もうけ(運用資産額)もプラスマイナスゼロに近づいていくかというとそうは行かない。

 手元の統計ソフトで計算してみました。

注:コイン投げの回数だけ乱数を発生させてシミュレーションしたものです。つまり(a)(b)(c)(d)の結果は、それぞれの一度のシミュレーションで計算されたたまたまの結果です。もう一度、乱数を発生させてシミュレーションさせれば、違う結果になります。

(a) 100回コインを投げた場合
 表53回、裏47回となりました。
 表の出た率は53パーセント もうけは53万-46万=7万円。

(b) 1万回コインを投げた場合
 表4992回 裏5008回となりました。 表の出た率 49.92パーセント 16万円の損
 表の率は49.92パーセントと、理論値である50パーセントにずいぶん近づきました。しかし、16万円も負けてしまいました。

(c) 100万回コインを投げた場合 表50万0161回、裏49万9839回 表の出た確率 50.0161パーセント 322万円の勝ち。
 表の出た率は50.0161パーセントと50パーセントにさらに近づいた。しかし、わずかな偏りが322万円の勝ちという結果に。

(d) 1000万回コインを投げた場合 表499万8893回、裏500万1197回 表の出た確率 49.98803パーセント 2394万円の負け。

(d)の場合、つまり1000万回シミュレーションをさらに10回繰り返してみました。

表が出た率  もうけ
1回目 50.01567% 3134万円勝ち
2回目 49.99161% 1678万円負け
3回目 49.98777% 2446万円負け
4回目 49.98897% 2206万円負け
5回目 49.98988% 2024万円負け
6回目 49.99484% 1032万円負け
7回目 50.02706% 5412万円勝ち
8回目 49.99361% 1278万円負け
9回目 50.01274% 2548万円勝ち
10回目 50.01236% 2472万円勝ち

 表が出た確率は、常にほぼ50%です。つまり表が出た率の変化する範囲は50パーセント前後のごくわずかな範囲に収束していく。収益率で言うと、その変化は0パーセントを中心とした、その周囲のごくわずかな範囲になります。
 しかし、もうけは、数千万負けから数千万円勝ちまで、大きくぶれています。「運用資産額の変化する範囲」は1千万円の単位でぶれてしまうということ。

「コインを何度も何度も投げるなら、表がでる率は50パーセントに収束してくる。ただ、金額で見ると振れ幅は大きくなるので、コイン投げには注意しなくちゃな」
「1000万回コインを投げると、表が出る確率も裏が出る確率も半々だけど、数千万円儲けるかもしれないし、数千万円負けるかもしれないよ」となります。

うーん、かえってわかりにくいですか? まさしく、リスクという定義の違いだ!と思って、うれしくなってしまったのですが。

注:もちろん、これは、リスク、の概念を理解するための思考実験であって、株式投資がコイン投げと同じだ、なんて言いたいのではありません。また、株式投資の場合、期待できる収益率はゼロではなく、数パーセントなんですよね。これもコイン投げとは違いますね。あくまで、理解のための、単純化したお話です。

粘着してる教えてクレクレ君たちの質問、ブログ記事の趣旨から大きく逸脱してもはやカンケーないだろ。
記事と直接カンケーない質問しないでって書いてあるのに、そんなささいなお願い事項も守れないのかよ。

だいたい、教えてくださいって立場のくせにやたらとえらそうなのもおかしい。
まるで、自分がわからないのはお前のせいだ、だからお前には教える義務がある!(クワッ)とでもいうような感じ。
ブログ主はこんな奴らに対応する必要ないよ。

それが本音ですか・・・

投資家さんのコメントを載せるって事は、そのコメントにお気持ちが代弁されてるって事ですか・・・
それは残念です。
確かに、blogで全て回答する必要ありません。

ただ論点がズレているとは思いません。
考え方が違うと思ったまでです。

では失礼します。

殺伐としてきたけど勉強になりました

水瀬さんのこのエントリを読んで「なるほどー」とは思いましたが、眠り犬さんのコメントでこのめんどくさい問題の重要なポイントがわかりました。
まずは水瀬さんが書かれたことのうち、肝心な部分を整理してみますね。

