もし「ロングショート戦略」を採るとしたら、どうやって割安・割高を判断するのか?

水瀬ケンイチ

昨日は、日経平均は年初来安値、TOPIXはバブル後安値更新なんてニュースが出ており、言うまでもなく「下げ相場」です。

こういう時は、バイ&ホールド戦略を採用している投資家(水瀬含む)はじっと我慢してうかつに動かないかたが多いのですが、中には、いてもたってもいられなくなり新しい運用方法に移行を図るかたが出てくる時期でもあります。

バイ&ホールド戦略のノーガードなリスク状態に嫌気が差し、「ロングショート戦略」を志向するかたもいらっしゃるようです。
割安な銘柄をロングすると同時に割高な銘柄をショートすることにより、市場変動による影響を軽減しつつ収益を狙う投資戦略のことです。
シンプルで、(うまくいけば)絶対収益が期待できる戦略であり、一時期、ロングショート戦略の投資信託(スパークス・日本株・ロング・ショート・ファンド等)が人気になったこともありました。

別にすすめませんが、もしやるとしたら、参考になるデータがニッセイ基礎研のレポートにありましたので、取り上げておきます。



ニッセイ基礎研究所 ニッセイ年金ストラテジー2012年6月号
株式ロング・ショート運用におけるショート戦略再考

株式の代表的な割安指標にPBRとPERがあります。
以下は、それぞれの最割安グループと最割高グループの累積超過リターンが、どうなっているのかを調べたグラフです。

photo20120605.jpg
(上記ニッセイ基礎研究所レポートより引用・クリックで拡大)

「ストックバリュー」はPBRの逆数(純資産株価倍率)で、「フローバリュー」はPERの逆数(益回り)を表しています。
これで見ると、ストックバリューでは、割高グループと割安グループの累積超過リターンはキレイに上下対称になっているのに対して、フローバリューでは、全体的に割安サイドに偏っていて非対称に見えます。

昔、似非バリュー投資をやっていたことがある身としては、「割安度の判断はメインにPERを使い、PBRはサブで」という教えが頭にこびりついています。(正しいかどうかは別にして、私が読んだ多くの投資本に同様のことが書かれています)

ところが上記のデータからは、PERよりもPBRでチョイスした方が、割安グループと割高グループの超過リターンの対称性がくっきり出ています。
上記データを見る限りでは、ロングショート戦略を採用する時の銘柄選びは、PERよりもPBRが有効そうです。

ロングショート戦略を採るには、「割安指標は何でもPER」と思い込んでいるといけませんよ、というお話でした。


P.S
上記データはある一定期間に観測された結果に過ぎませんし、今後もそうなるという保証はありません。個人的には、ロングショート戦略の有効性には懐疑的ですので、おすすめはしません。目論見が外れて「股裂き」は勘弁です。
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Posted by水瀬ケンイチ