四半世紀繰り返されてきた「インデックス vs アクティブ論争」のテンプレート

水瀬ケンイチ

今日もどこかで「インデックス vs アクティブ論争」が繰り返されています。

「インデックス vs アクティブ論争」とは、インデックス運用が優れているのか、それともアクティブ運用の方が優れているのか、という紳士たちの議論のことです。
もう四半世紀以上繰り返されて、いまだ決着を見ない「神学論争」であり、今でも性懲りもなく繰り返されています。

それは、新聞の解説であったり、学者の論文であったり、シンクタンクのレポートであったり、カリスマファンドマネージャーの本であったり、ぽっと出業者の煽りブログであったり、いろいろな形式がありますが、それらの主張は面白いほどワンパターンであまり目新しさはありません。

当ブログはインデックス投資家が書いているので、インデックス投資を批判するコラムかなんかがツイッターなどで話題になると、頭に血が上ったかたから「こんなこと言われてます!反論してください!」と論争への誘いが寄せられます。

どうせ結論は出ないのが分かっているし、いちいち反論するのも面倒くさいので、ここらへんで「インデックス vs アクティブ論争」のテンプレートを紹介しておきます。

臆病者のための株入門」(橘玲著)に、効率的市場仮説に賛成する経済学者と反対するウォール街の論争が出ており、これに「インデックス vs アクティブ論争」のエッセンスが詰まっています。
少し長いですが、いいテンプレートになっているのでご覧ください。



【臆病者のための株入門(橘玲著)より抜粋】

「効率的市場仮説なんて嘘八百に決まっている。1年で資産を倍にした私の実績が立派な証拠じゃないですか」
「そんなのなんの証明にもならんよ。市場が効率的ということはだれも儲からないということじゃない。君がたまたま大儲けしたとしても、ジャンケンに10回続けて勝つ奴がいるのと同じで、統計的には別に珍しいことじゃないね。ギャンブルの成績は平均へと回帰するから、来年はあまり期待できんだろうが」
「それじゃあ、ラリー・ウィリアムズみたいな常勝トレーダーをどう説明するんですか?市場が効率的なら、“15年間無敗”なんてあり得ないじゃないですか」
「私は有能なトレーダーの存在を否定するほど堅物じゃないよ。それは話が逆で、ラリーみたいな凄腕のトレーダーがいるから市場が効率的になるんだ。どんな市場の歪みも一瞬で消してしまうんだから、彼の通ったあとにはペンペン草も生えんだろ」
「じゃあ、バフェットおじさんはどうなんですか。ペンペン草も生えない市場で、なんで420億ドルもの資産を築けるんですか?」
「そりゃバフェットが投資家じゃなくて、成功した実業家だからだよ。彼の資産の大半は自分が経営する保険会社のものじゃないか。それに、“バフェットが買った”というだけで、みんなが殺到して株価が上がる。それこそ、情報が瞬時に伝わる効率的市場そのものだよ」

それから経済学者は、おもむろに伝家の宝刀を取り出すだろう。

「そんなに言うなら、ファンドのパフォーマンスを比較してみようよ。市場が効率的じゃないんなら、情報面でも資金面でもプロのファンドマネージャーは個人投資家より圧倒的に有利なんだから、市場平均を上回る投資成績を残してるはずじゃないか」

これが出てくると、反効率派はしゅんとしてしまう。これまで何度となく、ファンドのパフォーマンスが測定されてきた。その結果、金融業界の最高の知性を集めたファンドマネージャーが心血を注いで運用するアクティブファンドのうち、6割から7割ちかくが市場平均を上回れないという残酷な事実が繰り返し突きつけられているのである(これはアメリカだけでなく、日本のファンドでも同じだ)。

中略(1929年ウォール街の株価大暴落も25年で回復したことがよく引き合いだされることを例示。一方、日本では…)

「歴史的なバブル崩壊からすでに17年。ということは、あと8年で25年だから、2014年には日経平均は4万円を超えて、バブルの時に株式投資した人もみんな儲かるのか!」
「株価はいつか4万円を超える。それは間違いない。50年後か100年後かは知らないがね」

ええっ!そんな先じゃ、もう死んじゃってるよ。経済学的に正しくったって、そんなのなんの役にも立たないじゃん。こうして“反効率派”が勢いを盛り返す。

「お金は生きてるうちに使うもんでしょ。だったら別のやり方を考えなきゃ。ところで、このヘッジファンドどうです?儲かりますよ」

【抜粋おわり】

いかがでしょう?どこかで見た光景じゃないでしょうか。

上記のやり取りは、米国における、効率派の経済学者と反効率派のウォール街の金融業界という組み合わせですが、インデックス派とアクティブ派と置き換えても、言ってることはそんなに変わりません。
(個人的には、市場はそこまで効率的ではないと考えていますが)

少し違うのは、日本では米国ほど投資信託が普及していないので、アクティブ派が「個別株投資家」であることが多いことです。
「アクティブファンドの6~7割が市場平均に負ける」というくだりで、「投資信託ではそうかもしれないが、個別株投資ならそうはならない」と粘る人が多いように思います。
もっとも、個別株投資家の実績を網羅する統計的データはないのですが。

そういう細かい違いはあるとはいえ、インデックス派は、カリスマ投資家やカリスマファンドマネージャーのことを「ジャンケン大会の優勝者」のひと言で片付け、アクティブ派は、「俺はこんなに儲けた」「あいつはもっと儲けた」と粘るだけという構図は、もうずーーーっと変わりません。
今まで、何度も何度も繰り返されてきて、結局、決着がつかず「人それぞれ好みの問題」という玉虫色の結論に落ち着くというのがならわしです。

今後、上記のテンプレートに当てはまるような「インデックス vs アクティブ論争」がどこかで勃発したとしても、「ああ、またか」と生暖かい目で見守るのが大人のたしなみです。
間違っても眼を血走らせて「反論してください!」と報告してくるのはやめてください。


P.S
上記記事は「インデックス vs アクティブ論争」を面白おかしく茶化したジョークです。本当は持ちつ持たれつですよ、念のため。
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Posted by水瀬ケンイチ