山崎氏のグラフの縦軸は「割合」です。
「ポートフォリオの増減額」(円)÷「投資総額」(円)=リターン(単位なし)

マルキール氏のグラフの縦軸は「年率」です。
「ポートフォリオの増減額」(円)÷(「投資総額」(円)×「投資期間」(年)=収益率(1/年)

式が違うのでかっこの中に書いた単位が違い、だから出てくる数字も別物です。
分母に時間の単位が増えることが違いなので、ちょうど「速度」と「加速度」の違いによく似ています。
「どっちの車が速いか」のものさしとして片方は速度を持ち出し、もう一方は加速度を取り上げてるようなもので、それと同じ理屈で「どちらも正しい」わけですね。

金利の世界では年率で表すのが常識です。一ヶ月満期の定期と十年満期の定期を「最終的な利息の割合」だけで比べたら百倍以上違うのでわかりにくいですよね。だから全部年率に換算して比較します。
投資の世界も金利とは密接な関係があるので年率で比較するのが基本です。
「このポートフォリオはどれくらいのパフォーマンスを期待できるか」といった計算には預金金利などとの比較も重要だし、投資期間をそろえた条件で比較しないとわからないですよね。
年率たった0.7%でも、百年かければ元の二倍に増やすことができるんだから。

でも分母に「時間」があるため時間とともに分母が確実に大きくなって、長い期間になるとちょとやそっとじゃ数字は動かなくなります。
つまり年率という単位では時間が長くなるとばらつきが少なくなるのは必然で、そうならない方がものすごく異常なことが起きているといえます。

そういう意味で年率換算は眠り犬さんも気になっている「うまくいかなかったらいくらくらい損するか」を見るのにはあまり向いていません。
この場合重要なのは出したお金に対する最終的に得られるお金の割合なので、山崎氏のグラフで採用している時間の尺度を無視した割合の方が実感しやすいです。

これは「正しい/正しくない」ではなく目的に合ったものさしはどれかという話なので、数字を読む側が「目的」と「目的に合ったものさし」を選ばないといけません。
「速い自動車」を選ぶ時だって「どれくらいスピードが出るか」「目的地に早く着けるのはどれか」みたいにいろんなものさしがあるわけです。

今回の件はどのものさしを使えばいいかってのが、かなーりわかりにくいケースだと思います。
きっちり目的を絞り込まないと一般論として「どっちもあり、読み取る側が使い分けないといけない」としか答えようがないですからね。
さらに「"自分にとって"わかりやすいものさしはどれ?」という主観が絡む場合もあったりするのでややこしいです。(「老後は海外で生活するつもりなのでドルベースじゃないと」みたいに)

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投資効率を語る上で前提とされてがちなこと

「「投資効率」という言葉の魔力」では、「投資効率という言葉は、人をリスクを取る方向に突き動かす魔力を秘めています。」という風にあえて書かせていただきました。 長期投資を志す者の多くは、いくら...

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ファンドで選ぶ証券会社

楽天証券
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SBI証券
・主要インデックスファンド購入可(たわらノーロード、三井住友DC専用、ニッセイ、インデックスe、SMT、eMAXIS、Funds-i、EXE-i等)
・投信積み立てもスポット購入も月100円から
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今なら、総合口座開設&各種お取引で最大100,000円プレゼントキャンペーン実施中!(2017/08/31まで)

マネックス証券
・主要インデックスファンド購入可(たわらノーロード、三井住友DC専用、ニッセイ、SMT、eMAXIS、Funds-i等)
・投信積み立てもスポット購入も月1,000円から
・海外ETF購入可(Vanguard、iShares等)
・海外ETFの手数料ネット証券最安、特定口座対応
・米国ETF手数料実質無料サービス「ゼロETF」あり

カブドットコム証券
・一部インデックスファンド購入可(SMT、eMAXIS、Funds-iなど)
・投信積み立ては月500円から
・海外ETFの取り扱いはないが、所定の国内ETFが売買手数料無料の「フリーETF」サービスあり

セゾン投信
・これ1本でVanguardの超低コストインデックスファンド8本に国際分散投資できる「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」が購入可
・投信積み立ては月5,000円から

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