不動産投資はパス、それではREITはどうでしょう?

水瀬ケンイチ

前回の記事で、不動産投資は当面やらないという話を書きましたが、それではREITはどうか、検討してみました。

REITとは、証券取引所に上場している不動産投資信託のことです。不動産投資法人が、投資家から資金を集めてオフィスビルやマンション等を複数購入、テナント料や賃料収入を元に投資家に分配金を支払うというもの。
REITは、株式や債券の投資信託に似ているスキームだし、株式やETFと同じように売買できるので、僕のような証券投資しかやったことがない人にも、比較検討がしやすいです。
REITについて、いくつか投資本を紐解いてみると、以下のような感じでした(解釈が間違っていたらごめんなさい)。

○「ウォール街のランダム・ウォーカー」(バートン・マルキール著)の場合
・株式投資のある割合を、REITを組み入れたインデックスファンドで持つことをおすすめする。
・毎月の生活費に充てるため確実な現金収入を重視する人は、REIT型不動産投信の組み入れ比率を高めればいい。

REIT投資について、ポートフォリオの一部として持つべきだと言っています。現金収入重視の人にすすめているところをみると、どうやら債券と同じような扱いで考えていると思われます。
だとすると、ポートフォリオ比率としては、高齢者ほどREITを持つべきだということでしょうか。現在の自分にはあまりなくてよい資産クラスなのかもしれません。
但し、本書は米国の本なので、米国の不動産事情を元に書かれていることにご注意下さい。

○「内藤忍の資産設計塾 実践編」(内藤忍著)の場合
・分散投資の観点からは意味のあることだが、過去の価格上昇に伴い投資妙味は薄れてきた。
・アセットアロケーション比率で10%が上限。
・配当利回りが3%台だと、リスクを考えたリターンとしてはあまり魅力的ではない。

筆者によると、不動産の価格変動は、株式や債券の動きと相関性は相対的に低いと言っています。であれば、分散投資の観点からは、REIT保有は意味があるとの主張も納得できます。しかし、配当利回りが3%台だと、魅力的ではないとも言っています。
実際に自分で調べてみたところ、現在、J-REIT32本(2006/4/28)のうち、半分の16本の配当利回りが3%台以下でした。
この本では、REIT投資について反対はしないけれど、現状の配当利回りではあまりおすすめしないという感じでした。

(参考)過去リターンと標準偏差のデータが出ていたので載せておきます。
・日本REIT(2001.10~2005.7) 過去リターン25.4% 標準偏差9.3% (データ期間がごく短いことに注意)
・米国REIT(1972.1~2005.8) 過去リターン9.3% 標準偏差23.3%



○「お金がふえるシンプルな考え方」(山崎元著)の場合
・不動産の期待リターンも、株式と同じ10%程度はほしい。
・配当利回りが4~5%程度だと、リスクを考えると低い。

筆者によると、配当利回り4~5%でも低いと言っていて、前出の内藤氏よりもシビアに見ているようです。また、REIT登場直後は優良物件を組み入れるかもしれないが、本当に収益率の高い物件であれば、不動産会社自身が持ちたいと思うはずなので、理屈上は、長期的には警戒が必要と言っています。
この本では、REIT投資をまったくすすめていませんでした。

○「借金国家から資産を守る方法 不動産編」(前田和彦著)の場合
・既に価格が資産価値を上回っている。海外の投資ファンドは既に売っている。
・金利が上昇するとREITは終わる。
・既に買ってしまった人はすぐに売るべき。

ものすごいネガティブです(笑)。
実はこの本自体が、個人的には眉唾モノなのですが、REITと金利の関係については、たしかにそういう面があると思います。REITは多くの資金を借り入れして物件を複数購入しているので、金利が上昇すると、借り入れ金利も上昇し、家賃収入からの分配が極端に減る(もしくは下回る)可能性は高いと思います。日本は現在ゼロ金利ですが、金利は今後上昇すると考える方が自然(ゼロ以下はないのですから)ですし、事実、日銀はゼロ金利解除を匂わせる発言をしています。


全体的に見てみると、不動産投資信託という仕組み自体は悪くないと思うし、ポートフォリオに組み入れることによる分散効果は好ましいと思います。
しかしながら、日本のREIT価格が既に上昇した後で配当利回りが低いこと、金利上昇局面を迎えていること等、現在の環境がREIT投資にネガティブだと思われます。

以上のことから、日本のREITへの投資は当面控えたいと思います。
海外REITについては、情報が不十分なのでもう少し研究の余地があると思いますので、保留として、今後の課題としたいと考えています。

<ご参考>
参考文献(書名をクリックすると詳細画面へとリンクしています)
・「ウォール街のランダム・ウォーカー」(バートン・マルキール著)
・「内藤忍の資産設計塾 実践編」(内藤忍著)
・「お金がふえるシンプルな考え方」(山崎元著)
・「借金国家から資産を守る方法 不動産編」(前田和彦著)
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Posted by水瀬ケンイチ