最近の日経電子版コラム「いつかは経済自由人!」は迷走気味?

日経電子版のマネーコラム「いつかは経済自由人!」が最近、迷走気味です。

今まで、分散効果や購買力平価など「投資の要諦」とでも言うべき理論を、記者の田村さんと架空の女性キャラ「ハナちゃん」との楽しい掛け合いで、分かりやすく紹介してくれました。
当ブログでも、「いつかは経済自由人!」からたくさんのコラムを取り上げてきました。

ただ、ここ最近のコラムを見ると、テーマが分散効果や購買力平価といった骨太のものから、「ソロス・チャート」「52週移動平均線」「父ちゃんの立場指数」など、チャートを多用したテクニカル分析っぽいものが多くなってきています。
うーむ、どうしちゃったんだろう…?

もちろん、私はチャートがすべて悪いとは思っていません。
コラムで取り上げるそもそもの理論なり指標なりが、研究によって有効性が認められたものであれば、チャートを用いて説明することには意味があると思います。
そもそも、チャートは推移を見せるグラフです。ものごとの推移自体に意味がないという人はあまりいないと思います。

しかしながら、有効性が認められていない理論や指標について、たまたま結論とピッタリ合っただけではないか?と疑われるような(あるいは疑われても論理的に反証できない)チャートを持ちだして、「○○線(○○指数)によると△△を表していると考えられる」と言われても、そこに説得力はありません。
見る人が見れば、ただの「線遊び」に過ぎないと思うでしょう。

コラムにも何度か登場している龍谷大学のたけなかまさはる氏は、チャートについてこう述べています。

要するに相場のトレンドはある程度は存在するようだが、その始まりと終わりを過去のデータから予測することはできていない。

そもそも、儲かるチャートなどがあるとしたら、そんなもの公表したり、売ったりするだろうか?そんなものがあれば、発明者が自分ひとりで儲けるはずだろう。仮に有効なチャート手法があったとしても、チャートシグナルが多くの人と共有されることによって、その有効性は失われるからだ。

たけなかまさはる チャート(罫線)を使ったテクニカル分析についてより)


さらに困ったことに、投資理論の勉強をしていない読者からすると、コラムに掲載されている「骨太の理論」と「ただの線遊び」が、どちらがどの程度正しいのか判断がつきません。
「購買力平価」も「父ちゃんの立場指数」も、同程度に正しいかのように見えてしまいます。

ひょっとしたら、記者の田村さんからすると、「投資理論の基礎は今までのコラムで十分すぎるほど取り上げてきた。今やっているのは、ちょっとした面白おかしい応用編だよ」ということなのかもしれません。
たしかに、コラム連載は過去1年にわたり、そろそろ30本に達しようとしています。いつまでも投資の原則論だけでは、飽きられてしまうということもあるのかもしれません。

ただ、良くも悪くも日経新聞には信頼性があること、読者に「ビジネスには一生懸命だけど投資はさっぱり」という典型的なジャパニーズビジネスマンが相当数いるであろうことを考え併せると、このまま面白おかしい応用編を続けてしまうと読者がトンデモチャート分析をそのまま信用してしまうような下地を作ってしまいかねないと懸念してしまいます。

えっ?杞憂?余計なお世話だって?失礼しました。
細かい注文を付けるのは、大きな期待の裏返しであります。
「いつかは経済自由人!」には、ぜひ、基本的な(しかし、なかなか浸透しない)投資理論をあの手この手で分かりやすく教えてくれる、良質のコラムであり続けてほしいと願っております。

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