銀行と賢くつきあうただひとつの方法

日経新聞記者が実際に銀行窓口をまわり、おすすめ運用商品の実情を調べた記事が掲載されていました。

日経電子版 銀行と賢くつきあう方法
2012/06/11 銀行が薦めるのは銀行がもうかる商品

記事によると、「30代前半・女性・運用資金100万円・運用初心者」という設定の日経新聞記者が、FPと都内の銀行を回ったそうです。その結果を見て、私は思わず「これはひどい…」と呟いてしまいました。

なぜなら、三つの銀行から提案された運用商品と説明がこうだったからです。
都内の3つの銀行のおすすめ商品と説明

A銀行は、条件を聞いたうえでのおすすめ運用商品が、なぜか変額年金保険ばかり。
運用と保険のニーズを完全に間違えています。

衝撃的なのは、「この国は近く(国債が)格上げされるとの噂があって、そうすると金利も上がるのでより有利になるからです」という説明です。
この際、噂でおすすめするなという話は横に置いておきます。言うまでもなく、もし格付けが上がり国債価格が上がれば、金利は逆に下がります。
これは金利と債券価格の関係の基本であり、販売員の言ったことは誤りです。
しかも、その国の格付けは既にトリプルAで上昇余地なしなのにというから、これはおすすめ商品以前の惨状です。

B銀行でも、やはり変額年金保険を勧められ、投信はないのかと聞くと、インデックスファンドや分配実績なしの投信がラインナップにあるにもかかわらず、相談員は最初から毎月分配型投信の前提で説明を始めたそうです。
高齢者の資金取り崩しニーズならまだしも、30代前半女性(資金100万)に毎月分配型という珍妙なチョイス。

C銀行では、「お客様はまだお若いですから保障も見合わないですし、あまり長期にわたって換金できないリスクは負うべきではないと思います」と言いつつ、勧められたのは仕組み預金ばかりだったとのこと。
仕組み預金は、途中換金ができないというわけではないと思いますが(モノによりますが)、別に換金できないリスクの低さが売りになる商品でもありません。株だって投信だっていつでも換金できます。

いずれの窓口もろくなもんじゃないなというのが第一印象です。
中には、嘘の説明をしており問題なケースも含まれていました。
この記事ではたった三つのケースでしかありませんが、相談者のニーズに関係なく高コスト商品を売りつけるという銀行窓口のやり方と相談員の知識レベルの低さは、既にあちこちで指摘されています。
<関連記事>
銀行窓口で勧誘された一時払い終身保険に関するトラブル-高齢者への不適切な勧誘が急増中-(国民生活センター)
投資信託、銀行窓販の肉食化(山崎元のマルチスコープ)
銀行の投信窓販の問題点(金融取引.com)
銀行で投資する人って、投資の勉強しているんですか?(前編)(後編)(追伸)

日経電子版の「銀行と賢くつきあう方法」記事はシリーズで今後も続くらしいのですが、それを待たずしてもう結論は出ているように思います。
大部分の人にとって、銀行と賢くつきあうただひとつの方法は、

「預金以外では一切つきあわないこと」

になろうかと思います。

例外的に、顧客ニーズをきちんとコンサルして、極力低コストな商品の提案をしているところもなくはないです。
しかし、大局的に考えると、そのような希少な優良窓口(相談員)を探すという雲を掴むような努力をするよりも、自分で勉強してよいと考える商品をネット証券で買い付ける方が、ずっと効率的だと思うのです。

「自分ではよく分からないから銀行窓口に相談するんじゃないか」というご意見もあろうかと思いますが、厳しいことを申しあげさせていただければ、その程度の知識しかないのなら、資産運用などしない方が身のためです。
嫌味ではなく本当に、預貯金のみにしておくことをおすすめします。


P.S
銀行でも、窓口ではなくネットチャネル(インターネット支店やオンラインバンキング)のみの利用であれば、資産運用への活用を検討するに値するところは、(昔はなかったのですが)いくつかあると思います。
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