魅惑のヘッジファンド、それ自分の投資に活用できる? (その2)

水瀬ケンイチ

前回の記事「魅惑のヘッジファンド、それ自分の投資に活用できる? (その1)」のつづきです。

前回の記事では、ヘッジファンドの実績を見て、ここ数年は「絶対収益」獲得に失敗していたことを取り上げました。
しかし、それは過去の実績に過ぎず、今後の投資に活用できるかどうかは、また別の観点が必要です。

私はバイ&ホールドの「ほったらかし投資」がしたいので、新たなアセットクラスや投資商品を検討する時にはいつも、収益の源泉は何かを考え、「それは本質的に“価値が上がる”ものか?」と自問して投資対象に入れるかどうかの判断をしてきました。
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幼稚な表現で申し訳ありませんが、当時はそういう言葉でしか自分の考えを伝えられませんでした。
今ならもう少しまともな説明ができそうです。

つまり、“価値が上がるもの”とは、何らかの生産活動に資本を提供して、時間の経過とともにその見返りが期待できるものです。言い換えれば、リスクの対価である「リスク・プレミアム」が存在するものです。
例えば、株式は企業自体が成長して利益を生み出し配当も生みます。債券もお金を貸す対価として利子を生みます。

それに対して、金や大豆はいくら時間が経っても、金や大豆でしかありえません。
価格の上下を引き起こしているのは、需要と供給のバランスだけ。市場全体のリターンの合計はゼロであり、いわゆる「ゼロサムゲーム」です。
本質的にどちらか一方向に動き続ける性質は持っていないので、“価値が上がるもの”とは言えません。

では、ヘッジファンドは、今後の自分の投資に活用できるでしょうか?



ひとくちにヘッジファンドと言ってもいろいろです。
投資対象もいろいろですし、投資手法もロング・ショート、マーケット・ニュートラル、アービトラージ、イベント・ドリブン、それらを組み合わせたマルチ・ストラテジーなど、いろいろあります。

本来であれば、ヘッジファンドのひとつひとつを、投資対象と投資手法で丁寧に見ていかなければいけないのでしょう。
フレームワークが合わない多様なものの評価は苦しいのですが、ここではざっくり捉えて、むりやり結論を出したいと思います。

ヘッジファンドは、投資対象・投資戦略がなんであれ「絶対収益を目指す」という共通項があることから、「市場の歪みを捉えて収益を生み出すもの」と括ってみます。
すると、「ファンドマネージャーの市場の歪みを見つけ出す能力」こそが価値の源泉と言えそうです。

優秀なファンドマネージャーが運用するヘッジファンドなら“価値が上がるもの”と位置づけてもよさそうですが、困ったことに、市場の歪みというものは、ヘッジファンドが利益を上げると修正されて消えてしましまうという特性があります。
次の市場の歪みは出てくるのか?それはいつ?
こういうあやふやなものは、私は本質的に“価値が上がるもの”とは考えません。

というわけで、ヘッジファンドを今後の自分の投資に活用できるか?についての結論。
「ほったらかし投資」をしたい自分には、ヘッジファンドは活用できません。

(おわり)

P.S
あくまでバイ&ホールドの「ほったらかし投資」をしたい私の場合は、です。投資スタンスが違えば、結論も変わって然りだと思います。


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Posted by水瀬ケンイチ