投信自動売却サービスがあれば、毎月分配型ファンドはもう不要

水瀬ケンイチ

今朝の日経新聞朝刊に、ファンドを定期的に売却するサービスが掲載されていました。

【日本経済新聞2012年4月18日朝刊24面より引用】
投信、定期的に自動で売却
手持ちの投資信託を定期的に決まった金額だけ売却するサービスが広がっている。3月にSBI証券が開始。野村証券やSMBC日興証券も手掛けている。年金生活など定期的に現金がほしい人には便利そうだ。
あらかじめ決めた金額分を毎月、1カ月おきなど指定した期間ごとに売却するのが基本。投信の定額積み立て購入の逆のサービスと考えるとわかりやすい。手数料は無料のものが多い。
【引用おわり】

新聞記事の「年金生活など定期的に現金がほしい人には便利そうだ」というコメントは、意図的かどうか分かりませんが、かなり遠まわしな表現です。
世間一般の関心事に則した表現をするならば、

あなたの毎月分配型ファンドはもう不要だ

これでしょう。
私は常々、「毎月分配型ファンドは資産形成層には向かない」と主張してきました。
しかし、それと同時に、(毎月分配型の熱烈なファンに配慮して)高齢者など定期的にファンドを取り崩す目的ならアリかもしれませんとも言ってきました。
しかし、そんな配慮もそろそろ終わりにする時期にきているようです。



例えば、日本でいちばん大きなファンド「グローバル・ソブリン・オープン」には、「毎月決算型」(青線)と「1年決算型」(赤線)があり、両者を比較すると、こうなっています。
グルーバルソブリンの毎月決算型と1年決算型

両者は同じマザーファンドで運用されています。「分配金を出せばその分ファンドの基準価額は下がる」という当たり前の(でもよく理解されていない)事実が明確に現れています。
毎月分配金を受け取っていては、資産形成は難しいということがお分かりいただけると思います。

分配金は再投資すればいいという考え方もありますが、分配時にいちいち課税されてから再投資することになり、「税金の支払いはできるだけ繰り延べた方が有利」という原則から逸脱して非効率です。
(なお、ファンドの買値によっては「特別分配金」になり課税されないこともありますが、それって自分のお金を引き出しているだけなので手間がかかるだけ無駄です)

投信自動売却サービスがあれば、わざわざ高いコストを払って毎月分配型ファンドを選ぶ理由がなくなります。
取り崩し開始の時期と金額を、運用会社ではなく自分で決めることができるからです。

低コストで分配金がなるべく出ないファンドで(複利効果を存分に享受して)資産形成を行ない、いざ自分が取り崩す時期になったら投信自動売却サービスに申し込み、以降は自動で定期的に取り崩すという、効率的な運用が可能になります。

さて、その投信自動売却サービスですが、運用会社の運用ではなく、証券会社等販売会社のサービスになります。
日経新聞に掲載されていたサービスは、以下の4社によるものです。

・SBI証券 投資信託定期売却サービス
・野村證券 定時受取サービス
・SMBC日興証券 定期引出サービス
・ありがとう投信(直販) ライフサポートサービス

各社のサービスの違いを一覧表にまとめてみました。

投信の定期自動売却サービス一覧表
(各社WEBサイトの情報に基づき水瀬ケンイチ作成。クリックで拡大)

SBI証券の投資信託定期売却サービスは、先日のブログ記事「独自の進化をとげる日本の投資信託サービス」でも紹介しましたね。今のところ、対象ファンド数の多さからいちばん利便性が高いでしょう。

本当は、金額指定ではなく口数指定の定期売却の方が、取り崩し方としてはやや好ましい(ドルコスト平均法の逆で、高い時に多く売却し、安い時に少しだけ売却することになり、資産の減少がマイルドになる仕組み)のですが、希望のファンドで運用できないのでは本末転倒なので。

ただ、投資家にとって良いことづくめの投信自動解約サービスですが、困ったこともあります。
それは、証券会社等販売会社にとっては、せっかく手数料を稼げる高コストの毎月分配型ファンドの存在意義を否定し、しかも苦労して積み上げた運用資産額を手放すサービスであることです。
その証拠に、このサービスが積極的にPRされることはありません。ひっそりと奥の方にしまってある状態です。

なので、低コストなインデックスファンドやETFと同様、こういうサービスは、待っていても金融機関は教えてくれません。私たち投資家が少しだけ賢くなって、自分で調べて取りにいかなくてはならないサービスでしょう。

合理的であることは間違いないので、今後、投信自動売却サービスの合理性が世の中に認知されてくれば、他の証券会社も追随するかもしれません。
いや、それは難しいかな~(;´∀`)


<ご参考> SBI証券は以下から口座開設できます(無料)。
SBI証券

関連記事
広告
投資判断は自己責任でお願いします。当ブログの情報により投資判断を誤ったとしても、管理人は責任を負えません。また、当ブログ内容の無断転載を禁じます。

Posted by水瀬ケンイチ