【投信業界は注目すべし】 竹川美奈子氏の金融審議会での資料がイケてる件
2012年4月7日に行なわれた、金融審議会「投資信託・投資法人法制の見直しに関するワーキング・グループ」の資料が公開されています。
中でも、竹川美奈子氏の資料がかなりイケています。
金融庁 WEBサイト金融審議会
「投資信託・投資法人法制の見直しに関するワーキング・グループ」(第2回)
資料3「投資家目線でみた投資信託の現状と課題」
全29ページの資料ですが、文字が大きいので5分くらいで読めると思います。
詳しくは、上記資料をご覧いただきたいのですが、個人的に印象に残った部分をまとめておきたいと思います。
中でも、竹川美奈子氏の資料がかなりイケています。
金融庁 WEBサイト金融審議会
「投資信託・投資法人法制の見直しに関するワーキング・グループ」(第2回)
資料3「投資家目線でみた投資信託の現状と課題」
全29ページの資料ですが、文字が大きいので5分くらいで読めると思います。
詳しくは、上記資料をご覧いただきたいのですが、個人的に印象に残った部分をまとめておきたいと思います。
・投信の売り手・作り手と投資家の利害不一致
- 投資家:資産を増やしたい
- 金融機関:顧客の資産増減にかかわらず手数料を稼ぎたい
(水瀬コメント:まさにそのとおりで、証券会社は収益の柱として株式売買委託手数料の代わりになる投信の販売手数料を稼ぐことしか頭にないかのごとく、高齢者への高コスト投信販売(さらに回転売買)に注力し、結果、「資産形成層はほぼ無視」になっているのが現状だと思います)
・販売主導による投資家視点の欠如
- 高コスト商品が歓迎される構造
- 既存金融機関系運用会社の直販はほぼ全て失敗
(水瀬コメント:最近のインデックス投資家の皆さんはご存じないかもしれませんが、かつて日興・大和系の運用会社では投信の直販事業を行なっていました。私も大和投信の直販で「ダイワ投信倶楽部」というインデックスファンドを積み立てていましたがあえなく事業廃止&新規購入停止の憂き目に遭いました…)
・次々と新投信を販売し手数料を稼ぐスタイル
- 高い分配金による営業
- 流行りのテーマ、旬のテーマが設定されては消えていく…
→資産残高の少ない投信を量産、投資家は資産形成のコアにならない流行りものばかり保有
(水瀬コメント:日本の投資信託の数は4000本を超え、東証の上場企業銘柄数約2300社よりもはるかに多いです。こんなバカげた話があるでしょうか?この数字だけでも日本の投信業界は、何かが「決定的に」おかしいことを表していると思います)
・ではどうすればよいか(運用会社)
- 情報開示の徹底(運用担当者の経歴・投信保有状況の開示の義務化など)
- 運用報告書などの充実(実質的な手数料を経費率で表示、実質コストも)
- 実績リスク・リターンをわかりやすく表示(最大上昇・下落率表示など)
- 目標とするリターン・リスク水準の開示
(水瀬コメント:運用会社のかたから見れば「そんなことできねーよ」と思われるかもしれませんが、米国では、運用担当者の経歴や投信保有状況の開示例はあるし、運用コストは信託報酬だけでなくいわゆる「隠れコスト」も含めた実質コスト(Total expense ratio)での表示が当たり前になっています。実質コストを投信ブロガーに計算させ続けて数年、そろそろ自分でやってもらえませんか?)
・ではどうすればよいか(販売会社)
- 評価制度の見直し(購入手数料ではなく顧客の残高ベースに応じた報酬へ移行)
- ベストプロダクトの提示(類似商品がある場合、新商品のみの営業禁止)
- コンサルティング機能の強化(顧客にとっての最適ポートフォリオの提案)
- 販売チャネルの多様化(窓販だけでなくネットや独立系アドバイザーをサポート)
(水瀬コメント:この残高ベースの評価制度への見直しがなければ、日本の投信業界は永久に変わらないと思います。今後はネットを使いこなす現実路線の人たちが増えてくるので、販売手数料を徴収するなら、コンサルティングによるポートフォリオの提案やベストプロダクトの提示くらいの付加価値がないと厳しくなるでしょう)
投資家目線の投信の現状と課題について、まっとうな指摘があふれていると思います。
私が常々「なんかおかしくない?」と感じていた点を、ズバっと言ってくれた感じです。
5年後、10年後に、ここに書かれている提言が一つでも二つでも実行されていることを願います。
投信業界の皆さま、ぜひよろしくお願いします。
ただし!
