分散投資を批判した後の対案がそれ以上に酷い法則

相場が低迷してくると、定期的に分散投資に対する批判が沸いてきます。

過去何度も繰り返され、個人的にはもう見飽きた光景ですが、これらの批判には一定のリズムと法則があるように思います。それは、

・分散投資の批判部分は非常にテンポよくかつ論理的
・しかし、対案は感情論・感覚論ばかりで論理性に欠ける

ということです。平たく言うと、

分散投資はクソという批判は勇ましいが、対案はもっとクソ

という法則です。(言葉が汚くて申し訳ありません。彼らの流儀に則っております)

経済のグローバル化で相関係数が高まっている(相関係数は常に動き回っているのにね)だの、最近の分散投資の実績がマイナス(この数年のトレンドが将来も続く根拠はないのにね)だの、批判はもっともらしい過去データが盛り沢山で一見ロジカルです。

しかしながら、その対案は、「経済状況に合わせて外貨預金への投資の割合を変動させろ」(例:サブプライム後の新資産運用)だの、「9割債券にしろ」(例:ブラック・スワン)だの、分散投資をロジカルに否定してみせた割には、その有効性・再現性についてはお粗末な説明しかなく萎えます。

話は変わりますが、政治の世界を見ていると、野党が批判だけで対案がない(しょぼい)というのは、飽き飽きするほどよく見られる光景です。過去の結果を見て攻撃するのは簡単です。しかし、対案の提案は難しい。なぜなら、対案は未来の話だからです。

同じことが、投資の世界でも見られます。

分散投資に対する批判はロジカルで、かつ、後出しジャンケンである分的確であり、読者はうっとりして「この人はすごい!」となってしまいます。そして、その後に出てくる今後の対案に対する目が、甘くなっていることが多いようです。

リーマン・ショック後に、「金融資産の価格変動は正規分布ではなくベキ分布だ」と聞き、おそらくベキ分布の意味もよく理解していないまま、あちこちの投資ブログに「ベキ分布だから、現代ポートフォリオ理論は誤りなんだ!」「ベキ分布だから、みんな損しているんだ!」「ベキ分布だから、悪いんだ!」と興奮気味に既存の分散投資理論を批判して回る人たちがいた時期がありました。(私はこの現象を「ベキベキバブル」と呼んでいます)

まともな対案があればまだよいのですが、ほとんどが騒ぐだけの人たちでした。

ある人は、なぜか「TAA(タクティカル・アセット・アロケーション)しかない」と過去のアクティブファンドで目立って成功した試しがない戦略こそが正しいという結論に至り、それを盛んに主張していました。

しかし、具体的なTAAの運用手法・有効性・再現性の説明はあやふや(せいぜい債券のイールド・カーブを見て判断しようとか)でした。

投資理論というものは、誰にもわからない「将来」について、「現時点」で把握しうる情報と理屈をもとに、わずかながらでも勝率を高めようとして生み出されたものです。将来にわたって確実に儲かる方法や、一度も損しない方法などありません。

正直、分散投資理論が最高だとは思いません。しかし、一時の損失に脊髄反射して分散投資を批判したものの、新たに採用した投資法が分散投資以上にクソだったという事態は往々にしてあります。

実際、「経済状況に合わせて外貨預金への投資の割合を変化させる」戦略や、「9割債券」戦略をとった投資家たちが、リーマン・ショック後の大底値からの大きなリバウンドを享受して、現在は大儲けという話は寡聞にして存じません。

今後、どのような相場になるのかわかりませんが、「分散投資はクソという批判は勇ましいが、対案はもっとクソ」という法則にはお気をつけください。


※言わずもがなですが、投資判断は自己責任でお願いいたします。
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