本資料は投信業界の課題についてFOCUSされたものですが、勧められるまま自分が理解していないものを買ってしまう投資家側にも課題があります。
投信業界も投資家も、お互いにしっかりしましょう。
P.S
この金融審議会では、昨年、モーニングスターの朝倉氏が素晴らしい資料を発表されていました。ご興味があれば、あわせてご覧ください。
2011/12/23 【投信業界は注目すべし】 金融審議会のモーニングスター資料が素晴らしすぎる件
- 投資家:資産を増やしたい
- 金融機関:顧客の資産増減にかかわらず手数料を稼ぎたい
(水瀬コメント:まさにそのとおりで、証券会社は収益の柱として株式売買委託手数料の代わりになる投信の販売手数料を稼ぐことしか頭にないかのごとく、高齢者への高コスト投信販売(さらに回転売買)に注力し、結果、「資産形成層はほぼ無視」になっているのが現状だと思います)
・販売主導による投資家視点の欠如
- 高コスト商品が歓迎される構造
- 既存金融機関系運用会社の直販はほぼ全て失敗
(水瀬コメント:最近のインデックス投資家の皆さんはご存じないかもしれませんが、かつて日興・大和系の運用会社では投信の直販事業を行なっていました。私も大和投信の直販で「ダイワ投信倶楽部」というインデックスファンドを積み立てていましたがあえなく事業廃止&新規購入停止の憂き目に遭いました…)
・次々と新投信を販売し手数料を稼ぐスタイル
- 高い分配金による営業
- 流行りのテーマ、旬のテーマが設定されては消えていく…
→資産残高の少ない投信を量産、投資家は資産形成のコアにならない流行りものばかり保有
(水瀬コメント:日本の投資信託の数は4000本を超え、東証の上場企業銘柄数約2300社よりもはるかに多いです。こんなバカげた話があるでしょうか?この数字だけでも日本の投信業界は、何かが「決定的に」おかしいことを表していると思います)
・ではどうすればよいか(運用会社)
- 情報開示の徹底(運用担当者の経歴・投信保有状況の開示の義務化など)
- 運用報告書などの充実(実質的な手数料を経費率で表示、実質コストも)
- 実績リスク・リターンをわかりやすく表示(最大上昇・下落率表示など)
- 目標とするリターン・リスク水準の開示
(水瀬コメント:運用会社のかたから見れば「そんなことできねーよ」と思われるかもしれませんが、米国では、運用担当者の経歴や投信保有状況の開示例はあるし、運用コストは信託報酬だけでなくいわゆる「隠れコスト」も含めた実質コスト(Total expense ratio)での表示が当たり前になっています。実質コストを投信ブロガーに計算させ続けて数年、そろそろ自分でやってもらえませんか?)
・ではどうすればよいか(販売会社)
- 評価制度の見直し(購入手数料ではなく顧客の残高ベースに応じた報酬へ移行)
- ベストプロダクトの提示(類似商品がある場合、新商品のみの営業禁止)
- コンサルティング機能の強化(顧客にとっての最適ポートフォリオの提案)
- 販売チャネルの多様化(窓販だけでなくネットや独立系アドバイザーをサポート)
(水瀬コメント:この残高ベースの評価制度への見直しがなければ、日本の投信業界は永久に変わらないと思います。今後はネットを使いこなす現実路線の人たちが増えてくるので、販売手数料を徴収するなら、コンサルティングによるポートフォリオの提案やベストプロダクトの提示くらいの付加価値がないと厳しくなるでしょう)
投資家目線の投信の現状と課題について、まっとうな指摘があふれていると思います。
私が常々「なんかおかしくない?」と感じていた点を、ズバっと言ってくれた感じです。
5年後、10年後に、ここに書かれている提言が一つでも二つでも実行されていることを願います。
投信業界の皆さま、ぜひよろしくお願いします。
ただし!
本資料は投信業界の課題についてFOCUSされたものですが、勧められるまま自分が理解していないものを買ってしまう投資家側にも課題があります。
投信業界も投資家も、お互いにしっかりしましょう。
P.S
この金融審議会では、昨年、モーニングスターの朝倉氏が素晴らしい資料を発表されていました。ご興味があれば、あわせてご覧ください。
2011/12/23 【投信業界は注目すべし】 金融審議会のモーニングスター資料が素晴らしすぎる件
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